第60話:本編完結!ふたりの未来への旅立ち!はじめの一歩
王城の最上階から眺める景色は最高で、いつまでもふたりで眺めていたかった。
「そうだわ、ルク様。こちらには直接来られたんですよね?まだお義母さまに会われてませんよね?」
「あ、そうだった。」
すっかり忘れていたようなルクセブルの姿を見てアレクサンドラは〝ふふっ〟と小さく微笑んでから言った。
「ルク様が遭難されてから何も情報がなくて私たちずっと困惑してましたの。早くお顔を見せて差し上げないと…。」
「え?何も情報がなかった?手紙は?届いてなかったのか?」
「え、ルク様の所にも届いてないのですか?」
アレクサンドラとルクセブルはお互いの顔を見合わせた。
が、とにかく早くルクセブルの母に会いに行こうという話になったのだった。
◆ ◆ ◆
その頃、国王は軟禁していた息子、ダナジーの元に出向き、ルクセブルが無事戻った事と2人にはきちんと詫びた事を話した。
「だからと言って私がした事は人道的には許されない。しかし、外交問題も含まれるため、お前の中でだけに留めておいてくれないか。」
「父上…。本当の事を告げずにふたり謝られたのですか…。はぁー。本来であれぱ許されるべき事ではないですが、私は今回目を瞑りましょう。これでルクセブルたちが不幸になっていたら僕はあなたを許さなかったでしょう。ルクセブルに感謝して下さい。」
「わかった、ダナジーよ。」
確かにダナジーが聞いた話が公になれば外交問題となるだろう。そのリスクを犯してまで今はすべき事じゃない。ダナジーは一生ルクセブルに負い目を感じながら生きていく覚悟を決めた。
◆ ◆ ◆
アレクサンドラは王城を出る前に、自身の両親にルクセブルが無事戻った事で、事なきを得たこと、これよりアルクレゼ侯爵邸に向かうことを伝令を出して伝えてもらう事にした。
そしてルクセブルとアレクサンドラの乗った馬車はアルクレゼ侯爵邸へと到着した。
馬車が到着して執事を通して連絡がいったからか、母のラモニアが勢いよく飛び出してきた!
「ルク!ルクセブル!お帰り!お帰り!!」
「ただいま戻りました。母上。」
「ええ、ええ。もっと顔をよくみせて?心配したのよ?何の連絡もないんだもの…。」
ラモニアの手は震えていた。
ルクセブルは心配を掛けてしまった事に胸を痛めた。
「はい、ご心配おかけしました。」
ラモニアはルクセブルの顔を両手でしっかりと触って確かめながら再び会えた事に感激していた。
そしてひょこっと現れたアレクサンドラに気付いた。
「あぁ、アレクサンドラ嬢、アレクサンドラ。あなたにも辛い思いをさせましたね。」
「お義母さま……。」
ラモニアはコクンと頷いた。そして
「さあ、グラナスたちが戻ったら祝賀パーティーよ!それからあなたたちの結婚式も早目に行いましょう!」
「母上!」「お義母さま!」
ラモニアは笑顔になった。そしてアレクサンドラは笑いながら泣いていた。
「アレクサンドラ、今夜は泊まっていきなさい。お部屋を用意するわね。」
「はい、お義母さま。ありがとうございます。」
にっこり笑ってラモニアは邸宅内へと行った。
「アレン、こっちに来て。」
ルクセブルはアレクサンドラを庭に連れ出した。
庭の中の東屋。
そこにふたりで座った。寄り添ってふたりで静かに星空を見上げた。
「綺麗…。」
アレクサンドラがポツリと呟いた。
「うん、綺麗だ。」
ルクセブルはアレクサンドラを見て呟いた。
「もうっ、ルク様?星空が綺麗だと言ったのですわよ?」
「うん、星空も綺麗だけどアレンの方が何倍も綺麗だ。ずっと、ずっと会いたかった!」
「ルク様…。私もですわ。」
ふたりはギュッと抱きしめ合い、そしてそっと口付けをした。
甘く切なく…
このまま永遠にふたりだけの世界でいられたらと思うほどに静かな夜だった。
「そうだ、アレン。あなたにお土産があるんだ。」
「え?」
「永遠に咲くシラユリだそうだ。」
「そんなお花がありましたの?」
「ああ、ナダルテ王国で口伝されてきた花だそうだ。もう1週間ほどこのように持っていたのに咲きたてのように綺麗なままだ。」
「まあ、素敵!ありがとうございます!」
アレクサンドラはその花をそっと髪に挿してみた。
「うん、綺麗だ。」
顔を赤らめるアレクサンドラ。
「本当だよ。僕はあなた以外にいらないくらいだ。一生かけて幸せにする。きっとだ。ここに改めて約束するよ。」
そう言ってアレクサンドラの手を取って手の甲にチュッと口付けて、今までで1番熱い瞳で語った。
