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【完結】暑苦しい公爵子息から告白されました  作者: 桜海冬月
最終章

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予兆

※一度目の改稿で時間設定を変更しました。

馬車がグラーツ=ド=フォリンと学園との中間地点まで来た。往路では時間的な余裕がなかったこともあって休みなく動き続けたが、誰もが知っている通り馬車の動力は二頭の馬だ。

馬は人間に比べれば屈強で体力もあるが、歩き続ければもちろん疲れも出てくる。

それに、ハンスは乗り物酔いが激しいので(今現在、既にぐったりとしている)、出来ることならば途中でリフレッシュする時間を作った方がいい。


わたし?


わたしは行きもそうだったが、乗り物酔いは全くと言っていいほどしない性質なので全然大丈夫だ。

というか、馬車の外の農地の景色や森林地帯の常緑樹がとても綺麗で見惚れていたので、むしろ元気なくらいだ。


でもまあ、馬車の様な半閉鎖空間にずっといるのはいくら元気だとしても疲れる。


そのような色々なわけが重なったことで、わたしたちは中間にある小さな町で休息をとることにした。


「では、我々は馬に水を与えて休みを与えるために水辺まで行きます」


馬車を引いていた御者のおじさんたちがわたしたち二人に簡単に挨拶をしてから水辺のある町の外縁部に行った。

休みをとっているはずなのに、アンリエットやリアーナたち護衛はわたしたち二人から離れようとしない。


「この町の中は安全だと思われますので護衛たちも一時解散させて休んだ方がいいのではないですか?」

「そうですね」

「ですが·····」


アンリエットは素直に頷いてくれたが、リアーナは仕事中のため少し頑固になっていて否定の言葉を言い募った。

他の護衛たちの顔も見てみると、大半はアンリエットに同調しているが一部の面々はリアーナと同じ気持ちのようだ。


「仕事熱心なのは守られる側としてもありがたいことですが、山中に入れば魔獣と遭遇することもあるでしょう。その際にここで休息をとらなかった所為で皆さんの調子が万全ではなく、思わぬ事態に陥るのは嫌なのです。ですので、有事にはすぐに駆けつけられる距離に居てくれれば結構ですから、休みなさい」


言い募った面々、特にリアーナは簡単には応じてくれないと思ったのでわたしは命令的な口調を加えつつ休むように言った。


「分かりました。ですが、パウリーナ様は必ずこの場から離れないようにしてください」


強く言った甲斐があったのか、リアーナは渋々ながら休みをとることに承諾の意を示した。


「ええ、約束いたします。馬が戻ってくる頃にはここに集合してくれれば十分ですので、しっかりと休むようにしてください」


わたしは護衛を一度解散させた。

護衛たちが居なくなってから、町で止まって直ぐの時よりも大分マシにはなったが未だに気分が悪そうにしているハンスに駆け寄った。


「ハンス様、吐き気は収まりましたか?」

「お陰さまで目眩が僅かにするだけで吐き気は完全に収まりました。ありがとうございます」


ハンスがどうして感謝しているかというと、わたしが昔お祖母さまに教えてもらった初歩的な治癒魔法を掛けたからだ。

治癒魔法の腕前は癒術師など到底名乗れないほどのレベルでしかないが、運良くハンスには効いたようだ。


「少しでも役に立てたのならよかったです」


ハンスの助けになったことがちょっと嬉しくて笑みをこぼしながら、ハンスの横に腰を下ろした。


座ったは良いものの、話す言葉が見つからずに沈黙が二人の世界を支配している。

馬車の中でのことがあってすぐなので、何を話すべきか分からないというのもあるが、最たる理由はまだ気分が悪そうにしているハンスに話しかけても良いか迷っているからだ。


「雲行きが不安ですね」

「雲行きですか?」


沈黙を破った突然の言葉にわたしは眉を潜めながら返事をした。

上の空で反応が遅れていたわけではない。それどころかハンスの方向に意識を傾けていた。

けど、空を見ても雨が降りそうな天気どころか、四時頃の日が傾きかけて真っ青から赤みを醸し始めているとてもきれいな空模様だ。


「雨が降るとはとても思えないのですけど」

「天気の話ではありません。何か悪いことが起きそうな空気を感じているのです」


ハンスは乗り物酔いの余波を落ち着かせるためか、大きく一度深呼吸をしてから言った。

感覚で動くことも多いハンスだからこそ気づいた異変でもあるのだろうか。


「説明は難しいのですが、空の色がわずかに淀んでいるというか、放散された魔力の波動の様なものを感じるというか······とにかく妙な胸騒ぎがします」


異変を感じ取ろうと思って空に耳を済ましていると、馬と馬を引く御者が戻ってきた。それと時を同じくして護衛たちも戻ってくる。

騎士にはハンスの気持ちが分かる人も居るかもしれないと思って見回してみるが、他の騎士たちにはハンスと同じような不安げな様子は全くない。

全員の集合を確認してからわたしたちも馬車に乗り込んだが、ハンスはなおも不安げな表情を崩さない。




何も起こることなく帰れたら良いんだけど······


もう1話今日中に投稿したいです。

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