ボーナスは夢の中で。
「ボーナスが、でなかった、バイトするしかないなぁ…」
期待していたボーナスがでず、男は途方に暮れていた。
ここ二十年、どんなときにも、支払われていた年末のボーナス、それが今年は支払われなかったのだ。
早速節約せねばと、飲みに行く予定をとりやめて、割引惣菜を物色していると
飲み屋でみかけたことがある女が声をかけてきた。
寂しい気持ち、失望の気持ちを満たしたかったのだろう。
ついつい、ボーナスが出なかったこと、会社への不満、明日への不安など話してしまった。
すると女は男にこう話した。
「実は私は魔女なのよ。
あなたの今年を振り返り、相応の報酬を与えましょう」
酒の席でもないのに、不思議なことを言うなと思いつつ、わずかでも報酬が入るならと、そもそも冗談でも良いやと、男は女に頼み込んだ。
その魔法とやらにはどうかかるんだ、と。
「今日の夢で支払われるわ。目覚めた時には、枕元に置かれているの。ただし、魔法もただではないわ。1割はお礼にいただくわよ。もらえないなら、起きれないわ」
男は喜んだ。
そんな簡単なことでいいのか。
それなら今すぐ寝なくちゃな、と
男は女に礼をいい、寝付きが良くなるようにと
惣菜ではなく焼酎を買って帰り、飲んですぐ寝た。
夢の中、女が現れた。
男は喜んだ。
「早速、あなたを査定するわね。
あらあら…あなた、今年は沢山の失敗をして
会社に損害を与えていたじゃない
ボーナスは会社に利益がでたらもらえるもの
ところが、あなたは利益さえだしていないじゃないの。
損害を与えた分、そして私への謝礼分、ここで働いて頂戴」
年が明けた。
会社では男が無断欠勤して出社してこず
騒動になっていた。
救急車が来ても、男は、目覚めない。
時々、ため息はつくのに。