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【完結】シラユリシリーズ①永遠に永遠に咲くシラユリをあなたに…(初ラノベ)  作者: 慧依琉:えいる


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第15話:新たな挑戦状が届く

王宮を出て馬車はゆっくりと走り、日付が変わる前に伯爵家に到着した。


執事が連絡したのだろう…。母マリアンヌが玄関前で待っていた。



「ドウドウ…!」

馬車の馭者はそう声を掛けて馬車を停めた。

そして扉を開けた。


「到着致しました。」


「ありがとう。」


そう言ってまずルクセブルが降りてきた。

そして馬車の中にいるアレクサンドラに手を差し出す。


「さあ、アレン。」


ルクセブルのエスコートでアレクサンドラは馬車から降りてきた。

そしてそのままふたりは歩いてマリアンヌの前に行く。


「ただいま戻りましたわ。お母様。」


「遅くなり申し訳ございません、伯爵夫人。」


アレクサンドラのあとにルクセブルも挨拶をする。


マリアンヌはフッと笑って


「娘を送り届けて下さってありがとうございます、小侯爵様。おかえりなさい。アレン。」


「いえ、当然のことです。今夜はこれにて失礼します。」


「ええ、またいらして。そして気を付けてお帰りくださいね。」


マリアンヌはそう言ってお辞儀をした。




「ルク様!今日は本当にありがとうございました!とても素敵な舞踏会になりましたわ。」


「ああ!僕もです。アレン。また行きましょう。暫く会えないのが残念です。」


「わ…、私も会えないのは寂しいですわ。」


「妹にまた手紙を託します。」


そう言ってルクセブルは笑った。


「ふふふっ、私も弟にお手紙を託します。」



アレクサンドラも名残惜しい気持ちでいっぱいだったが、この後ルクセブルが屋敷に戻るまでを考えたらそろそろお別れしなくてはならない。


「それじゃあ、また…。」


ふたりは少しの間見つめ合いそして自身の馬車にルクセブルは乗り込んだ。


「おやすみなさい、ルク様。気を付けてお帰りになって下さいね。」


「ああ。アレン、おやすみ。」


そうして馬車は侯爵邸に向けて走り出した。

アレクサンドラは母マリアンヌと共に伯爵邸の門を馬車が出るまで見送った。





「お母様、明日また詳しくお話をします。おやすみなさい。」


「ええ、待っているわね、アレン。おやすみなさい。」


そうして自室に戻った。





「お帰りなさいませ、お嬢様。」


「……!リラ?まだ起きていてくれたの?」


「はい、お嬢様をお手伝いするのが私の役目ですから。」


そう言って侍女のリラは笑った。



「ありがとう。今夜は遅くなったから湯浴みは明日朝にするわね。すぐに寝ることにするわ。お願いね。」


「かしこまりました。お着替えお手伝いします。」


そうして寝着に着替えそっとベッドへと入る。



「お嬢様、素敵な夢を。おやすみなさいませ。」


「ありがとう。リラも素敵な夢を…。おやすみ。」


リラは静かに部屋の扉を閉めて出て行った。

1人になったアレクサンドラは今夜のことを振り返っていた。

とてもじゃないけど、寝付けるわけがない。それだけ色々あったのだ。

しかし、思い出しているうちに幸せな気持ちと安心して気が緩んだのかいつの間にか眠ってしまったようだ…。


アレクサンドラの長い夜はこうして過ぎていき夜明けを迎えた………。






◆ ◆ ◆




「ん…朝?…」


目が覚めたアレクサンドラ。

部屋の中は明るかった。優しい陽射しが所々に差し込んでいる。

小鳥たちの鳴き声も聞こえてくる。


部屋には洗面用の水が用意されていた。

顔を洗ってからベランダのガラス扉を静かに開ける。

フワッと風が入り込む。


〝ん~~~、いい風。素敵な朝ね。〟


アレクサンドラは春真っ只中を感じた。

そしてベルを鳴らした。


〝チリン チリン〟


少ししてノックされる。



「お呼びでしょうか、お嬢様。」


「リラ、湯浴みの用意をお願いね。」


「承知しました。」


そうして湯浴みをして室内着に着替えてから朝食を摂るためにダイニングに向かう。



「お待たせ致しました、お父様、お母様。」


「おはよう、アレン。ラモンは一足先に学園に行ったよ。」


「お父様、ラモンはもう行ったのですか?」


「さあ、席に着いて召し上がれ。」


「はい、お母様。」


そうして席に着いてからアレクサンドラは前夜の事を話しだした。

