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第31話:冬の食糧難を乗り越えるために

■今回は魔物を退治する場面がありますので、少し人によっては残虐なシーンと思われるかもしれないシーンが含まれます。気を付けてお進み下さい。



パチパチパチ…


静かな洞窟で焚き木をしている薪が燃える音が広がる。今のボスの前のボスが住んでいたのだろうか、かなり大きめの洞窟だ。




歴代ボスは先住を嫌う傾向にある。だから手下の魔物たちもその場所にはいかないから我ら人間にとってはとても都合の良い習性だ。だが、そこは感謝だ。こんな大きくて安全な洞窟なのだから。




奥に進めば泉がある。濾過したら飲めるだろう。ここから水源まではかなり距離があるので正直、助かるのだ。




あとは食べ物だが、冬だ。しかも雪が降っているとなると動物たちはほとんど出てこない。


鳥も飛んでいないのだ。


せめて雪が止めば動物にも出くわすかもしれないがそうすると魔物にも出くわす事になる。




食べ物が少ないので皆で少しずつ分け与える。そして交代で仮眠をとるのだ。




合間に武器を作る者もいる。枝を拾ってきては研いで先に石を付けて矢尻にしたり、剣を手から離すわけにはいかないので槍を作ったりもしている。




水確保隊は濾過してボトルに集めている。






「少し…何かいないか見てこよう。」




ルクセブルが言った。




「よっしゃ!俺も付いて行くぜ!」




ニコルが立ち上がった。






「お二人共、あまり遠くに行かないように、迷うことになりますから…。」






スアン騎士団長が言う。




「わかった!」




2人が返事をして外着を着て洞窟をあとにした。






「ほぇぇぇー。真っ白で何も見えねぇや!」




「ああ、吹雪だな、これじゃあ動物もいないよね。せっかくだけど戻るか。」




「しゃーねぇな、またにすっか!」






2人して引き返そうとしたその時!






ガサッ!!










「…………!!」




音の方を振り返る








キツネだ!








ニコルと顔を見合わせるルクセブル。








そう、


キツネがいるとガガールがいる可能性が高い!




この山に入って最初に出くわした奴だ!!








「まさか!ガガールも雪に弱いんじゃなかったか?!」




「現実を見ろ!ニコル!何か黒いものが動いてるぞ?」




一体何体いるだ?


こっちは2人だ……!








視界が段々冴えてきた。雪の勢いが収まってきたのだ。






ス、ススーッと視界が広がった。








なんと!




このガガールは単体で行動していたようだ。




「助かった!何とかなる!ヨシ!洞窟から離して僕たちで何とかしよう!」




「ああ!俺たちで皆を守ろうぜっ!」




2人は洞窟とは反対側へ逃げるように走った!






…………が!!




ズボッ、ズボッ…






走れない…


足元が雪で埋まって上手く走れていないのが現実だった。




それでも必死で走る!






振り向いてニコルが追いかけてくるガガールに向けて矢を放つ!






ビュンッ!




ガガールは動きが鈍いので肩にドスンと当たった!






「ヨシ!ピカッタで散々弓矢の練習させられたからな!コイツ相手ならチョロいぜっ!」




そのまま振り返り、ガガールにもう一度矢を放つ!




今度は倒れかけた背中に命中した!




「ルク!トドメだっ!」




ニコルの掛け声と共にルクセブルは倒れて立ち上がろうとしているガガールに剣を振りかざした!






────ザシュッ!!!!───






「ギエェェェエエェェェ…!」






悲鳴を上げながらガガールはその場に倒れて絶えた。






「ふぅーッ、やったな。」




安心してニコルはその場に経たり混んだ。






「お疲れさん、ニコル!」




「お前もな、ルク!」






立ち上がって、2人で倒したガガールをマジマジと見ている。


口をきったのはルクセブルだ。




「さて、皆、魔物って食べるのかな?」




「さあな、ガガールだったら食うんじゃね?」




「だが、どうやって運ぶか….。うーん。」




ルクセブルが悩んでいると




「その剣で捌いてやれば?」




ケラケラ笑いながらニコルは言った。






「はあっ?!」




〝聖剣を調理に使えと?〟




そう思いながら剣に視線をやると「ガチャ」と言う音がした。ルクセブルも初めて聞く音に不審に思い剣を抜こうとするが、抜けない!




「え?あ…あれ?」




「ルク~~~!嫌だからってそんな芝居してんなってぇ!」




「いや、ホントに抜けないんだ!」




「貸してみ?抜くだけなら俺でも出来っしょ?」




と、ニコルが触るが抜けない…。






「ガハハ…!!剣が拒否った!!」




「はあっ、どうやらそうみたいだね。そりゃそうだよ、ニコル。聖剣だよ?プライドだってあるさ!そんなにツボるとこ?!」






ニコルの笑いは止まらない…。


暫く放置してると笑い飽きたのか突然、




「じゃあ、仕方ない、何人か料理担当呼んでくるか。そこで待ってて?」




そう言ってニコルは洞窟目指して行った。








〝もう、ニコルはめちゃくちゃ言うよな。聖剣よ、驚かせてごめん。〟




そうルクセブルが心で呟くと「カシャン」と音がした。


「………?」


試しに抜いてみると抜ける…!




ルクセブルはこの時、悟る。


聖剣にも意思があることを!






〝そうか、君が僕を守ってくれていたんだね。ありがとう!共に早く自領に帰ろう!〟




今まで守ってくれた事に感謝した!!









暫くしてニコルが何人か連れてきてガガールの解体が始まった。


自分たちが生きるためといえ、この様を目の辺りにしたルクセブルは魔物を倒すことの意味について考えることとなる。




自分たちに害をなすもの


だから退治する




しかし、魔物だけの場所でなら彼らは街に出たりせずとも暮らせるのではないか?だとしたらやはりボスの統制が必要なのだと改めて今回の任務の重要性を感じた。






上手く共存するために必要なことだ。


そしてせめてもの手向けだ…。




心の中で自分たちの糧となった魔物、ガガールに対して手を合わせた。




任務を成功させ、こういう事が二度とないように…。




ルクセブルはやる気に満ちていた。




そうして捌かれたガガールはその場で調理されたり、干されたりと余すことなく使われていった。





ご覧下さりありがとうございます。

冬の間は魔物たちの活動も鈍るため、各々武器を作ったりして過ごしてます。


このお話は完結済みですので今後もご覧下さると嬉しいです。

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