第三話 サバイバル開始
「ん・・・?生きてるのか・・・?」
目が覚めると見知らぬ天井すらない薄暗い場所だった。どうやら壁の突起にぶつかりながら落ちてきたのだろう。簀巻きにされているロープも痛んでいるようだ。それよりも体の節々が悲鳴を上げている。運がいいのやら悪いのやら・・・
「とりあえず現状確認だよな・・・『ステータス』」
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名前 霧咲 大和
種族 人間
適正職業 無職
lv1
体力 20
筋力 20
俊敏 20
魔力 20
物防 20
魔防 20
精神 20
スキル
『鑑定lv1』『奪取lv1』『自然治癒力上昇lv3』『運気上昇lv2』
状態異常
『全身骨折』
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・・・・こりゃあひどいな、全身骨折か・・・おまけに新しいスキルもついてるし。そういえばまだ自分のスキルについて詳しく見てないな。あの時はちょっと乱心していたからな・・・
「『鑑定』はそのまんまだとして、『奪取lv1』はどれどれ・・・『鑑定』」
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『奪取lv1』
lv1~10ある中での1段階目。lv1では精々数メートル以内の物質を手元に瞬間移動させる程度の能力。
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使えな!!これ使えるのと言ったら、夏の暑い動きたくない日にジュースとるくらいだぞ!!・・・うん、なんか違う気もするけど・・・まあ、いいや。
ティロリン♪
『鑑定lv1』が『鑑定lv2』にlvアップしました。
お、『鑑定』がレベルアップした。何が変わったんだ?
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『鑑定lv2』
lv1~10の中の2段階目。lv1よりも鑑定出来るものが増えたり、より詳細を知ることができる。『偽装』をとくためには『偽装』のレベルと同じレベルが必要になる。
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「へえ、意外に『鑑定』のレベル上げも重要っぽいな」
『鑑定』は使えば使うほどレベルが上がっていく感じかな?それなら鑑定しまくればいいだけだから楽でいいんだけど・・・それより他のスキルはどんな感じだろう。
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『自然治癒力上昇lv3』
身体的な傷の自然治癒力を微量だが上げる。傷を負っては放置すればいいだけで『自然治癒力上昇』の経験値は蓄積されるが、ほかのスキルよりレベルアップに必要な経験値がとても多い。
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ほう、この先お世話になりそうだな・・・でもゆっくりしかレベルアップしないのにlv3ってことは結構寝てた?
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『運気上昇lv2』
所持者の運気を大幅に押し上げる。所持者の危機が大きいほど経験値が入りやすい。また連続的に危機が訪れる程、倍率的に経験値が取得できる。他のスキルよりレベルアップに必要な経験値が多い。
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これまた上がりにくいスキルがlv2まで・・・でも岩にあたる一回一回が危機になるのなら、ここに落ちてくるまでに相当数当たったはずだからこのくらい上がる、のか・・・?
結構有用なスキルはあるがどれも現状打破には繋がらないな・・・このロープを何とかしないと始まらないよな・・・
「どうにか・・・っ!痛ってぇ!」
どうにかしようと骨折した体に鞭を打って転がっていたら大きめの尖った石が尻あたりに刺さる。痛みに脊髄反射で急に動いてしまったので、体の痛みが大和に追い打ちをかける。
「痛てぇ・・・けどラッキーかもしれない。この石で何とかできないか・・・?」
何とか切ろうとしても上手くいかない。手は縛られているので使えないし、体もあまり動かせないので芋虫の様に動いては休んでを繰り返していること10分ほど。大和に電流走る!
「この石を手に持てたら・・・あ!もしかしたらいけるかも!!」
大和は思いついたことを早速実行に移そうとある行動に出た。
「そこに落ちてる石を手元に!『奪取』!」
石が視界から消えたと思った次の瞬間、手に何かを握っている感覚があることに気付く。
どうやら作戦は成功のようだ。
「よし、あとはゆっくりゆっくり・・・」
ゆっくりではあったが着実にロープを切っていく。
「一本切るだけで大丈夫だろう・・・よし切れた!」
思っていたほど時間もかからずにロープを切れた大和は、ロープを体からどけるためにグルグルと地面を転がる。しばらく転がっていると上半身のロープが完全になくなり、空いた手でさっきの石を使い下半身のロープも取り除いていく。
「ほー!何日ぶりかわからんが、体が自由なのはやっぱりいいな!」
体に気を付けながらゆっくりと立ち上がる。何気なく体を動かしてみるがやはりまだ痛みはあるらしく、あまり激しくは動けないと察すると、どこか安全そうな場所を探して歩き出す。何かに使えるかもと、一応ほどいたロープも持っていく。
「何も考えずに壁沿いに歩いて来たはいいが、これは何もないんじゃないか・・・ん?洞穴?取り敢えず入ってみるか・・・」
歩いている途中に見つけた洞穴に何の気なしに入ってみる。一応警戒はしているが。洞穴の中はかなり広く穴というより、通路といってもいいくらいには広さがあった。
「むぅ、分かれ道か・・・右か左か・・・止まっていてもしょうがないしなぁ・・・よし、決めた!戻ろう!この先は嫌な予感がする!」
選択を敢えて無視し、戻ること決意、実際その判断が正しかったと知るのはもう少し後になるのであった。
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