第37話:一瞬の出来事!まさかの展開!!
食料調達のため、捜索隊が雪の降る冬の間に隠れ家としている洞窟から南西に山道を慎重に下ってきた4人。
一向にその気配もなく目的地付近に到着した。
そんなに下ったつもりはないが、雪が小降りになっていた。
「おお~~~!全然違う!雪、少ねぇーっ!」
「これだけ見晴らしがいい(今までが悪すぎただけ)と魔物からも私たちの姿を確認されますね。油断なされないように。」
「スアン殿の言う通りだ、ここからは全神経集中だ!」
「リョーカイ!」
「わかりました!」
「それでは私とニコル殿が先頭に立ち、ヤツが出てきたら初撃を致します。追従と、トドメをよろしくお願いします!」
「わかった、スアン殿。」
「承知した。」
ルクセブルとテルがスアンの言葉に返事をした。
暫く緊張状態で歩く4人。
ザザッ!!──────!!!
4人とも咄嗟に反応した!
───────〝キツネ!〟
つまり、キツネがいるとガガールが近くにいる!
バッ────ッ!!!! と体制を整えて待ち構える
黒い物体が近付いてくる!
──────────間違いない!!
姿が顕になった!!
4体だ!!
「慌てるな!慎重に行けばコイツは動きがノロイからなんとかなる!!先攻っ!早く矢を連続で打て!時差だ!!」
「わーってるって!うりゃあーっ!!!!!!」
ニコルが大胆に弓を放つ!
ビュンツ───────っ!!!!!!
そして静かにスアンも弓を放ち、ニコルと交互に次々と弓を放つ。
1体目が矢を避けようとしてよろめいた時に2体目にあたり、2体同時に転んだ。弓矢は3体目にあたりその2体の上に倒れる。
4体目は向きを変えて逃げようとしていたが、すかさず矢を放っていたニコルとスアンの弓矢が4体目の足と肩に当たって倒れた。
そして
「ルクセブル!トドメだ!ワシはコッチをやる!」
「はいっ!師匠!!」
ルクセブルは2本の矢が刺さった4体目にトドメを刺した。
そしてテルは重なって倒れている3体を順番に刺していく。
そのあと、テキパキとその場でガガールを解体していく。
「うわっ!師匠の手際の良さ!!」
「親父がいれば楽勝だなぁ~~~。」
「これこれ、見てないで私たちも手伝いましょう。」
「あ~~~~~~、スアン殿。申し訳ないが、僕の聖剣は魔物解体には使えないんです。別の剣なんてありませんよね?」
「はい?どうして使えないんですか?」
「はあ、色々事情がありまして、抜けないんですよ。」
「………?まあ、いいでしょう。こちらをお使い下さい。私は2本携帯しておりますので。」
「スアン殿は二刀流ですか?」
「ええ、どちらでも変わりなく使えるように訓練してますよ。私達の国は皆、そういう訓練を受けますからね。」
「成程、今後の参考になりました。ありがとうございます。では、お借りします。」
そうして全員でガガールの解体を行い、目印通りに戻って行った。そしてそれを目印に残ったガガールの肉を別部隊が取りに行く。どうやらあの辺一帯はあの4体だけが住んでいたようだ。
「僕たちはラッキーだったね。アイツに出くわさなければ餓死するかもしれなかったよ。」
「そうだな、早く帰りてぇ~~~っ!」
「そんなにフラン嬢に会いたいのか?ニコル。意地はってたんだなぁ。」
「ち…!違うよっ!空腹になんのが嫌なんだ!」
「プハッ!」
「った~~~く!笑いやがって!」
「ハハハッ!僕は早くアレンに会いたいけどねっ!」
「んが~~~~~~っ!惚気やがって~~~っ!」
「ほらほら、そこ2人!集中しないと足を滑らすぞ?!」
「大丈夫ですって、なぁ、ルクセブルっ!」
「ああ、でも気を付けなきゃ……ね、?ぇえ~~~~~~~~~っ?!うわあぁぁぁ………… …!。
」
ザザザザザザ──────────ッッッ!!!!!!