「愛してる…。アレクサンドラ。」
そう言ってアレクサンドラを抱き寄せてもう一度口付けを交わした。
ふたりしかいない静まり返った庭園に、優しく月の光が差し込んでいた。
サワサワサワ………
通り過ぎる風も夏の気配を感じさせた。ふたりが婚約式を挙げてから一年が過ぎていた。そしてその期間のほとんどは離れていたのだ。
ふたりにとってとても長い長い一年だった。
◆ ◆ ◆
数日後、ようやくアルクレゼ騎士団が帰国した。
まず領地へ寄り、侯爵は妻のラモニアに会った。
ラモニアは手紙が一切届かなかった事に大層怒りを現していたが、侯爵グラナスの話を聞いて落ち着いて納得した。
夫婦で会話をしているうちに、仮説が立てられたのだ。
プラトラの王太子がアレクサンドラを花嫁にしようとしていたこと。そして手紙を止めていたのがプラトラの人間だったこと。国王と親しくしていたこと。更に既に手紙の異変の話が国王にも届いていたはずなのにラモニアには伝わっていないこと、それらを合わせると必然と仮説が、ほぼ確定であろう仮説が立つのだった。
しかし相手は国王と近隣国の王太子。つまりは外交問題になるだろう。
大きく騒ぎ立てても何もメリットはなく、逆にデメリットしか思い浮かばないのだ。
それに当の本人たちは国王を許してきたわけで、今後何も出来ることはないのだ。
「私が登城して帰国の報告をするからその時にチクリと申し出てくるよ。今後のためにね。」
「そうね。あの子たちのためにも必要以上にごねても…ね。それよりも早く式を挙げさせましょう!」
「そうだな。ふたりは待ちわびているだろう。急がせよう!」
こうしてふたりの結婚式が急遽進められた。
9月になり、ルクセブルの誕生日がやってきた。
真っ白のタキシードだ。その上から家門の上着を羽織っている。
「ルク様!お誕生日おめでとうございます!」
そう言って現れたのはアレクサンドラだ。
全身白で統一されている。白のレースがとても美しく、アレクサンドラによく似合ってる。
「ありがとう、アレン!だけど今日はそれだけではないよね?」
「ふふふっ。私のだんな様!」
からかうつもりで言ったのにとびきりの笑顔でそんな事をふいに言われたルクセブルは真っ赤になりながら、それを誤魔化すかのようにアレクサンドラを抱き上げた!
「きゃっ!」
突然の事で驚くアレクサンドラとは反対に、いたずらっ子のように笑ったルクセブル。
「愛してる!アレン!!今日もとっても綺麗だ!」
今度はアレクサンドラの方が真っ赤になっていた。
「ず…ずるいですわ、そんな笑顔、」
ルクセブルはアレクサンドラの方をにっこり笑いながらなにかを催促するかのように黙って見つめた。
「わ…私も、愛してますわ!」
それを聞いた途端ルクセブルはアレクサンドラをギュッと抱きしめてそして口付けを交わした。
──────────そう
今日はふたりの結婚式でもあるのだ。
「あ─────────、コホン」
という声で〝ハッ〟とするふたり。
「仲がいいのは良い事なんだけど皆が待ってるからそろそろ…。」
そう声をかけたのはダナジーだ。
〝なんだかデジャブを感じますわ。〟
アレクサンドラは真っ赤になってそう思っていた。
ルクセブルは
「ハハハハハッ。」と笑い飛ばしていた。
そんなルクセブルを見てアレクサンドラも「ふふふっ。」と笑った。
〝やれやれ…〟という仕草をダナジーがしたのは言うまでもない。
ルクセブルはアレクサンドラをお姫様抱っこしたまま言葉を発した。
「さあ、行こう!僕たちの未来(式)へ!」
───────完───────
ご覧下さりありがとうございます。
ここまで60'話。初めてのライトノベルでしたが、ここまでお付き合い下さり誠にありがとうございました。
実際、書き上げた時は感無量でした!
書き始めは10話位で終わるつもりでスタートしましたが、色々話を丁寧に書こう、大筋はあっても所々肉付けしなくちゃ…というふうにしていくとここまでかかりました。
また、途中で思いつきで話を入れたりと、した事もありました。
さあ、次回はふたりの馴れ初めを含む外伝2話が始まります。
少し休憩してから新章もスタートしたいと思います。
今しばらくお付き合い下さると嬉しいです。
次の外伝は 7/10 6:50 と19:00に
タイマー投稿します。
新章関連につきましても、外伝㊦の後書きに
記載しておりす。
よろしくお願いします。




