いざ出発
簡単に説明させてもらうとすると、「歩神」は、歩く事に関して絶大な補正がかかるらしい。また、「仲間知能強化」は、仲間の知能を少なくとも自身と同じ程度まで引き上げるという能力だそうだ。
その他は大体名前通り。以上。
いや、ちょっとまてよ!ユニークスキルっていうわりに地味過ぎないか!?
拘束を解いてもらってから、驚いてばかりだ。まあ、その前からでもあるが。
そう思いつつ、「曲弦師」を使ってみる。指の爪の裏から糸が出て来て、それを自在に動かせた。
……いや、どこから出て来てんだよ!
予想以上に変なスキルで、やっぱり地味だ。これでどうやってこの状況を切り抜ければいいんだ。
確認しよう。
1:今魔王城で、
2:人間の軍がこちらへ向かっていて、
3:挟まれてるからどちらかを潰さないと死ぬ。
まあ、なんて分かりやすいんでしょう!じゃねー!
ここで魔王に歯向かう馬鹿は死んでも治らないとして、軍を相手にするのも大変だ。さて、どうしたらいいんだ。と、悩んでいると、あることに気が付いた。俺には相談相手がいるじゃないか!
「すら吉さ……って、あれ?消えた!?居なくなってるぞ!」
そこへ、さっきの伝令兵がまたやって来た。
「突然現れたスライム一体に、敵軍は一人残らず全滅しました!」
え、まさか……
そこには、敵を喰らい尽くしたすら吉さんだけが残されていたという。恐るべしネームドの力。
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どさくさに紛れて、俺は城を出て、すら吉さんと合流した。
「ん?なんだシアン、もう出発か?」
と、元凶のすら吉さんが言う。なんか俺よりも強そうなんだが、どうなっているんだ。
「ああ、そういえば俺、グラトニークリアスライムってのに進化したから。」
「!?」
すら吉さんによると、もともと有限だった (それでも1立法メートルは入るらしいが。)スライムの捕食能力が無限になったらしい。ただの兵器じゃねーか。
旅に出て、何がこの世界で正しい事なのかを探してまわる事は置き手紙を残したから後から伝わるだろう。
「さて、行くぞ、すら吉さん!」
「おう!」
こうして、俺達の旅が始まった。
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少し離れた遺跡の地下。そこで、ある男が血の滴る剣を持っていた。
男の前の壁には、一人の少女が鎖で縛られ、吊るされていた。
「これさえ、これさえあれば!はーっはっはっはー!」
「誰か……この男を……止めて……!」
ラストの男は誰なのか!少女を助けることは出来るのか!シアンのスキルはいかなる物か!次回を待て!
すら吉さん最強説出ますね、これ……