第18話:ルクセブル二十歳の誕生日
婚約式も無事に済み、今まで以上に頻繁に会うことが出来るようになったふたり。ステファニ公爵夫人に気に入られているアレクサンドラは公爵夫人にルクセブルと2人して呼ばれることも多くあった。
その度に王国の歴史やマナーなどを知る機会にも恵まれ将来の侯爵夫人としての勉強も少しずつ学んでいくのだった。
もちろん、ラモニア侯爵夫人からも侯爵家のしきたりなどを学び、時にはステファニ、ラモニア、アレクサンドラでお茶を楽しんだりして過ごしていた。
ラモニアもアレクサンドラの気さくで穏やかな性格が気に入っており訪問をいつも待ち遠しくしていたのだ。
そんな幸せな日々を送っていたある日のこと。
「そう言えばラモニア!そろそろルクセブルの誕生日ではなくて?」
ステファニ公爵夫人が言う。
「あら、よく覚えておいでですわね、お姉様。」
「ほほほ。可愛い甥っ子のことだもの。」
「まあ!ルク様のお誕生日ですの?」
「そうよ、アレクサンドラ。誕生パーティーを開くから手伝って下さるわね?」
「勿論ですわ!パーティーの開き方を教えてください、ラモニア夫人。」
ラモニアはコクンと絵がで頷き、
「それではまず日取りだけど…」
そう言ってラモニアは紙とペンを用意した。
「上位貴族の子息は17歳になるとまず王室騎士団所属の騎士見習いとなります。これは説明したわよね?」
ラモニアはアレクサンドラを見て問う。
「はい。覚えてます。」
〝よろしい〟というような表情で頷き、話を続ける。
「そして20歳を迎えると、ひと月以内に騎士判定試験に申請して騎士の称号を得るための試験に挑み、それに合格すると正式に騎士となるの。ルクセブルは 誕生日パーティーを開くなら称号を得てからにして欲しいと昔から言っていたので、この日からこの日あたりが良いと思うの。」
「騎士になるのって大変なんですね。」
「ほほほ。あやつのことだから翌日にでも試験を受けてきそうだ。」
「本当にそんな気がしますよ、お姉様。」
「ふふっ。ルク様のことですからきっと一発合格に違いありませんわ。」
「ほほほ。アレクサンドラ、よく分かっているじゃないか。」
女性陣が集まると必然的に賑やかになるもの…..。特にパーティーの話となると弾むのだ。
「アレクサンドラ、衣装はこちらに任せてね!」
「あ、はい!よろしくお願いします。」
「招待客はどうしようかしら…。」
「うむ。ここと、ここは外せないし、ここも入れた方が良い。」
ラモニアとステファニは家門の名前を書き出して話だした。
アレクサンドラもメモなどを見ながら必死で話についていった。
基本家門の家族全員を招待する。
そうなれば侯爵家も上位貴族だからあのふたりもくるのだ。
アレクサンドラはドキッとしたがステファニは
「大丈夫だ。」と言ってアレクサンドラの手をギュッと握った。
招待客が決まると招待状を作成する。
これは女主人の大事な仕事だ。
アレクサンドラもラモニアの〝手〟を真似て招待状を書く。
自分寄りの親族宛の分を任されたのだ。
文面最後に〝代筆:アレクサンドラ・フレシアテ〟と入れる事で既に婚約は国中が知っているので、「花嫁修業の一環」として捉えてくれるからだ。
アレクサンドラの字は丁寧で美しくあったために他の家門への宛て書きを任されたのだ。
こうして仕上がった招待状を各家門に届けてもらい、ようやく一段落。
次に、会場の飾り、食事のメニュー、ダンスパーティー広場などまだまだすることは沢山あった。
そんな中、当の本人ルクセブルは、20歳の誕生日を迎えた当日、家族にお祝いを受けた。
「ルクセブル、20歳の誕生日おめでとう!これで騎士の称号試験を受ける資格ができたな。」
父グラナスが言う。
