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【完結】シラユリシリーズ①永遠に永遠に咲くシラユリをあなたに…(初ラノベ)  作者: 慧依琉:えいる


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第59話:彼らの誤算!そして、ふたりは1年ぶりの再会を果たす



国王の呼び掛けに合わせてアレクサンドラの目の前にゆっくりと現れた近隣国プラトラ王国の王太子ビリー。




サッ……。






アレクサンドラと目があった。




ビリーはニコリと微笑んでアレクサンドラに近付いてそしてアレクサンドラの前に跪いた。








アレクサンドラは瞬間的に身構えて一歩引いた。




それを見たビリーは少し驚きの表情を見せるものの、もうすぐ自分のものになるのだからと、「ふっ」と笑って余裕をみせた。




そしてアレクサンドラを見上げて赤いバラの花を差し出して告げた。








「アレクサンドラ・フレシアテ令嬢。この私、ビリー・カン・プラトラと結婚して下さい!」












「──────────!!!!!!」










〝とうとう、正式に申し込まれてしまった!返事をしたら婚約成立となって私はこの人と人生を歩むことになるんだわ。……………ルク様…。あなたの消息がまだわからないまま、こんな事になるだなんて…。〟






覚悟をしたものの、いざ言葉にされるとその衝撃は計り知れなかった。アレクサンドラはギュッと目を瞑ってその衝撃で倒れそうになるのを耐えて、心を落ち着かせてから恐る恐る手を伸ばそうとしたその時─────!!








「その返事、待った─────っ!!!!!!!」






と言う声が広間に響き渡った!!!






─────────ルクセブルだ!!










声の方向を見てアレクサンドラは固まっていた。あれほど待ち望んでいたルクセブルだ!しかし自分が忘れられないがために見ている夢、幻なのではないかと、違う意味でガクガク震えてきた…。






そしてルクセブルはそのまま走り寄ってアレクサンドラの手を取ってビリーから奪い去った。






突然の事で困惑するビリー。国王もその場を見て動けなかった。国王とビリーの2人は




〝まだナダルテ王国にいるんじゃなかったのか?あと数日帰国までかかるはずじゃ…!!〟




そう思っていたのだった。










「アレン!待たせたね!心細い思いをさせてごめん!もう離さないから!!」




そう言ってアレクサンドラをギュっと抱きしめた。




「本当に…、本当にルク様なの?」




「ああ!僕だよ、アレン!」




「う…、ぅわあぁぁぁーん………」




激しく声を荒らげて泣き出すアレクサンドラ。


それには国王もビリーも驚いたのだった。いつも落ち着いていて動揺も隙も見せないアレクサンドラが、まるで子供のように泣いているのだから。




ルクセブルだけが感情豊かなアレクサンドラを知っていたから優しく彼女を抱きしめたのだった。




そしてアレクサンドラを抱きしめたまま、ルクセブルは国王とビリーに向き合った。




「このような姿で申し訳ありません。しかし、私が戻ったからには婚姻のお申し出はなかった事にして頂きます。」






ルクセブルのその言葉に国王は困惑しながらもまだ「国の利益」しか考えていなかった。




「しかし、婚約継続期間は昨夜で終了している。そなたたちはもう婚約者では無くなっているのだぞ?」








ルクセブルは例え国王といえど、ひるむことはなかった。大切なアレクサンドラを手放してなるものか!ただその気持ちだけがルクセブルを突き動かしていた。




「それは僕が消息不明の場合です!こうして無事戻ったのですから無効です。」




「いや…、しかしだな…。」




国王は何とかプラトラとの縁を強固にしたくて抵抗していた。






そんな時、外から悲鳴が聞こえてきた。






「うわー!!魔物だ!!!!」






その声を聞いて驚く国王。






ちょうど控えの間の窓をボスとジャポスカが飛び交った。大きな黒い影が窓の向こうで横切る…。






「ひ…………………っ!!!!!!」




その様を見て国王は腰を抜かす。






「ああ、ご安心下さい。あの魔物たちは僕の味方ですので、攻撃してはきません。そもそも僕がこの国を留守にしたのは陛下、あなた様のご命令ではありませんか。」






その言葉を聞いて国王は安堵すると共に、言い換えるとルクセブルの一言で攻撃することも可能だと言うことだ。その上、出征自体が自ら命令したものであること、ここでルクセブルの意見を無しにしてしまうと今後アルクレゼの協力は得られない…。国王は咄嗟にその事を悟りルクセブルに告げる。






