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【完結】シラユリシリーズ①永遠に永遠に咲くシラユリをあなたに…(初ラノベ)  作者: 慧依琉:えいる


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第40話:婚約破棄を告げられたアレクサンドラに迫る陰



ある日、アレクサンドラはアルクレゼ侯爵家のラモニア夫人に呼び出された。


わざわざ呼び出したのだ。何か大切な話があるのだろう。




アルクレゼからの迎えの馬車に乗り込み、ラモニアの元に到着するアレクサンドラ。




「夫人、アレクサンドラです。」




「いらっしゃい。最近は少しは眠れて?」




目元が真っ赤に腫れたまま、首を横に振るアレクサンドラ。




「………。そうよね、私もまだダメだわ。」








カップを持つ手が震えている。息子の生死がわからないのだ、仕方ない。そう思ってラモニアの手元を見ていたアレクサンドラ。






ラモニアは言いにくそうに次の言葉を発した。








「アレクサンドラ、よく聞いてちょうだい。」




改まって何なのだろうとアレクサンドラは思った。








「……………。ルクセブルが遭難してもう2ヶ月経とうとしています。春の終わりまで待って、もし…もし…戻ってこなかったら婚約を破棄して欲しいの。」






「…………!!!!!!」




「あなたはまだ若いわ。いつまでもあの子に縛られる必要はないのよ。」






「お義母さまっ!それは受け入れられません!!」




「いいえ。受け入れてちょうだい。これは当主命令でもあるの。夫、グラナスもあなたの事をとても気に入っているの。私もよ。だから物凄く辛い決断なの。わかってちょうだい。」




「でもっ!でも……!!!!」




「私たちも春の終わりの8月の最後の日まで諦めていないわ。だけど、どこかで期日をつけないと心も身体ももたないのよ。」




「………………。わか……り…ま、した。」




アレクサンドラは震える声でそう答えた。


そう、身分の低いアレクサンドラには既に拒否権はないのだ。それでもこうして直接会って話をしてくれた分、最高の誠意を持って接してくれている証だろう。




こうしてアレクサンドラとルクセブルの間に期日が刻まれた。春の終わりの8月まで半年を切った…。まだ半年ある?いいえ、あと半年しかないのだ。




「ルク様…、ルク様…。本当に早く戻ってきて…。やっとあなたと両思いになれたというのに…。」










そんなアレクサンドラ達の様子を知る由もないルクセブル。記憶がゴソッと抜けているのだ。


そんな状態で自分に対して必死に看病してくれる女性が目の前にいるのだ。惹かれていかないわけがない。






看病をしているラナベルもルクセブルの記憶がこのまま戻らなければいいと思うようになってきた。それは記憶を無くしたルクセブルが段々自分を見る目が優しく、時には熱を帯びて感じるようになってきたからだ。




いつかは自分の元を離れるかもしれない男。


わかっていながらもこのままでいられるならと淡い期待が捨てきれない。


そんな複雑な思いを抱きながら彼の服を直していく。ルクセブルの寝ている時に…。


〝きっとこの服を見たら記憶が戻るかもしれない…。まだ、もう少しこのままでいたいわ。〟


そうして完成した服を倉庫に大切に保管しておいた。共にあった剣も一緒に…。






それからラナベルは自分が管理している畑を訪れた。


見渡す限りの百合畑。ただ…何年も蕾をつけたまま咲かないのだ。




〝私たちの一族は代々女性がこの百合の薗を継いできた。なのに私の代になってから百合たちは蕾のまま咲かない…。どうして?〟




ジッとそこに佇むラナベルを遠くからルクセブルは見守っていた。








◆ ◆ ◆






その頃、洞窟で過ごしていた魔物捜索隊たちは活動的になってきた魔物たちに手を焼いていた。




「団長!流石にこの人員での対戦ではもう無理があります…!」




ルクセブル捜索のために部隊を分けているからだ。




「仕方ない、街部隊を呼び戻してくれ。」




グラナスは団長として、たった一人のために大勢を犠牲にする事が出来なかった。




「団長…、心中お察しします。良くぞ苦渋の決断をなされた。ワシも辛い。」




「ああ…、わかっているよ、テル。先に魔物に立ち向かおう!」




そうして武装し、山部隊に合流して魔物退治に加わった。ボスを探すまで…。








◆ ◆ ◆








ポルモア王国では王室主催の大舞踏会が行われた。王国の16歳になった女性たちのデピュタントのための舞踏会だ。


どん底にいるアレクサンドラも約束してしまったからには参加せざるを得ない。




相変わらず泣き腫らした生気のない顔だ。






「もう!アレクサンドラ!そんなお顔ではどなたなも誘って頂けませんわよ?」




レルロアが言う。




しかしアレクサンドラは首を横に振るだけ。






「もう…、あなたってば…。わかってますのよ、わかってますの。でも、私たちはあなたに元気になって欲しいのよ。」




「ありがとうございます、レルロア様。」




無理に笑おうとするので笑顔が引き攣っていた。


ため息をつくレルロアたち。




「さあ、あちらで茶菓子を頂きましょう、ね?」




「そうですわね。ナハム。ありがとう。」




「何を言ってますの、アレン。しっかりお食べになって、少しでも元気にならないと、ルクセブル様がお戻りになられた時に痩せすぎていてはみっともなくてよ?」




やはり笑顔が引き攣っている。




「無理に笑おうとしないの!はい、行くわよ!」




ミルマに引っ張られて茶菓子コーナーに来たアレクサンドラ。




「ナハム嬢、ミルマ嬢、ちょっとこちらに来て下さる?」




少し離れた所から2人を呼ぶ声が。




「あ、私は大丈夫だから2人とも行ってきて。」




「わかったわ。あとであちらで合流しましょう。」




アレクサンドラはコクンとうなずいた。








みんなの為にも沈む気持ちを少しでも隠そうとお菓子を取っていたら突然声をかけられた。




「あれ?もしかして…君…?」




その声に振り向くとそこには先日、泉で出会った男性がいた。




「あ、この前は大変失礼致しました。」




男性に向かってお詫びをするアレクサンドラ。




「ああ、やっぱりあの時の。」




そして少し前に屈んでアレクサンドラをジッと見る。






「……?!な、何ですか?」






「いや、今日も目を腫らしているなと思って。」




「あなたには関係ないですわ。失礼します。」




ぺこりとお辞儀をしてその場から逃げた。




「ふぅ~~~~~~ん。」




この男性は益々アレクサンドラに興味を持ったようだ。





ご覧下さりありがとうございます。

とうとう婚約破棄のための期限を告げられたアレクサンドラ。ラモニアの気遣いにも理解出来るが心が追いつきません。


初めてのライトノベルですが、完結済みですので今後もご覧下さると嬉しいです。


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