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鏡の中に、君を見つける。

作者: ゆのみ

「ねぇ、あなたとわたしって、いつもこうね。


こうやっていつも、

向かい合わせで話すの。


向かい合わせって、

心理的な緊張も生むんだって


なのにあなた、


いつも私の前に立つの。」




君がよく話しているのを覚えている



僕が君を

見るたびに



君は目を細くして

そう言って笑う


僕が君の前に立つ理由なんて


わかりきっていることなのに。




「あぁ、わたしは退屈なの


ねぇ、あなた、わたしの退屈をどうしたらいいのか

教えてくれないかしら」



君はいつも、とりとめのないことを話す。


君は僕など見てはいない。

僕になど話しかけていない。


ただくうに向かって話しているよう。


そういう瞳で

僕を見つめる。




「ねぇ、お願い。


あなたの話を聞かせてよ。


面白くなくたっていいのよ。


あなたの話が聞きたいわ。」



身を乗り出し

たくさんの光の粒を散りばめた瞳を見開く。


あぁ、君はなんて綺麗なんだろう。


僕とは違う。


透き通るような瞳、長い黒髪が光を集めて輝く。

神秘的な光景。


柔らかく、僕の心を包んでくれる。



「あなた、昨日より顔色が悪いわ。


もしかして、あら、嫌だわ。


今日はどれくらい経ったかしら、


あなたと出会ってから」



君の手はいつもガラス戸に阻まれて触れることができない。


君と出会ってから、どれくらい経ったのだろうか。




「帰れなくなるわよ」



3日、4日、いや1週間ほどだったろうか。



「早くしないと」



―ピシッ―


瞬間、君と僕を隔てるガラス戸が割れた。


バラバラに散らばる破片。


落ちていく僕。


君の姿が破片の断片に反射して写る。



「わたしのこと、どうか見つけて」



暗転した意識のなか声が聞こえる



――――


「!!!っっ、あぁ、よかった!目が覚めたのね!」


涙をいっぱいに溜めた見覚えのある顔、母だ。






どうやら僕は交通事故に遭い、1週間ほど意識を失っていたそうだ。


あの時の女性は誰だったのか。


交わした言葉にはなんの意味があったのか。



退院の日、病室の個室にある大きな鏡の前に立ち、ふと目に入った。



「あぁ、そうか。


そうだったのか。」



何度も焦がれた瞳。


光の粒を湛えた透き通るような瞳。



その瞳が


そこにあった。




「君を、見つけた」

彼女の正体は彼自身でした。


風貌は黒髪ロングで女性と、彼とは違いましたが瞳だけは同じでした。


彼が見たのは自分自身の影。


自分の中に潜在的に存在する女性像でした。


事故によってかその前からか、彼の中の女性性を排除し分離していました。


今回の出来事で自分の中の女性像に触れ、ゆくゆくは統合していけるのでは?というお話。

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