魔王、なんか変な少女と出会う
アイテムを整理してみたが、身につけるものには変化がない。指につけた魔具も残っている。
勇者側の魔法だとすれば、飛んだ先に屈強な戦士がいたならば分かるが、我は無事である。事故か、目的もなしにか?
最近我の家に、宝箱が隠されてるとかいう荒唐無稽な噂が流れておるが、事実無根なのだ。むしろ我が欲しい。
でもまぁ、そんな噂が流れている訳で。襲撃が増えているらしいとは聞いた。はた迷惑なことだ。だから魔王の不在を狙う不届き者の始末のためにも早く帰らねばならぬ。
「だ、だいじょぉぶですかぁ……?」
ああ、どうする我が家に残した飼い鳥よそなたの声を聞かねば我は野獣の牙ですら死んでしまう……(HP上限も下がっている)
「あ、あのう……」
ふと声がした。まさかこれは我に向けているのか……!?
魔王はバッと振り向いた。
「ふぇ、」
線が細っこく、柔いもちのような子だ。金の髪を惜しげも無く晒している。瞳は、珍しい。紫である。そうだ、われの飼い鳥もこの瞳であった。早くも懐かしさに涙が出そうだ。ホーム(魔城)シックというやつよな……。
「そ……あなたは、誰だ?」
「田舎からやってきたのですけれどもぉ。土地勘なくってここらが分かりませんでぇ、助けてくれませんかめぅ……」
いな、田舎?多少訛らせようとしているようだが、元は綺麗なマスター言語(※世界共通言語)だろう。
これを扱えるのはもはや下級市民ではない。階級としては貴族級、種族によれば王族にもなり得るかもやしれん……!
「お、おう。われ…俺はただの旅人だが、何か手伝えることがあるのか?」
「えっと……冒険者の手続きがしたいのですが、怖いお人がいて、どうにか絡まれないようにしたいのですぅ」
この子の語尾に、最近流行りか潤んだ目の顔文字が見える気がする。
絡まれた、というのはアレだろう。見目が綺麗な上に田舎くさくした服装からして我と同じ推測をして身ぐるみを剥がそうと……
いや、保護しようとしたのだろうな。最近はこの街の福利厚生も治安も良いと聞い……てはいないが、初心者の町はだいたい治安がいいか悪いかのどちらかだ。
よし、調査も兼ねるか。(強がり)
コロナになったので数年前に書いてた小説を引っ張り出してみました。喉が痛いです。ピエン通り越してパオンとか言ってた時期です。喉が痛いです。メモでは少女の後ろでピエンさせてたのですが、できなかったので口癖が「めぅ」ってことにしておきます。喉が痛いです。次回更新は明日以降になります。おやすみ安眠