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7.都市は選ぶ

よろしくお願いします。ストーリーに少し矛盾があるかもしれませんが、お目溢しください。

ジャケットを椅子の背にかけ、

クラウスはグラスに水を注いで喉を潤した。


(……あとは書類の提出だけ、か)


先ほど、カートのところへ行ってきた。

いつもの定時報告だったが、

カートから少し早く申請が通りそうだということで、書類を揃えるように指示があった。


市民権の手続きは、思っていたよりもあっけなかった。

移民して五年、ようやくこの都市に根を下ろす証を手に入れた。


その証明には、重みがある。

それは“この都市に必要とされている”という印だった。


思わず思考が制度へと流れていく。


――この都市は選ぶ。

必要な者を受け入れ、不要な者を静かに外す。


その中で最も極端な制度が、追放だった。


表向きは存在しないことになっている。

だが、移民局の内部手続きでは、“犯罪歴・精神疾患・感染症”など、

明確なリスクと判断された者を制度外処理として扱う。


(……まあ、仕方のないことだろう)


都市は秩序によって保たれている。

機能しない個人を抱え込めば、全体が揺らぐ。


それは都市設計に携わる身としても、理解できるロジックだった。


(とはいえ、自分には無縁の話だ)


クラウスはソファに身を沈めた。


娘も健康そのもの。

性格も、成績も、申し分ない。

テレーサとの交際もうまくいっている。

人生は、ようやく“軌道に乗った”。


そう、彼は信じていた。


このときまでは――


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