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若者の黒魔法離れが深刻ですが、就職してみたら待遇いいし、社長も使い魔もかわいくて最高です!  作者: 森田季節
黒魔法業界の新人研修編

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65 黒魔法流の自己紹介

「最初のプログラムは二人一組になっての、自己紹介タイムじゃ。みんな、ちゃんと自分を相手に伝えるようにな」

 すごく普通のやつが来たな!


 てっきりもっと恐ろしいものをやると思ってたけど、まっとうな新人研修だ。

 これ、メアリとやるというのはダメだよな。それじゃ研修にならない。ちなみにセルリアは厳密には研修生じゃないから、もっとダメだ。


「やらないか?」

 女性の声の覆面が一人こっちに来た。まあ、この人数なんだから適当に知らない奴に声をかけるよな。

「はい、よろしくお願いします。ちなみに使い魔のセルリアも一緒なんで」

「よろしくお願いいたしますわ。サキュバスのセルリアですわ」


 丁寧にセルリアが礼をする。

 覆面の女性もこくりとうなずいた。


 それぞれ空いているスペースに分かれる。

 会長がまず、「一方から自己紹介スタートじゃ」と言う。

 よし、しっかりとコミュ力あるところを見せるぞ。仕事しかできなそうなつまんない奴って思われないようにするぞ。


「じゃ、こっちから行く」と覆面女子が言った。こっちも「どうぞ」と答える。


 すると、ばっと、とんがった覆面が放り投げられた。


「はっはっはっは! 我こそは由緒あるモルコの森で代々黒魔法を生業としてきた名門、カーライル家の直系、アリエノールであるぞっ! 命乞いの時のためにこの名前、覚えておくがよいわっ!」

 髪にウェーブがかった女子が、ものすごく偉そうなこと言い出してきた!


「なんだ、なんだ? 自己紹介タイムじゃないのか?」

「ご主人様、黒魔法使いにとっての自己紹介とはしばしば自己の主張なのですわ」

 セルリアの耳打ちでちょっとわかったけど、こういうの自己紹介って言うのか!?


 アリエノールと名乗った女子が、こっちをぎろりとにらんでくる。


「おい、貴様、上級魔族であるサキュバスを使い魔として、周囲の者より一歩リードとでも思っていたのだろう? だがな、その程度で私を出し抜けると思ったら大きな間違いだぞ! 私の使い魔、『青鴉せいあのリムリク』を呼んでみよう! エンリ・バンラ・ヒルンディルケ・ギグ・ランフィ……」


 これは俺がセルリアを召喚した時の詠唱だな。

 アリエノールは詠唱しながら投げ捨てた帽子型覆面をいそいそと拾うと、その中に手を入れた。


「出でよ!」

 すると、そこからたしかにブルーのカラスが顔を出してきた。

「どうだ! これぞ『青鴉せいあのリムリク』だ! これまで三百回を超す狩りを行ってきたふるつわものである! そのサキュバスにも決して劣りはせんぞ!」

 俺は「おー、青いカラスってかっこいいな!」と素で感想を述べていた。


「お、おい! なんで感心してるんだ! なんで『すごーい!』みたいな表情なんだ! そこはもっと悔しそうな顔をしろ!」

 なんか、アリエノールがやりづらそうにしている。


「え? だって本当にすごいと思うし……」

「ああいう美しいカラスなら飼いたいですわね。そういえば、鳥類の中でもカラスってとても利口らしいですわね」


「おい! ペット感覚で言及するのやめろ! 使い魔だ、使い魔! パートナーなのだ!」


 ほかの覆面研修生が「おっ、きっちり煽ってる」「なかなか、あっちの奴、やるな」と言っていた。全然意図してないところで褒められてるぞ。


「ぐぬぬ……。これだけではないぞ。私が使用する魔法も恐ろしいものだ。オルティ・バラン・トルケット・ダーフィール……」

「あっ、これ生命吸収じゃないのか!?」

「そうだ! これで私の恐ろしさを実感するがよいわっ!」


 指にデコピンされた程度の痛みが来た。


「ふぅ……どうだ、お前の体力を吸い取ってやったぞ。もう、疲れて立っていることもできんだろう!?」

「いや、とくに問題ないぞ」

「初歩的なものですわね」


「くそっ! またしてもバカにしおって! ならば、毒サソリを召喚する! エンリ・バンラ・ハン・オウン・ドーン!」


 三センチぐらいの小さいサソリが出てきた。


「あっ、かわいいですわね~」

 セルリアがひょいっとつかんだ。

「それ、毒って大丈夫なのか?」

「この大きさならかゆみを感じるかどうかですわよ」


「くそっ! お前ら、どこまでもコケにしおって! じゃあ、お前たちがどれぐらいすごいのかせいぜい自己紹介するがよいわ!」


 なるほど、社長がコミュ力とかどうでもいいと言うわけだ……。黒魔法使いって、原則つるまないんだな。そりゃ、業界も力持てないはずだわ……。このマインドでは大企業とか作れない。だから、白魔法業界にだんだんとやられていくんだ。


 じゃあ、まずはずっとつけてた覆面をはずす。セルリアも俺にならった。


「俺の名前はフランツです。今年三月に王都国際魔法学校を卒業した後、王都郊外にあるネクログラント黒魔法社に入社しました。現在は社員寮に住んでいます」


「なんで普通の自己紹介なんだ! 舐めてるのか!」

 いちいちうるさいな。そんな相手にケンカ売るような自己紹介なんて逆に難しいんだよ!


「これまでの会社員生活で自慢できることと言うと、ええと……」

 セルリアが「メアリさんを召喚したことは黙っておいたほうがいいですわ」と言ってきた。あっ、そっか、あれ、王都のブラック企業にだいぶ影響与えたんだよな……。


「じゃあ、けっこう言えることってないな……。ええと、男爵です。すごい限界集落の領主やってます」


「なっ! お前、爵位を持ってるのか……!?」

 アリエノールに驚かれた。そっか、まあ爵位持ってる奴が黒魔法なんてアングラなことをやってるってそんなにないのかな。


「先日、領地に行って、住民にも沼トロールたちにもそこそこ感謝されました」

「むむっ! 沼トロールを配下に置いているというのか!?」

 いや、配下ではないぞ。しかし、こいつ、すぐに衝撃受けるな!


「ええとですね……それじゃ毒サソリを召喚します」


・毒サソリ召喚(毒を弱・中・強から選択可)


 途中でパワーアップした経験があるので、毒を選べる。ためしに「強」でやってみるか。


「エンリ・バンラ・ハン・オウン・ドーン」

 体長三十センチぐらいのデカいサソリが出てきた。


「うああああああっ! なんだ、それ! そんなの出せるわけないだろ!」

 アリエノールがカラスと一緒に引いていた。

「いや、ごく普通に召喚しただけですよ?」

「そんなバカな……。これ、どう見ても猛毒ある奴じゃないか!」


わかりやすさ重視でメートル法を使います。ご了承ください!

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