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【完結】シラユリシリーズ①永遠に永遠に咲くシラユリをあなたに…(初ラノベ)  作者: 慧依琉:えいる


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第48話:「約束」-黒猫の正体…!!-



黒猫と会話をしたあと、森の中でリスに出会ったラナベルはリスに話かけてみた。




「……………。」




答えは返ってこなかった。


他にも出会った動物たちに同じように話かけても答えは返ってこない。




〝あの猫ちゃんだけが特別なのかしら?〟




そう考えだした。








そして今日もまた猫がやってきた。






〝アア、イツモノヲクレ。〟




「………………。」




〝話しかけてきた!やっぱりこの子だけなんだわ。不思議。〟










そしていつものように花を咥えて巣に戻ろうとした。


その時、花を咥えたまま、羽ばたく力が弱まり、よろめきながら地上に降り立った瞬間、傍を通っていたルクセブルに見つかってしまった。体力限界が来て地上に降りる時にとうとう見つかってしまったのだ。




「え……?!」




「にや……!!」






〝今、背中に翼があったよな?〟








ルクセブルはとっさに上着を脱いで猫に覆いかぶせた!




「フギャー!!!!」




そしてそのまま皆がいる所まで連れていき、猫のために檻を作って閉じ込めた。








「ほほぉ~~~、コイツがあの先頭にいたヤツか!」




ニコルが猫をマジマジと見た。




そしてスアンが語る。




「まさかあの時の猫が…!わからないものですね。」




「へん!俺は怪しんでただろ?俺の勘もたいしたもんだな、ハハハ。」




ニコルが誇らしげに言う。






「今回はニコル殿の勘が正しかったようですね。私も精進します。」




スアンにそのように言われてニコルはご機嫌だった。






周りのみんなに自慢しに回って行った。








スアンはそんなニコルを見て〝ヤレヤレ…。〟な表情をしが、すぐさま向き直ってルクセブルに問う。




「で、どうします?」




「これはまたとない機会だ!コイツにボスを呼び出してもらおう。」




「だが、どうやって呼び出します?」






スアンの冷静な返答に固まってしまったルクセブル。




「……………………。」






そんな時、聞きなれない声がした!




〝フン、オマエタチノタメニ ママンハコナイヨ〟




「………!!」




「どうした?ルクセブル?」




父グラナスがルクセブルの反応を見て尋ねた。






「あ…いえ。今声が聞こえた気がして…。」




〝ナニ?ワタシノコエガ キコエルノカ、オヌシ。〟




「あ、やっぱり!」




ルクセブルはバッと猫の方を見た。


周りの騎士たちが訝しむように彼を見つめる中、ルクセブルは確かに猫の声を聞いていた




〝シラン、ワタシハ ナニモシラン。〟




「いや、聞こえてますよ、猫さん、いな、君はボスの子供だね。」








周りがザワついた。




ルクセブルが1人で会話をしているからだ。


そしてルクセブル自身もまわりの反応から声が聞こえるのは自分だけなのだと理解した。






〝ツマリ、オヌシガ アヤツノオモイビトカ。〟




「?なんの事だ?」




〝ワスレタノカ?ラナベルダヨ。カノジョトノキズナガアルカラ ワタシノコエガ キコエルノダヨ。〟




「ラナベルを知ってるのか?彼女に危害を加えてないだろうなっ!」




ルクセブルは檻をガツンと掴んだ!








〝ソンナニ コウフンシナイデヨ。アンタモカノジョヲ オモッテルナラ ナンデ テバナシタノ?〟




「お前には関係ない。」




〝マアイイヤ。ラナベルハ ワタシタチノ オンジン、キズツケナイヨ。トクベツダカラネ。〟




「ホッ、良かった。しかし何でラナベル?」




〝ソレハイエナイ。ソレニワタシヲ ツカマエテモ ママンハコナイ。〟




「ああ、お前の母がボスなのか。」




〝…………。〟






ルクセブルはこの猫がボスの子供だと確信した。そしてこの猫を使ってどうにか出来ないか考えた。


囮にして…というのはリスクが高すぎる。全員で無事に戻るのが目標なのだ。ならばどうする……?!








ルクセブルはゴクッと生唾を飲んで猫に向かって話しかけた。




「僕から提案があるんだが、それを伝えてはくれないか。僕は君たちと円満に解決したい。」




〝オマエタチハ ミガッテスギル。ワタシタチヲ コロソウトスル。ムリダ。〟




「僕を信じてくれ。僕はもう君たちとも争いたくない。君たちも僕たちもただ生きていたいだけだ。君たちは僕ら人間を襲わなくても生きていけるだろう?僕たちもそうしたら君たちを傷つける必要はなくなるんだ。」




〝ウマイコトイッテ ダマスキダナ。〟




黒猫はキッときつくルクセブルを睨んだ。


それでもルクセブルの説得が続く。その言葉の端々を聞いて周りはルクセブルは猫魔物の言葉を理解しているのだとわかった。










「騙さない。頼む信じてくれ。ボスに、君の母親に魔石を入れさせて欲しい。そうしたら君の母親がずっと権力をもち続けられるし、僕らとの平和協定で君たちも死ななくて済む。皆が、君たちや僕ら皆んなが平和に暮らせるんだ。」




