4/15
とりあえず解放しろ
「えええええええ!!!」
魔王様の悲鳴が響き渡った。
「なんだよ。そこまで驚くようなことじゃ無いだろ。」
「いえいえ!勇者といえば魔王と敵対する中でもリーダー的存在です!あなたが敵対しない理由が無いではないですか!」
「なあ、俺は一度でも勇者だと名乗ったか?俺は見ず知らずの人を助けるほどお人好しじゃ無いんだ。」
「え、ではあの軍は一体……」
ん?軍だと?俺今来たの。何も出来るはずがない。
そう思っていると、扉を開いてトカゲのような顔をした兵士が入ってきた。
「で、伝令です!ルイナ王国の魔導師が二百人ほどこちらへ向かって来ています!」
あー。軍だね。
「何ですって!スライムとリザードマン以外は出払っているのに、どうしたら……!?」
おいおい、警備手薄過ぎるだろ。魔王なら敵襲くらい想定しておけ。
「おい、あんたら!話は聞かせてもらった!だからとりあえずこのロープを解け!」
全く。無視されるのは嫌いだ。軍だろうが糞だろうが踏み潰してくれるわ。