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第12話:決戦の王室舞踏会


王室舞踏会当日



アルクレゼ侯爵家の馬車がクレシアテ伯爵家へとやってきた。

ルクセブルだ。


「お待たせ致しました、ルク様。」


「いや….、大丈夫だよ。」


「今日はお誘いを受けて下さってとても嬉しいですわ。」


「僕の方こそ誘おうかどうしようかと思っていたところなんだよ。アレンはあまり舞踏会好きじゃなさそうだからね。」


「まあ…!知ってらしたの?」


「クスッ。ああ。ずっとアレンに会えないかと思って探していたからね。」


「………。苦手なんですの…。」


「フッ。アレン、ドレス姿とても似合っているよ。」


「も、もうっ!ルク様ったら!ありがとうございます。嬉しいですわ。」


アレクサンドラは顔をパッと赤らめてしまった。





「あはは。さあ、行こうか。」


ルクセブルはスッとアレクサンドラに手を差し伸べた。そしてアレクサンドラは


「はい、よろしくお願いします。」


と言ってルクセブルの手を取る。




「ああ、こちらこそよろしく。」


そうして2人で馬車に乗り込んだ。





「ルクセブル様、娘をよろしくお願いします。」


母マリアンヌはルクセブルに深くお辞儀をした。


「はい、帰りも一緒に来ますのでご安心下さい。では、行ってきます。」


「お母様、行ってきます。」


そういう2人を見てニッコリと笑ってマリアンヌは見送った。





馬車の中でも2人は仲良く会話を楽しんだ。

そして手紙に書いたことについて少し話をした。


「アレン、僕がずっと傍にいますから安心して下さい。着いたら両陛下、王太子殿下にご挨拶します。その時にレルロアもダナジーと共にいるはずなのでダナジーと共に抜けましょう。」


「はい。ありがとうございます。ルク様。」


〝流石幼なじみなのね。王太子殿下を呼び捨ての名前呼びするなんて…!それだけお二人の絆が深いのね。〟


王城まで馬車に揺られる2人はそれからも色々と話をしたのでした。





◆ ◆ ◆




王宮に到着した馬車は皆列をなしていた。いつもならその列の中に並んでいた。しかし上位貴族は別のところで降りることになっているためルクセブルの侯爵家の馬車はその列を通り越して先へと進む。


〝流石は侯爵家にもなると別なのね。〟

アレクサンドラは思った。

専用降り口には数台の馬車が止まっていた。

アルクレゼ侯爵家の馬車もそこに止まる。


「さあ、アレン。着いたようだ。用意はいいかい?」


「ええ、ルク様。」


2人は馬車から降りて会場へと向かう。



国王と王妃への挨拶は到着した家紋から順に行う。同時なら爵位順だ。


会場入り口に待機番がいる。


「アルクレゼ侯爵家のルクセブルです。こちらは婚約者のアレクサンドラ・クレシアテ令嬢です。」


「かしこまりました。ではご入場をお告げ致します。」


待機番はそう返答をすると頭を下げた。




「ご入場をお知らせ致します!アルクレゼ侯爵家ご子息ルクセブル様、並びにご婚約者のフレシアテ伯爵家のご令嬢アレクサンドラ様のご入場です!」


待機番が大きな声で告げるとドアがパーン!!と開いた。


「さあ、お入り下さい。良き夜になりますように。」

待機番はそう声をかけて深くお辞儀をした。



「行こう!アレン!」


「はい!ルク様!」


2人は颯爽と歩いて会場へ入る。



2人の姿を見た多くの貴族たちは驚いた!