「ルクセブルよ、あいわかった。そちの婚約は継続だ。」




「な…!国王?!」




驚くのはビリーだ。ここに来てまさかの国王の力添えが無くなったのだ。つまり、下手をすれば手紙の件もバレるだろう。




「…………………っ!!」




ビリーも流石にそれは外交問題になるため、仕方なく引くことにした。




「悔しいが、国王が認めたのなら僕は婚約者のいる女性へはプロポーズ出来ない。とても残念だよ。」






ビリーがそう言うとルクセブルは




「すまないが、アレクサンドラは譲れない。」




そう言ってビリーに頭を下げた。身を引いてくれた近隣国の「王太子」への敬意を払った。








「はぁーっ」




ビリーは大きくため息をついてアレクサンドラに向かって言った。




「アレクサンドラ嬢。あなたの思いが通じて良かったですね。これでは僕では敵わない。」




アレクサンドラはそっとビリーの方を向いて、それからルクセブルの顔を見た。




ルクセブルはコクンと頷いた。






そしてルクセブルの傍から離れてビリーの元に歩み寄った。






「ビリー王太子殿下。お気持ちは有難いのですが、私にはルクセブル様以外には考えられませんの。申し訳ございません。」




そう言ってアレクサンドラは深くお辞儀をした。




「はぁ、改めて断られると傷付くなあー。ま、あなたの幸せを願うことにするよ。式には呼ばないでくれよ?」




そう言ってビリーは広間から出て行ってしまった。




去りゆく後ろ姿にアレクサンドラはカーテシーをして、ルクセブルは深くお辞儀をしてふたりで見送った。








ふたりのやり取りを見て国王は自分がした事の愚かさに気付いた。


そしてルクセブルとアレクサンドラの元にやって来て非礼を詫びた。




「お主が無事戻って良かった。私はお前が戻らぬのならばビリー殿の申し出がちょうどいいと思ったのだ。これも国を思うが故のこと、許してくれ。」




ルクセブルはコクンとうなずき、そして答えた。




「陛下、私はアレクサンドラと結婚出来るのならそれまでに何かあったとしても、それはもう関係ございません。」




国王は本来であれば何か求めてくるであろうと思っていた分、ルクセブルの潔さに驚いた。




「ふむ、すまない。アレクサンドラ嬢も、無理強いして悪かった。」






そして今度はアレクサンドラに顔を向けて言った。その言葉を受けてアレクサンドラは国王に答えてニッコリと笑った。




「陛下…。確かに辛かったですが、こうしてルクセブル様もご無事でしたし、私もルクセブル様と一緒になれるのでしたら、今までのことは気にしませんわ。」




国王はふたりの優しさに救われる思いだった。






それにしても窓の外ではまだボスたちが飛行している。






「そうだ、アレン。あなたに紹介したいんだ!僕と一緒に来ておくれ。」




「はい!ルク様!」




アレクサンドラはようやく安堵したのか、とびきりの笑顔をみせた。






ルクセブルに差し出された手をアレクサンドラは掴む。今度こそ話さない…というかなようにふたりはギュッと手を繋いだ。




そしてふたりは駆け足で王城の階段を駆け上る。


途中、アレクサンドラは体力がなく歩くのが辛そうになったので、ルクセブルはアレクサンドラを抱き上げた。




「ル…ルク様っ?」




アレクサンドラは突然の事でびっくりしたが、ルクセブルがあまりにも嬉しそうに微笑むものだからアレクサンドラも微笑みながらしっかりルクセブルに抱きついた。


恥ずかしさよりも嬉しさの方が上回って、より一層ふたりの心が近付いた。








そしてそのまま最上階へ上りきり、ゆっくりと先程ルクセブルが降り立った場所へと進む。




ふたりで見る景色は壮大で素晴らしかった。


また…ふたりで共に過ごす事が出来る喜びが一気に込み上げてきたアレクサンドラは泣き出してしまった。




ルクセブルは心配になり




「どうしたの?アレン!」




と、オロオロしだす。








「いいえ、幸せ過ぎて!」








泣きながらもニコリと、笑うアレクサンドラ。






〝ふっ〟とルクセブルも笑って







「ああ!僕もさ!とっても幸せだ!」








その場でアレクサンドラを抱きあげたままクルクルと、周りだした。








〝ヤレヤレ…。ブジ、キュウシュツデキタンダネ、ルクセブル!〟




──────その声は!!






