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第 3話:婚約申込みに慌てるフレシアテ家

このお話はフィクションです。


翌日、アルクレゼ侯爵家からフレシアテ伯爵家に求婚状が届けられた。






使いの者から書簡を受け取ったフレシアテ家は大騒ぎとなる…。






「アレクサンドラ!アレクサンドラ!!」




ちょうど家族で朝食を摂っていたところだった。






アレクサンドラは不思議そうな顔をして父を見つめた。




「どうなさったのですか?お父様。」




「食事どころではないぞ?!」




「…??」




「あの!あのアルクレゼ侯爵家から!」




「…?」




「お前に求婚状が届いたのだ!!」



父のトーマス伯爵以外の家族が一斉に持っていたカトラリーをテーブルの上に落とした。

それだけ驚くことなのだ。



「あなた…!!それは本当なの?!」


母のマリアンヌがトーマスに問う。



「もちろんだ。ほら、これを見てご覧。」



そこには「フレシアテ伯爵家のご息女アレクサンドラ嬢を我がアルクレゼ侯爵家の長男ルクセブルの婚約者として招き入れたい」との文言が書かれていた。



マリアンヌは目をパチクリさせながらその場で固まっていた。


当の本人、アレクサンドラは…



こちらも固まっていた。


ただし、こちらは目を見開いたままで…。




「姉様!姉様!!ちゃんと息してる?」


弟のラモンがアレクサンドラに向かって言葉をかけた。



はっと我に返るアレクサンドラ。



「お父様、どうして私なんでしょう…!?」



そう問うアレクサンドラ。

戸惑いと疑問の中には誰も知らない思いが秘められていた。



そう、

アレクサンドラもあの時の出会いからルクセブルのことを意識していたのだ。


でも侯爵家から見れば格下である伯爵家。

しかも、どのご令嬢からも引く手数多のルクセブルなのだ。

そんな彼の家門から自分宛に求婚が来るとは思ってもいなかったのだ。



驚きはするものの、アレクサンドラの胸は高鳴り喜びが込み上げてくる!



「アレクサンドラ、この話、引き受けてもいいな?」


父トーマスがそう言った。

彼の顔からはアレクサンドラに対して複雑な気持ちが読み取れる。


アレクサンドラの気持ちを優先したいが格上からの申し出に理由なく断ることが出来ないからだ。



そんな父の心境を知らないアレクサンドラ。


「はい!お父様」


ニッコリと微笑んで答えたのだ。

予想外の反応に父トーマスは戸惑った。

本当に良いのだろうか…と。


「おめでとう!アレン。」


「お母様…、ありがとうございます。」


アレクサンドラは嬉しさのあまり少し涙ぐんでいた。



「やったね!姉様!」


「ふふっ、ありがとう、ラモン。」



弟のラモンも祝いの言葉を述べてくれた。密かにルクセブル様のことを好いていたってラモンは気付いていたのかな?まさかね、と、アレクサンドラは思った。




こうして無事、ふたりは婚約することとなった。



改めて婚約式の日取りの打ち合わせやらで

双方の母達は大忙しだ。

取り仕切るのは侯爵家がメインとなって行う。

式場を決めて司祭を呼んで、参列者にも招待状を用意せねばならない。

やることは山積みなのだ。


だが、まずは正式に婚約者となるふたりの顔合わせの場を設けることにした。



アレクサンドラ達フレシアテ伯爵家はアルクレゼ侯爵家から半月後に顔合わせの為に招待を受けた。

アレクサンドラの母マリアンヌは訪問着を手配したりと準備に明け暮れていた。





一方、ルクセブル側は…




「ルクセブル、あちら側からも了承を得たわよ。」


ルクセブルの母ラモニアがルクセブルを自室へ呼び出して告げた。


「本当ですか、母上!」


ルクセブルの顔がパアっと明るくなった。


お前からの申し出を断れる令嬢がどこにいるというのだろうか…

自慢の息子の反応にラモニアはそう思った。


恐らくこのポルモア王国でルクセブルよりも格上男子はダナジー・デ・ポルモア王太子くらいだろう。

それくらい自身の息子は自慢なのだ。




「半月後に両家の顔合わせの席を設けることになりました。予定しておきなさい。服も用意させましょう。」


微笑みながらラモニアはルクセブルを見て告げた。


「はい、母上!必ず出席します。」


フッと笑ってラモニアは続けた。


「手土産はこちらで用意します。しかし、令嬢へのプレゼントはお前が自分で用意なさい。わかりましたか?」


「ぼ…僕がですか!?」


ルクセブルが慌てて答えた。


「当たり前ではないか。お前のこれからの伴侶になるのですよ?」


伴侶…という言葉にルクセブルは顔をカッと赤らめた。


「わ…わかりました。」


そう答えたものの、ルクセブルは今まで女性とのお付き合すらしたことがないのだ。

いきなりプレゼントと言われても何を贈ればよいのかわからないのであった。





自室に戻り贈り物の事で頭を悩ませるルクセブル。

窓の外を眺めて目に入るのは母自慢の立派な庭園だ。その先には温室もある。


彼女も花が好きそうだったな…。


ルクセブルは庭園を眺めながら彼女との出会いを思い返していた。

そして婚約出来た事の喜びを噛み締めていた。

ご覧いただきありがとうございました。

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