「はい、父上。ありがとうございます!明日試験を受けて参ります!」
「ほほおー、もう試験の申し込みが通っていたか!」
「はい、早く騎士の称号を得たかったので!」
「よし、明日頑張るように!」
「はい!父上。」
「ルクセブル、おめでとう。」
「母上、ありがとうございます。」
「すっかり頼もしくなって…。」
「母上、お陰様です。」
「兄様、お誕生日おめでとうございます!」
「ああ、ありがとう、ラナシー!」
「益々カッコよくなってアレクサンドラ様も心配なさるんじゃないかしら?」
「ハハハ!そんなことないよ、ありがとう!」
賑やかに誕生日を迎えたルクセブル。
この日はどこに行ってもお祝いモードだった。
昼下がりに執事からそっと告げられた。
「ルクセブル様、フレシアテ令嬢がお見えになりました。」
バッと驚くルクセブル。
今日は約束していなかったし、アレクサンドラには自身の誕生日を伝えていなかったのだ。
「わかった、」
慌ててアレクサンドラの待つ庭園に向かうルクセブル。
アレクサンドラの姿を見つけたルクセブル。
「アレン!」
ルクセブルの声にアレクサンドラは振り返る。
「ルク様!」
とびきりの笑顔だ!
「急にどうしたの?僕は凄く嬉しいよ!」
「まあ!どうしたって…!ルク様?今日はお誕生日でしたのよね?」
「……!!」
「ふふっ、20歳のお誕生日おめでとうございます!」
「知ってたの…?」
「もちろんですわ。私、ラモニア様とステファニ様に仲良くして頂いてますのよ?お忘れですか?」
「ははっ、そうだったね。あなたには凄い味方が沢山いたんだった!」
「それも全てはルク様と出会ったからですわ。」
「それは僕の方こそだよ、こんなに幸せなのはアレンに出会えたからだ!ありがとう!」
「ルク様…。」
ルクセブルの飛び切りの笑顔に自身の心臓が〝トクン!〟と跳ねた。
2人はそのまま見つめ合い………
そっと口付けをした。
とても自然に…。
夏の陽射しが厳しくあったが木陰は涼しく風が爽やかに吹き抜けていった…..。
「ルク…さ ま…」
アレクサンドラが声を出した瞬間、ルクセブルはアレクサンドラをギュッと抱きしめた。
「ル……、ルク様!く、苦しいですわ!」
少しルクセブルの腕の力が弱まった。が、抱きしめられたままだった。
「ルク…様?」
驚くアレクサンドラに対してルクセブルは耳まで真っ赤になっていた。
〝僕は…,嬉しさのあまりアレンに…!〟
そう…、口付けした自分を責めていた。
いや…、
〝アレン、アレン!ずっとこのままあなたを抱きしめていたい!ああ…アレン!!〟
…………大いに喜んでいた!!
一方アレクサンドラの方はというと冷静を装いつつも心の中では
〝きゃあ~~~~~~っ!ルク様と!ルク様と…口付けしてしまったわ!ど…、どうしましょ!!〟
と、こちらも大騒ぎだった。
しばらくそのまま抱きしめ合うふたり…。恥ずかしくて顔を見せられないのと同時に幸せの余韻に浸っていた。
それから程なくして
「アレン、明日騎士の称号を得る為の試験を受けてくるよ。」
そう言ってルクセブルは抱きしめていたアレクサンドラから身体を離して告げた。
「明日受けられるのですね、頑張って下さいね!ルク様なら1度で合格しますわ!」
「ああ!絶対受かってくるよ!祈っててくれるかい?」
「もちろんですわ。ルク様!」
フッと優しく微笑んで、そして再びアレクサンドラに口付けをした。
ふたりの距離はどんどん縮まっていった。
ご覧下さりありがとうございます。
二十歳を迎え騎士の称号も無事得る事が出来たルクセブル。アレクサンドラとの距離も段々縮まっていく。
初めてのライトノベルですが完結しておりますので今後もご覧下さると嬉しいです。




