夏海祭
夏合宿、埼玉共栄との試合、その他の練習試合を経て、夏休みが終わる。夏休み中も学校には行っていたが制服で学校に登校するのは久しぶりだ。
忍「おっ千尋~。おはよ~」
千「あっおはよー」
忍「相変わらず制服に合わないな~」
千「やかましいわ」
千尋は決して可愛くないわけではない。ただ、夏海高校の制服はちょっと女の子女の子しすぎているので、ショートヘアーで少しクールなイメージがある千尋にはどうしてもこの制服は似合わない。対して、中学生まで文学少女だった忍はよく似合う。
そんな他愛もない話をしながら教室に入る。
「あー千尋ちゃん忍ちゃん!夏の大会お疲れ様!!」
「埼玉共栄戦惜しかったね...私感動しちゃった」
「最初はとりあえず行ってみただけだったけど、最後の方は興奮しすぎて声かれちゃった」
「来年こそ甲子園だよね!!」
教室に入ると千尋と忍の周りにはたくさんのクラスメイトが駆け寄ってきた。
千「えっこれは!!」
忍「みんな見ててくれたんだね!!」
「当たり前じゃん!」
千「いつも顔あわせてるクラスメイトがスタンドにいたのに全然気づかなかった...」
「しょうがないよ!千尋は試合に集中してたんだから!!」
千「ううん...それだけ周りが見えてなかったってこと...もっと余裕を持たなきゃな...」
始業式が終わり、ホームルームが始まる。担任の池田先生が教壇で話し始める。教壇が大きく見えるほど小柄な教師だ。生徒達とも年齢が近いので、みんな友達のような感じの付き合い方をしている。
池「夏休みは楽しみましたか~?今日からは気持ちを切り替えてくださいね。近いうちにテストもありますし、皆さんは2年生の夏を終えて、高校生活の半分が終わってしまったわけです...そろそろ進路についても考えていきましょう...そして、なにより...今年も夏海祭が迫ってきました!各部活動!そしてクラスの出し物を考えておいてください!!」
2学期が始まった日ということもあり、ホームルームが終わるとそのまま下校となった。
下校と行っても千尋達は野球部の練習がある。9月にはなったがまだまだ暑い。
グランドに着くと各自日陰で昼食をとっている。
晶「あっ千尋達も終わったのね」
千「なんだ、うちのクラスが最後か」
依「真琴と大海のクラスもまだみたいですね」
瑞「と言ったら来ましたね」
新学期になっても全員が揃う。着いたばかりで昼食の用意をしながら、真琴がみんなに聞こえるように質問した。
琴「夏海祭って野球部はなにかやるんですか?」
千「もちろん野球部もなにかはやるよ!!!」
樹「夏海祭って11月の3日と4日でしたよね。秋期大会もあるのに参加するんですか?」
忍「ちっちっち...これだから1年は...夏海祭は埼玉県でも上位5つに入るほどの大きな文化祭なんだぜ~それに参加しないなんて夏海高校に入った3分の1は意味がないよ」
ル「たしかにそれもあるけども...この学校って部活動に割り振られる予算って若干少ないのよね...そのかわり夏海祭で出た売り上げはそのまま部活動の予算にしていいって訳。学校側も夏海祭盛り上げたいんでしょうね」
純「予算ってそんなに大事なんですか?」
千「そりゃあ大事だよーお金がなければボールだってバットだって買えないんだから。それに甲子園に行ったら、移動費、宿泊費とかいっぱい掛かってきちゃうからね」
渚「もちろん甲子園に出たらプラスでいくらか予算は出るでしょうけど、お金はいくらあっても困ることはないわ」
琴「今すごいリアルな話を聞いてしまった気がする...」
千「そのためにも夏海祭がんばるんだよ!!まあ去年は秋大出れなかったから今年はもう少し考えていかないとな...」