もの凄い勢いでルクセブルは落ちていき、すぐに姿が見えなくなってしまった。
「えっ!?ルク?ルクッ!!ルク──────ッッ!!!!!!」
ルクセブルはどうやら足を滑らせてしまったようだ。その下には何があるかわからない。
咄嗟に手を差し伸べたニコルだが、間に合わず。
そのままルクセブルを探しに行こうとするニコルだが、雪がまた吹雪いてきたので周りのスアンたちに止められた。
「ダメだ、ニコル。今動けば二次被害になる。」
「けどっ!ルクが!ルクがっ!!」
「山では動く時とそうでない時の決まりがある。これ以上戦力を割くわけにはいかない。それにルクセブル殿が怪我をしていなければ必ず何か対策をされるだろう。彼は聖剣の持ち主だ。きっと大丈夫だ!」
「しかし、スアン殿!」
パ────────ン!!
興奮しているニコルに平手打ちが入った!
不意打ちの平手打ちにニコルはそのままその場に倒れてしまった!
もちろん、殴ったのはニコルの父、テルだ。
「お前の気持ちは充分に理解出来る。しかし今は耐えるんだ。これはお前にとってもルクセブルにとっても試練なのだ。」
「親父…!」
ニコルは頭では二次被害がどんなに酷いものかをわかってはいるが、幼なじみでもあり、護衛対象のルクセブルが自身の目の前で足を滑らせて崖を落ちていったのだ。悔しさと心配で、いても立ってもいられないのだ。
「クッソォ──ッ!!」
そう叫んで思いっきり自分の拳を地面(雪)に叩きつけた!
〝ボスッ!〟となるだけだ。より一層悔しさで唇を噛み締めた。
「ルク…!ルク…!!すまん!俺が傍にいながら………!」
その場にうずくまりながら嘆き叫ぶニコル。あんなに取り乱したニコルを見るのは皆初めてだった。周り中が静まっていた。
そこに一人、近づいた者がいた。
ニコルの肩に〝ポン〟と手を置いて
「ニコルよ。自分を責めないでくれ。ルクセブルならきっと大丈夫だ。」
その声を聞いてニコルは〝パッ〟と顔をあげた。そう、声の主はルクセブルの父であるグラナスだったのだ。
「だ…、団長!いえ、侯爵様!………申し訳ございません!!ご子息をお守り出来ませんでした!!何とお詫びすれば………っ!!!!」
グラナスはニコルの顔を見てゆっくり首を横に振り
「いい。詫びなくていい。あやつが気を抜いただけの事だ。無事であれば良い経験になるだろう。もしそうでなかったなら、それまでのことだよ。まあ、あやつには聖剣が付いている!きっと大丈夫だ。心配するな。雪が止めば探しに行こう!」
「…………!!団長ぉ~~~~~~!!」
さあ、戻ろう。
そうして皆、洞窟へ戻って行った。
◆ ◆ ◆
パリ──────────ン!!
何かが割れる音がした。
ここはポルモア王国のアレクサンドラの部屋だ。
〝えっ………?〟
アレクサンドラが音のした方を見ると、そこにはルクセブルからプレゼントされたピンクダイヤのペンダントが突然ヒビ割れていたのだった。
〝え?何で?〟
アレクサンドラは不思議に思うのと同時に不安になった。
こんな事は初めてだ。しかもダイヤモンドが勝手に割れたのだ。不吉な予感しかしない。
〝まさか!ルク様の身に何かあったんじゃ……!!〟
不安になるアレクサンドラ。しかしそれを確認する方法すらない。
急いで用意して馬車をアルクレゼ侯爵邸へと走らせた。もしかしたら侯爵邸になら何か伝達が来てるかもしれないと考えたからだ。
アレクサンドラの急な訪問に対しても笑顔で全員が出迎えてくれた。そして、ルクセブルの母であるラモニアはアレクサンドラの話を聞いて驚きはしたものの、今の所は特に変わった事は何もないとだけ連絡が来ていたと言った。
不安がるアレクサンドラに向かって優しく
「あの子には聖剣が付いてます。必ず無事戻るでしょう。不安な気持ちはわかりますが、信じて待ちましょう。もし何かあれば使いの者を送らせます。それに、ここにはいつでも好きに来てくれていいのよ。あなたはもう娘も同然なのですからね。」
そう言ってニッコリと笑った。
〝そうだわ。ラモニア夫人は旦那様とルク様のおふたりをお見送りされているんだもの、私よりも不安なのに、私ったら自分の気持ちばかり…。〟
アレクサンドラはギュッと唇を噛み締めて自分を反省し、ラモニアに笑顔を見せた。
「はい、お義母さま!」
ご覧下さりありがとうございます。
まさかここでルクセブルが遭難するとは誰もが思わなかった事でしょう。ルクセブルは大丈夫なのでしょうか?!
このお話は完結済みですので今後もご覧下さると嬉しいです。