無事にレルロアと話が出来たこと、そしてふいにステファニ公爵夫人に会えて沢山お話をしてルクセブルの伯母であったことなどを話した。


すると両親は共に驚いていた。

社交界での重鎮であるステファニ公爵夫人からのお誘いを受けた事にも驚いたが、それを堂々とやりのけて話をする自身の娘の度胸にも驚いたのだ。


「ハハハ!流石はアレクサンドラ!心配の必要はなかったな!」


父トーマスは大笑いした。


「もう、ほんとにあなたったら度胸が座ってて驚きだわ。」


母マリアンヌもそう言ってるが楽しそうだった。


「まあ!お転婆だと仰ってますの?」


それは賑やかないつもの遅い朝食だった。





◆ ◆ ◆



その頃、ナハム・トロファ侯爵家では前夜の失態について夫人がナハムに叱責し、3日間の自室謹慎を言い渡していた。

〝酷いわ、お母様ったら。あの場ではどうする事も出来なかったのよ、仕方ないじゃないの。しかもあの子がたまたま上手くいっただけなのに、あんな格下の子と比べるなんて!!〟

と怒りを露わにしていた。


同じ頃、ミルマ・ノトロフ侯爵家でも夫人がミルマに対して3日間の自室謹慎を言い渡していた。

こちらもナハムと同じように不満を抱いていた。


自室謹慎とはいえ、手紙や外部とのやり取りすらも禁止、つまり軽い軟禁だ。


それぞれの夫人は娘と同様にそれぞれと仲が良く、感覚も似ているのだ。今回の事でアレクサンドラに対して良い印象を持たなかった。

この春社交界デビューしたばかりで舞踏会も今回2回目のまだまだ未熟者だ。家柄も格下の伯爵家。しかも領地も小さな田舎だ。それなのに社交界の重鎮の目に留まったのだから良い印象を持つ方が少ないだろう。


しかし社交界の重鎮であるステファニ公爵夫人が認めたとなれば話は変わってくる。表面上は夫人に倣って同等扱いをしなくてはならない。

差別意識の強いトロファ夫人とノトロフ夫人には耐え難い苦痛でしかない。何とかして蹴落としてやりたいのだ。


だが肝心の娘達はそれ以上に未熟だと世間に知らしめたようなものだ。腸が煮えくり返っていても不思議ではなかったのだ。


2人の夫人は互いに相談してお茶会を開くことにしたのだ。アレクサンドラに恥をかかせてやるためだけのお茶会を…。


「ミルマ!お茶会を開きなさい!あの娘にやり返して差し上げなさい!」


こうしてミルマ主催でお茶会を開く事になった。





数日後アレクサンドラの元に招待状が届く。


「お母様…、来ましたわ。」


「そうみたいね。わかっているわよね?」


「はい…。嫌ですが逃げられませんものね…。」


招待状を開封するとそこにはピンク系で彩られた挿絵があるにも関わらず紫のリボンが描かれていた。

「どうしてここにこのリボンが描かれているのかしら…。」

アレクサンドラは不思議に思った。


「どれどれ?私に見せてご覧なさい。」


その場にはアレクサンドラ、母のマリアンヌ、そしてルクセブルの母ラモニア、ラモニアと一緒に着いてきたステファニ公爵夫人がいたのだ。


「ほほう、これはまた手の込んだイタズラね。」


ステファニ公爵夫人が言う。


「公爵夫人?どういう意味ですの?」


「賢いアレクサンドラよ、よく見てご覧。この不自然さに気付いたそなたならこの差出人の意図に気付けるのではないか?」


「はい、不自然すぎました。つまり、わざと描かれてるということですのね?」


「ホホホ…!だから私はそなたが気に入ってるのだ。」


「嬉しいですわ。夫人。」


「うむ。おそらくドレスコードだろう。他の者には伝えており、そなたには伝えずに気付けばそれで放置、気付かねばそなたを辱められる上に招待状に記載しておると言えるからな。明らかに意図的な思惑がここにはあるのだ。」


「そのようですわね。ありがとうございます。夫人。」


「そなたは姪も同然。さて、この馬鹿げた茶会、そなたはどうやり返すのか?」


「さあ、どうしましょうか。ふふ。」


アレクサンドラはレルロアからもふたりの事は自分で対処するように言われている。自分を気に入って毎日コンタクトを取ってくる公爵夫人にもその気概を示さねばならない。行く決意はとうの昔に出来ている。


紫のリボンだからドレスコードは紫なのね。さあ、お茶会参加のために用意しなくては。

アレクサンドラは張り切ってドレスを選んだ。





ご覧下さりありがとうございます。

ステファニー公爵夫人という強い味方をつけたアレクサンドラ。天真爛漫な彼女のその聡明さを気に入った夫人は理由を付けてまで会いに来る程だった。

このお話は完結しておりますので今後もご覧下さると嬉しいです!

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