忍「そういえば地区大の抽選って明後日じゃなかったっけ?」
と「もうそんな時期になるのね」
大「そういえば去年の夏海祭、野球部はなにやったんですか?」
渚「それは聞くな...」
琴「えー気になりますよー」
ル「メイド喫茶でーす...見事に撃沈しましたが...」
千「それを言うな...」
瑞「フフフ...先輩達のメイド姿全然想像つきません...」
忍「笑うなよ!これでも最後は客引き、誘惑...あらゆる手を使ってギリ黒字にもっていったんだから!!」
葵「あれだけやっても利益301円...」
依「うわっしょぼ...小学生のお小遣い並じゃないですか」
晶「今時の小学校ならもっと貰ってそうよね」
千「去年のことはいいの。今年なにをやるか考えよう」
琴「でも、忍先輩の男性をターゲットにしたマーケティングはよかったと思います。今回も路線は同じ方向でいいんじゃないですか」
渚「いや、去年はそれで失敗してるから」
琴「だから、今回は少し嗜好を変えていきましょう」
千「なにかいい案があるの?」
琴「まず、去年のなにがいけなかったのか...それはつまり先輩達全員がメイドのコスプレをしてしまったこと!いつもはユニフォーム着て、ばりばり野球やってる人がメイドのコスプレして似合いますか?」
真琴がいつにもまして強い言葉で演説している。
と「たしかに忍ぶぐらいしか似合ってなかったわね...しゃくだけど」
琴「私たちには個性があるのです...誰にだって得意分野、苦手な分野があるはずです」
晶「た、たしかに...」
渚「それで私たちになにをしろと?」
琴「渚先輩、葵先輩、瑞樹はすらっとした黒髪美人を活かすために執事コス。ルナ先輩は金髪色白枠、忍先輩は伊達メガネでもかけて、昨年同様メイドさんをやってください。ともみ先輩はなんだかんだ制服姿が1番可愛いので制服で。樹里と大海はロリっ子兼妹属性。そして、依織と千尋先輩はスポーツ少女感を活かしたスクール水着で!!!!私と真純はおそろいの洋服でも着て双子ちゃん属性やるんで」
渚「却下」
葵「却下」
瑞「却下」
ル「No」
忍「りょーかーい」
と「普通ね」
樹「は、恥ずかしいです...」
大「いいよー」
依「おーいいねー」
純「もう!今更おそろいなんて嫌よ!!」
晶「わ、わ、わたしは...」
千「私しないわよ...そんな恥ずかしい格好」
部員のほとんどに批判を受けながら、真琴が千尋に肩パンされている。
琴「なぜですか?皆さんの個性を最大に活かした作戦ですよ!!」
大「楽しそうじゃんやろうよ!」
千「もう一度言わせないで。そんな恥ずかしい格好するわけないでしょ」
琴「なーに急に乙女になってるんですか!いつもグランドで下着姿になって着替えてるくせに!そっちの方がよっぽど恥ずかしいですよ!!」
渚「それは言えてるわね。それによくよく考えたら去年のメイドよりはマシな気がするわ」
千「執事服なら私でもここまで拒否しないわよ!!スク水よ!教室でスク水なんて変態でしょ!!」
忍「真琴ちゃん!ナイス!!」
琴「じゃあ千尋さん他に案はありますか?」
忍「そうね!真琴の意見はとてもみんなのことが分かってるわ!」
と「もう面倒くさいからそれでいいよ」
葵「なんかよくよく考えたら執事ってかっこいいわね」
ル「千尋に恥ずかしい思いをさせられるならコスプレカフェも悪くないわね」
渚「なんか気づいたら過半数賛成になってるわよ」
忍「じゃあ今年はコスプレ喫茶をやりましょう!!!」
渚・葵・と・ル・大・依・琴「「異議なーし」」
千「私は反対よー!」
かくして今年の夏海祭の出し物はコスプレ喫茶になった。果たして夏海高校野球部は黒字をたたき出せるのか!!!