既に知っている者もいたが、招待状を受けていない家紋も多く待機番が告げた〝ご婚約者〟が注目を浴びたのだ。



「え、アルクレゼ小公爵様が婚約?!」


あちこちから聞こえてくる。




〝わぁ~~~、注目を浴びてるぅ~~~。どうしようっ!〟

アレクサンドラの内心は穏やかではなかった。

人生でまだたった2度目の舞踏会なのだ。

緊張は既に限界に達しそうだった。


〝だめ、だめよ!アレン!ちゃんとしなくちゃルク様に影響しちゃうわ!こんな時こそ胸をしっかり張って堂々としなくちゃ!〟


そう自分に言い聞かせて挫けそうな心を奮い立たせていた。




玉座の前に着く。

ルクセブルが国王陛下に向かって挨拶をする。


「陛下にアルクレゼ侯爵家のルクセブルがご挨拶申し上げます。」


「ふむ。ルクセブル、元気そうだな。」


「お陰様で。」


ルクセブルはぺこりと頭を下げる。



「そちらが?」


陛下の視線がアレクサンドラに向く。



「ご機嫌麗しゅうございます、陛下。フレシアテ伯爵家のアレクサンドラでございます。」


挨拶と共にカーテシーをするアレクサンドラ。



「まあ!お見事なカーテシーね。」


王妃殿下が思わず声をもらした。



「お褒め頂きありがとうございます、王妃殿下。」


「中々のご令嬢のようですわね、ルクセブル。」


「はい、彼女のような令嬢は他にはいません。」


「あらまあ、あの堅物のルクセブルがそんなことを言うなんて、ねえ、陛下。」


「ははは!そうだな。ルクセブルにそんな事を言わせるとは中々大したものだ!」


両陛下にそう言われてルクセブルもアレクサンドラもお互いに顔を見合わせてからお互いの顔が赤くなるのを感じた。



「今宵は2人揃って初めての舞踏会であろう?楽しんでまいれ。」


国王陛下がそう言った。


流石に王太子殿下と幼なじみなだけあってルクセブルへの接し方も本当に親しさを感じるものであった。


「はい、ありがとうございます。失礼します。」


2人揃ってお辞儀をした。



そして顔を上げるとその視線の先には王太子殿下がいた。

もちろん婚約者のレルロアも一緒だ。




「ダナジー!久しぶりたね。」


「やあ、ルク!」


「ルクセブル様、お久しぶりです。」


3人がそれぞれ挨拶をする。



「そちらが婚約者の方かい?」


ダナジーがルクセブルに問う。


「ああ。アレクサンドラ令嬢だ。」


「王太子殿下、アレクサンドラ・フレシアテです。お初にお目にかかります。」


ここでもまたカーテシーを披露する。



「へえ、綺麗なカーテシーだね。どう?同じ女性として今のカーテシーは。」


ダナジーは隣にいたレルロアに聞く。



「ええ、とても素敵なカーテシーでしたわ。」


「レルロア様にそのように仰って頂けてとても光栄です。」


アレクサンドラはそう言って頭を下げた。



「さあ、沢山聞きたいこともあるからあっちの部屋で話そう!」


そう言ってダナジーはレルロア、ルクセブル、アレクサンドラを別室へと連れて行った。




そこではほとんどダナジーとルクセブルが中心となって話をしているような感じだった。



「そうだ、ボードゲームをしよう!ちょっと取ってくるよ。あ、ルク!手伝って!」


「了解、ダナジー!」


そう言って2人は部屋から出て行った。




「……………………。」



急に静かになったその部屋にはレルロアとアレクサンドラだけになった。


〝きっとルク様が気を利かせて下さったんだわ。頑張らなくちゃ!〟


「あ…あの、レルロア様。」


思い切ってレルロアに声をかけるアレクサンドラ。レルロアは視線だけをアレクサンドラに向ける。

それでも勇気を出してアレクサンドラはレルロアに向かって言葉を発する。


「先日は本当に申し訳ございませんでした。せっかくご招待を頂きながら途中退場をしてしまって…。しかもお詫びに伺うのもご迷惑をお掛けしてしまって…。重ねてお詫び致します。」


そう言って深く頭を下げた。



「………。」


ずっと頭を下げたままだ。

〝やっぱりお怒りになってらっしゃるんだわ。どうしまょう…。〟そう思ったその時、


「お顔をお上げになって。アレクサンドラ令嬢。」


〝レルロア様がお話になった!〟

パッと顔を上げる。


「あなたの謝罪は受け入れました。もうお忘れになって。」


「あ…、ありがとうございます、レルロア様!」


「あの2人のことはごめんなさいね。私ではどうにもしてあげられなくてよ。」


これは〝自分でなんとかしなさい〟と言う意味だ。レルロアの立場上、どこかの家門に偏りがあってはいけないからだ。



「承知しております。レルロア様。」


アレクサンドラの返答を聞いてレルロアはフッと笑って


「そう、期待しているわ。」


「…………!!」〝レルロア様が笑った?〟



「あなた、根性はあるみたいだから楽しみだわ。」


そう言ってレルロアは ふふふ…と笑った。



そんな時にルクセブル達が戻ってきた。


「楽しそうだね、どうしたんだい?」


ダナジーが問いかけるが


「いいえ、何でもありません。」


と答えるレルロア。



〝あれ…?レルロア様、王太子様とあんまり仲は良くないの?〟

心配事がひとつ減ったと思っていたのにまたひとつ増えたように感じたアレクサンドラでした。



ご覧下さりありがとうございました。

中々レルロアに会う事が出来なかったアレクサンドラは王室舞踏会を利用します。

初めてのライトノベルですが、完結しております。

今後もご覧下さると嬉しいです。


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