〝シンジラレナイナ。〟




「君の名前は?僕はルクセブルと言うんだ。」




〝ジャポスカ〟




「だったらジャポスカ、君を解放してあげる。その代わりちゃんと君の母を説得してくれ!」




〝ハ?オマエバカ?ワタシヲ ニガシタラ、オマエヲコロシニ ミンナデクルゾ?〟




「僕らは無用な戦いはしたくないんだ。そっちが仕掛けて来なければ手を出さない!但しそっちから仕掛けてきたら容赦なく対戦するよ。大事な命だからね。」




〝…………。〟




「頼む!10日で説得してくれ!」




〝シンヨウシキレナイ。ダカラオマエタチヲ タメシテミタイ。イカクハ サセテモラウ。ソレデ シンジラレタラ ママンニ ハナシテミヨウ〟




「オッケ!」


ルクセブルはニッと笑って施錠を外した。


ガシャン!という音と共に檻の蓋は解放された。




サッと猫は出てきて、そして口から蒼白い炎をボッと吐いて身を包み、背中から翼が生えて魔物の姿へと変身した。




一瞬の出来事に周りは騒然とした。




「ルクセブル様!せっかく捕まえたのに逃がすのですか?!」




皆口々に言う。






ルクセブルは皆の方を見てから




「ジャポスカ、約束だぞっ!」と言った。






そして黒猫、ジャポスカは一瞬振り向いたが、そのまま自分の巣穴へと飛んで行った。










洞窟の中では皆が口々にルクセブルに問う。




「ルクセブル様、どうして逃がしたのですか?アイツを囮にしてヤツらの仲間を誘き寄せばよかったのでは?ボスの子供なのでしょう?」




「ああ、それも考えたさ。だが見ただろう?アイツの後ろに続いて飛んでいく飛行タイプの魔物たちの数。あれはほんの一部だ。いくらなんでも今の僕らではアイツら全員を倒せない。


それに、僕らも生きるためにヤツらの仲間を襲ったんだ。ヤツらだって生きるために僕ら人間を襲うのだろう。ならば無用な戦いは避けるべきだ。」




「しかし、我らにはルクセブル様と団長、それに聖剣がついてます!」




「うん、聖剣は〝僕と父〟を守るだろう。」




「───ハッ!!」




「気付いたかい?持ち主は守るが他の皆を守れる保証はない。父は強い。そしてテルもだ。だが、2人だけが突出して強くても我々は空を飛ぶ事が出来ないんだ。明らかに不利だ。」




ルクセブルの話で皆がシーンと静まった。






「僕らの目的はボスを捕獲して、〝皆で無事に帰ること〟だ!」




「わかりました、ルクセブル様。あなた様の判断に我ら皆従いましょう。」




「ああ、力不足ですまない。」




「いいえ。我々の事を考えて下さりありがとうございます。」




「ふっ、当たり前じゃないか!僕は皆を家族のように思っているよ。」




ルクセブルは笑顔で答えた。






そんなやり取りを遠くでスアン騎士団長は見ていた。




〝確かにルクセブル殿の言う事も一理ある、が、甘いな。アイツがルクセブル殿との約束など守らなければどうするというのだ?こちらが全滅する可能性だってあるのだそ?それだけあの猫との会話で確信を持てたのか?〟






スアンはルクセブルの甘さに不安を覚えた。








当のルクセブルは皆に向かって話をする。




「さて、皆。ヤツとの、ジャポスカとの話はこうだ。〝僕らを試す〟ときた。僕がヤツらから手を出して来なければ戦わないと言ったからだ。だからヤツらは威嚇しにくるんだ。ジャポスカには10日でボスを説得しろと話した。だからこちらからは手を出すな!」




「本当に威嚇だけで済むのだろうか?」




団員の1人が不安を声にした。その声をルクセブルは聞き逃さなかった。




「ギリギリまで耐えてくれ。ジャポスカの信頼を得たい。」




みんなが言葉に詰まった。


そんな時、1人の男が発言した。






「ルクセブルよ。私はお前の考えに同調し兼ねるな。危険すぎる。」




「父上!」




そう、ルクセブルの父であり、アルクレゼ騎士団の団長だ。この捜索隊の総指揮官でもある。




「だが、既に逃がしてしまったこと、そして、それ以外に方法が思いつかない事で私はお前に賛同しよう。」




「父上…!ありがとうございます!」




「さあ、みんな、そういう事だ!ギリギリまで耐えてくれ!ヤツらの信頼を勝ち取ろうではないか!」




「おー!!」




〝ふっ、流石団長だ。不安になっていた団員の気持ちを、一気に持ち上げたでは無いか。恐ろしい男だ。〟






スアンは改めてグラナスに尊敬の眼差しをむけた。


ご覧下さりありがとうございます。

黒猫の正体について、皆様、何となく察しが付いていたかもしれませんが、その通りでした。

さあ、ルクセブルの持ちかけた交渉は上手くいくのでしょうか?!

次回をお楽しみに!


初めてのライトノベルですが完結済みですので今後もご覧下さると嬉しいです。


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