振り返るとそこにはジャポスカがいた。






「ああ!君のおかげだよ!ありがとう、ジャポスカ!」




「まあ、可愛い猫ちゃん!」






「にゃー」




ジャポスカはビョンピョンと飛び移ってアレクサンドラに近付いた。




〝ワタシ、マモノノコノ、ジャポスカッテイウノ。ルクセブルトハ トモダチダヨ。アナタトモ、ナカヨクシタイ。〟




「………!まあ!喋ったわ!」




「そうだよ。ジャポスカのお陰で何もかも上手くいったんだ!またあとで沢山詳しく話すよ!これからの僕たちには沢山時間があるんだからね!」




ルクセブルがそう言うとアレクサンドラはニコリと微笑んで頷いて




「ありがとう!ジャポスカ!ルク様を助けてくれて。お陰で私も助かったわ!」




アレクサンドラはジャポスカにもにっこりと笑って手を差し伸べた。






ヒュォ─────ッ!! っと音と共にボスがやってきた。






間近で見るボスは大きくてアレクサンドラは少しびっくりしていたが、流石度胸が座っている。さっきのジャポスカの事もすんなりと受け入れただけある。




「あの魔物さんは?」




「ああ、彼女が魔物たちのボスであり、ジャポスカの母なんだ。ボスのお陰でここまで早く辿り着けたんだ。」




「まあそうなの!それではボスにもお礼を言わなくちゃ!私たちの救世主ね!」




ボスが城に降りた。


ルクセブルはアレクサンドラを抱きかかえたままボスに近付いた。




〝ルクセブル~~~、ソノママ、ママンニアウノ?〟




ジャポスカに言われて〝ハッ〟と気付いた。




ルクセブルもアレクサンドラも恥ずかしさが込み上げてきた。




「あ…降りますね。」




「そ、そうだね、降ろすね。」




〝キャハハ…!〟




「笑わないでくれ、ジャポスカっ。」




ルクセブルはジャポスカの相手をしていた。








アレクサンドラは〝くすっ〟と笑ってからルクセブルから離れてボスの方へと向かった。ゆっくり少しずつ。


そしてボスの側まで行き、目が合った所でとまってボスに対してカーテシーを披露した。




「あなたがボスね。私たちのために動いてくれてありがとうございます。あなたのお陰で私たちは救われました。」




そう言って深くお辞儀をした。






〝ソウ…。アナタガ ルクセブルノ…。マニアッテヨカッタ。シアワセニ オナリナサイ。〟




そう言ってジャポスカに目配せした。




〝ナゴリオシイノハ ワカルケド、コレイジョウハ メイワクニナルカラ カエルワヨ。〟




「ボス、本当にありがとう!」




〝アナタモ シアワセニ ナリナサイネ。〟




「ええ、ボスも元気で!」




ボスが飛び立つ。






〝ジャアネ~~~、マタアソビニイクカラ!ルクセブルノ ママンニモヨロシクネ!〟




「ああ!いつでも待ってる!!」




「さよなら~~~、ジャポスカ、ボス!ありがとう!」




アレクサンドラもボスとジャポスカを見送った。






空は陽が沈みかけていた。




「綺麗な夕焼けね。」




「ああ、僕は今日を一生忘れないよ。」




「わたしも…」




そう応えて、コクンとアレクサンドラも頷いた。




ご覧下さりありがとうございます。

とうとう本編は次回で終わりとなります。

もうここまでくれば安心ですよね!

そして、そのあと引き続き、外伝を2話お披露目します。

そちらにはふたりの出会いを収納しています。


お楽しみに!


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