第16話:試練のお茶会!勝者は…
お茶会当日
アレクサンドラは自身の馬車でナハム令嬢のトロファ侯爵家へと向かった。
邸宅に到着すると執事が出迎えた。
「お招き頂きましたアレクサンドラ・フレシアテです。」
執事に向かって挨拶をした。
「ようこそお越し下さいました。どうぞこちらに…。」
執事はそう挨拶を述べお辞儀をしてお茶会のある庭園へと案内した。
〝あぁ…、デジャブを感じるわ…。あの時もこうして最初は賑やかだったのよね。〟
アレクサンドラは心の中でそう思って執事に付いて行った。
執事とアレクサンドラが現れた途端場が静まり返った。
「お嬢様、アレクサンドラ・フレシアテ様がお着きです。」
「そう。ありがとう執事長。」
ナハムは執事に対して礼を言いニッコリ笑ってからアレクサンドラに近付いてきた。
すかさずアレクサンドラはナハムに挨拶をする。
「本日はお招きありがとうございます。ナハム様。」
サッとカーテシーを披露する。
そのカーテシーを見てナハムはピクッと反応してから
「ようこそ、アレクサンドラ嬢。ドレスコードがよくお分かりになりましたのね。」
〝やはり、あの違和感のリボン柄の正体はドレスコードだったのね。良かったわ、公爵夫人があの場にいらして。もう少しで恥をかくところでしたわ。〟
そう思いつつ
「たまたまでございます。」
そう言ってニッコリと笑顔を返した。
どう見てもナハムの方が冷静さを欠かしている様子だ。あの招待状ならドレスコードを間違っても不思議ではないのだから….。
ピンク系の〝花瓶の花〟が挿絵としてあったのだから。
そうしてまずは無事にお茶会が開始した。
今回も立食形式だ。この春に社交界にデビューしたばかりのアレクサンドラには友人はいなかった。前回のお茶会で友人を作る間もなく退席したので今回もやはりひとりぼっちになってしまった。
〝はぁ~~~、これだからお茶会は嫌なのよね…。でも仕方ないし、今度こそお茶菓子たちを楽しみましょうか。〟
そう思ってお菓子を取り皿に取っていると声をかけられた。
「あ…あのぉ…。」
「?」
振り向くと数人の女の子たちがいた。
〝また!?〟アレクサンドラは内心焦った。
「私たち、先日の舞踏会でのこと、お聞きしましたの!」
「そんなんですの!あの公爵夫人に声をかけられたとか…!」
女の子たちは次々と話かけてきた!その様子に驚く。
「あ…、はい。偶然お声を掛けて下さいました。」
彼女たちの勢いに押されそうなアレクサンドラ。こんな事は人生で初めてなので戸惑っていた。
「まあ素敵!!あのマナーにやたらと厳しい夫人ですのよ?それなのにお目に留まるなんて!羨ましいですわ~~~!」
「そうですわ!」
周りは褒めちぎる。が、
「とんでもないです、」
アレクサンドラ自身は賞賛の嵐に逢い戸惑ってしまう。
遠くからこちらを睨む視線が2つ…。
〝あの視線が痛いですわ、きっとお茶会を台無しにしたと思われてるに違いありませんわ。どうしましょう…。〟
「あ、あの!皆様落ち着きになさって?ナハム様がとても美味しいお茶菓子を用意して下さってますわ。せっかくですので頂きましょう?」
「まあ!そうでしたわね!頂きましょう!」
〝ホッ…。何とか話題を移せたわ。このままでは私が主役になってしまって主催主に失礼になるところでしたわ。〟
令嬢たちはわいわいと賑やかに茶菓子を選んでいた。
「まあ、皆さん!我が家特製のいちごパイはお口に合いまして?」
ナハムがそう切り出す。
「ええ、とっても濃厚で美味しくてよ。」
「流石トロファ家ね!」
賞賛の声があちこちから聞こえてきてナハムはご機嫌だ。
調子にのってきたナハム。
「アレクサンドラ嬢、あなたの所には専属のパティシエはいらっしゃるの?」
意地悪そうにアレクサンドラに言う。
「いえ、パティシエはおらず全て料理長が賄います。ナハム様の所のお味には到底及びませんが美味しいです。」
「あらまあ、専属はいないのね。田舎の伯爵家ですもの、仕方ありませんわ。その分沢山召し上がっていって下さいな。」
「お気遣いありがとうございます。」
アレクサンドラは馬鹿にされている事はわかっていたがここで問題を起こす訳にもいかず、グッと耐えた。
そんなアレクサンドラの様子を見てナハムとミルマは顔を見合わせながらニッと笑う。そしてミルマが次にアレクサンドラを辱めるための言葉を発しようとしたその時、
「きゃぁ~~~っ!」
と急に騒ぐ声がした。
驚いてその声の方向に視線を向けると、そこにはアルクレゼ小侯爵、ルクセブルが現れた。
ナハムはルクセブルと目が合った!
〝ど…どうして急にルクセブル様がここに?!〟驚き固まるナハム。
ルクセブルはお構い無しに主催者のナハムの方に向かって歩き
「ナハム嬢、大切なお茶会に急に来てしまい申し訳ありません。急用が出来ました故アレクサンドラ嬢を迎えに来ました。連れ出したいのですが。」
「まあ!ルクセブル様!そのようなご事情でしたらどうぞお連れになって下さいな。ルクセブル様でしたらいつでも皆様大歓迎でしてよ?」
「ありがとうございます。では、失礼します。」
そう言ってナハムにお辞儀をしてからアレクサンドラの方へとやってきた。
「さあ、アレン。行こう。」
サッと手を差し伸べた。
「はい、ルク様。」
「皆さん、お邪魔して悪かったね。」
ルクセブルがそう言って軽く会釈すると周りは魂を吸い取られたかのようにぼーっとしていた。
アレクサンドラはルクセブルの手を取り、周りの令嬢たちへ挨拶をした。
「本日は楽しかったです。ありがとうございました。お先に退席させて頂きます。」
そうしてお辞儀をしてルクセブルと共に会場である庭園を後にした。
後ろからはルクセブルに対しての黄色い歓声とアレクサンドラを羨ましがる声が聞こえてくる。ふたりはお互いの顔を見て微笑んだ。
そして侯爵家の馬車に乗り込んだ。
ルクセブルは到着した時に自分が送るからと伯爵家の馬車は先に帰していたのだ。
〝あれ?ルク様?何気に衣装合わせてませんか?〟
と思いまじまじと見つめていると
「伯母様から聞きました。あなたがこちらにいる事も衣装のことも。」
「まあ、夫人が?」
「伯母様は余程あなたのことを気に入ってるようですね、アレン。僕も嬉しいよ。」
「私もルク様の伯母様である公爵夫人に気に入って頂けて嬉しいですわ。」
そう楽しそうに会話をして伯爵家へと帰って行った。
ふたりが後にした庭園では今もまだ去り行く二人を見て各々色んな話をしていた。羨ましがるひと、感動する人、アレクサンドラに憧れを抱く人がほとんどでした。
そんな中、ナハムとミルマだけが悔しい思いが一層大きくなっていた。
ご覧下さりありがとうございます。
今回はお茶会の様子を書いております。
ミルマやナハムの思うようにはならなかったアレクサンドラにまたもや穏やかな気持ちにはならない2人。このまま諦めてしまうのでしょうか?
このお話は初めてのライトノベルですが完結しておりますので今後もご覧下さると嬉しいです。




