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永遠に咲くシラユリをあなたに…(初ラノベ)  作者: 慧依琉:えいる


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第17話:ふたりの婚約式

長い春がもうすぐ終わり夏が間もなくやってくるという春の終わりに近い頃、ルクセブルとアレクサンドラの婚約式が行われた。


招待客は両家が相談し、王太子とレルロア、各上位貴族家の代表2名が招待された。

結婚式は盛大になるだろうと予測して婚約式は控えめにしたいというふたりの気持ちを汲み取ってのことだった。

続々と侯爵家に客人が到着する。


両家の家長と夫人は客人のおもてなしに大忙しだ。


「本日はおめでとうございます。」


「ありがとうございます。」


「どうぞお披露目のお席にご案内致します。」



ガーデンパーティーのため、既に賑わいつつあった。





その頃主役のふたりは………



「アレン!とっても綺麗だ!」


「ルク様も素敵でしてよ?」


「口付けの練習でもしとく?」


「まあっ!ルク様ったら、婚約式では口付けはしないのですわよ?それに今の話の流れでどうしてそうなりますの?もうっ!」


「ハハハ!その手には引っかからなかったか!僕はいつだってあなたに触れたくて堪らないんだ。」


「もう、ルク様ったら、恥ずかしいですわ。」





コホン!


「………あのー………。」



咳払いに人の気配に気付くふたり(ルクセブルは気付いていたが敢えて無視していた。)


「気持ちはわかるけど、そろそろ時間だよ。」


そう言ったのは王太子のダナジーだった。




「ダナジー、もう少し待ってくれてもいいじゃないか…。」


「何を…!僕が来てるのに気付きながら…!ほら、皆が君たちを待ってるよ!」



〝え~~~?!王太子様、ずっといらしたの???ひゃぁぁ~~~!〟

アレクサンドラは顔が真っ赤になった。


「もう、殿下!気を利かせて下さい。アレクサンドラ嬢が大変な事になりましてよ?大丈夫?しっかりなさい!」


レルロアの言葉にハッと我に返った。



「主役なんだから堂々とね!今日は誰もあなたたちを辱めるような人はいないはずよ。」


アレクサンドラはコクンと頷き


「ありがとうございます、レルロア様。」


レルロアも頷いた。


「行ってきます!」


そう言うアレクサンドラに軽く手を振るレルロア。




「さあ、殿下。私達も行きますわよ!」



そうして控え室には誰も居なくなった。









会場となるガーデンではふたりの入場をまだかまだかと待ちかねていた。





リゴーン…リゴーン…リゴーン……


鐘がなる。



「只今よりアルクレゼ侯爵家ルクセブル様とフレシアテ伯爵家アレクサンドラ様の婚約式を始めます。では、おふたりの入場です!拍手でお迎え下さい!」


司会がそう告げると入場用に音楽が流れ拍手が湧き上がった。

ふたりが入場してくる。揃いの白の衣装が華やかだ。


「まあ、お似合いのふたりね。」


好意的な言葉も漏れ聞こえてくる。

アルクレゼ侯爵家を前に悪く言う家門はどこにもいない。なぜなら親戚にステファニ公爵夫人のハルモア公爵家、夫人の出自のシタレン公爵家、そして幼なじみとして王家とも親しいのだ。

フレシアテ伯爵家だけなら悪口もあったのだろうが、アルクレゼ侯爵家にも関わるのだから悪口を言う者は誰一人としていなかった。


そう、ナハムのトロファ侯爵家とミルマのノトロフ侯爵家さえもだ。





司祭の前に立つふたり。



「これよりルクセブル・アルクレゼとアレクサンドラ・フレシアテの婚約式を行います。ふたりはこの婚約に異議はありませんか?」


司祭がふたりに尋ねた。


「ありません。」


ふたり同時に即答した。

遠くでダナジーは〝即答かよ?〟と吹き出しそうにしている。


そう答えたふたりは顔を見合わせて微笑んだ。

その様子を司祭は微笑ましそうに見ながら


「それでは婚約の証の指輪を…。」


と、式を進行させた。

介添人が指輪を持ってきた。

指輪を手に取りアレクサンドラを優しく見つめるルクセブル。


「アレン、左手を…。」


「はい、ルク様。」


ルクセブルを見つめ返すアレクサンドラ。

ルクセブルはそっとアレクサンドラの指に指輪を嵌める。

次はアレクサンドラの番だ。


「ではルク様…。」


「ああ。」


アレクサンドラに優しく手を差し出す。

そしてアレクサンドラもそっとルクセブルの指に指輪を嵌めた。


その瞬間にルクセブルはアレクサンドラの手をギュッと掴み、そして彼女の手の甲にキスをした。


〝ル…!ルク様っ!?〟アレクサンドラは真っ赤になった。


周りはドッと笑いに溢れた。

〝どれだけ好きなんだよルク!〟と、ダナジーは派手に笑っていた。多分、周りも同じ気持ちだろう。


コホン! 司祭が軽く咳払いをして


「これにて婚約式をお開きに致します。」


と告げると今度は周りから歓声が上がった。

あちこちから〝おめでとう〟の声が聞こえてくる。

ふたりはまたお互いに顔を見合わせて微笑んだ。とても幸せそうだ。



そしてルクセブルが大きく息を吸って


「本日は私たちのためにお集まり頂きましてありがとうございます。無事、婚約が認められ今後2人で愛を育み婚姻に臨みたいと思います。これからも僕たちを見守って下されば嬉しく思います。」


来賓に挨拶をして頭を下げた。

すぐさまアレクサンドラもカーテシーを披露する。


ルクセブルの声に会場が無言になっていたが、また賑やかにふたりを祝福する声で溢れかえった。


その後、パーティーは和やかに続いた。主役のふたりは各家紋代表へ挨拶に回った。好意的に受け入れられてルクセブルもアレクサンドラも一安心した。




ダナジーはまだ笑っていた。


「どう?あの二人見て…。」


「どう?とはどういう意味ですの?殿下。」


「僕たちの婚約式を思い出さないかい?レルロア。」


「ふふ、そうですわね。もう忘れましたわ。」


「えっ?まだ2年も経ってないよ?忘れたなんて嘘だよね?」


「ふふふ。さあ、どうかしら?ふふ。」


慌てる王太子ダナジーの姿を見て密かに楽しむレルロアでした。





ご覧下さりありがとうございます。

今回は2人の婚約式です。流石にこの日ばかりはナハムのトロファ家もミルマのノトロフ家も大人しくしてました。

初めてのライトノベルですが完結しておりますので今後もご覧下さると嬉しいです。

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