少女目線
逃げ惑う人々。
男の高笑い。
ただ従うだけの日々。
殺される男。
そして……
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「お、目が覚めたか?」
目を開くと、見知らぬ男。
とっさに後ろへ跳んで距離をとる。
すると、それによって拘束が解けていることに気付く。
「あ〜。やっぱり警戒するよな。まあ、そんな事よりも飯にするから、一緒に食べるか?」
そんな事を尋ねてくる。見たところ男は一人。勝てない相手ではない。そう思い、立ち上がる。
「まだ安静にしてれば良いのに。おい、すら吉さん、さっきの牛のロース肉があるぞー!」
そう言う男の側には、チャージブルという牛の魔物。草原などでまれに住んでいる魔物で、その突進は要塞をも崩すと言われるほど。なぜか、頭を上から叩き潰したような傷がある。
『私もこんな最後を遂げるのでしょうか。』
さっき少し頭をもたげた勇気が萎えていく。やっぱり私の命はここまでらしい。でも、それでいいんだ。
こんな吸血鬼の命なんか。
「おいシアン。こいつ、吸血族だぞ。」
「何!?何でそれをもっと早く言わなかった!」
それでは、この世界、さようなら。
「肉旨いところ焼いちまったじゃねーか!」
……あれ?