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若者の黒魔法離れが深刻ですが、就職してみたら待遇いいし、社長も使い魔もかわいくて最高です!  作者: 森田季節
黒魔法業界の新人研修編

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64 研修の開会式

 やがて開会式の時間になった。

 秘密結社的な黒い尖ったマスクをして、俺は外に出る。ちなみにセルリアは使い魔なのでそのままでもいいらしいが、せっかくなので着用するらしい。

 しかし顔を隠して、露出度高い服着てるの、これはこれでいかがわしいな……。そんなこと指摘するのもヘンタイっぽいからしないけど。


 隣の部屋をノックすると、メアリがマスク姿で出てきた。

「どうも、フランツ、セルリア。そっちの部屋にもなんかいた?」

「うん、いたぞ。セルリアが見つけてくれたけど」

「やっぱりね。あれもきっと研修の一環なんだよ。見つけられずにひどい目に遭った奴はビビって帰るんじゃないかな」


 と、半泣きで走っていく新卒風の男と廊下ですれ違った。

「斧持った男が出たっ! こんな呪われた屋敷にいられるか!」


 そのあとは新卒風の女子とすれ違った。

「絵の中に描かれてないはずの謎のモンスターが現れたのっ! 何かがおかしいわ!」


「あらら、別に怖がる要素なんてないですのに。皆さん、あわてんぼうさんですわね」

 のほほんとセルリアが言った。いや、それ魔族目線だからだろ……。


「どうやらただでさえ参加人数少ない研修は、これでもっとしぼられそうだね。やれやれ」

 メアリは絶対に新人じゃないだろうという、圧倒的なベテラン風を吹かせて開会式のある部屋へと向かっていた。


 開会式の会場はピアノが隣の部屋にある応接間だった。

 はっきり言って狭い。けど、来ているのは俺たちを除くとわずか四人だった。つまり合計十人もいない。


 この数なら、さすがに応接間の広さでも問題ない。脇にどけてるソファを引っ張り出して、追加の椅子を用意すれば全員座れるぐらいだ。


 しかし、この調子だと開会式でもろくでもないことが起こりそうだな……。残ったメンバーで殺し合えみたいなことは言わないでくれよ……。


 しばらくすると、白い毛に全身が覆われた謎の魔族がやってきた。

 顔も見えない。なんて魔族だろう? 一般的な魔族は職業柄調べてるけど、まったく心当たりがないフォルムをしている。

 その魔族が俺たちの前に立つ。


「こほん、わしは黒魔法協会の会長、『焚刑ふんけいのエゼルレッド』じゃ。親しみをこめて、焚刑とでも呼んどくれ」

 いや、そこはエゼルレッドって呼べって言うとこだろ!


「ちなみに魔族ではなく人間じゃ。黒魔法の関係で髪を切らずにおったら、伸びすぎてこういう姿になってしもうてな」

 むしろ、魔族より魔族っぽいフォルムだな……。


「さて、新人の皆も、この業界に入ったからには黒魔法の世界が著しく疲弊しておることはご存じかと思う。イメージのいい白魔法や、破壊力があってわかりやすい赤魔法などに黒魔法は押されておる」

 やっぱり会長だから、こういう話からスタートするんだな。


「その弊害として、到底素質のない者まで採用してしまっておるという部分もある。そこであまりにも初級の者を追い出すために部屋にちょっとした仕掛けを行った。脱落した十三名はまた反省して次の研修に参加してもらいたい」


 十三人もあの部屋で驚かされて、逃げていったのか……。残ってるほうが少ないぐらいなんだな。セルリアがいてくれてよかった。


「黒魔法はたしかに難解な部分もある。中途半端な知識でやると、『名状しがたき悪夢の祖』を呼び出す魔法だとか、命に関わるものもある。なので、研修もある程度の知識がある者でないと行うことができぬのじゃ」


 その危険な存在、呼び出しちゃってるよ!


「まあ、そんな恐ろしい存在を呼び出せるほどの知識など、まだ新人の皆にはないじゃろうがな(笑)」


 いや、呼び出しちゃってるんですけど。同棲しちゃってるんですけど。


「君たちもいつかは『名状しがたき悪夢の祖』を召喚するぐらいの大魔法使いになるのじゃぞ」


 もう、召喚してますってば!

 そういや、ケルケル社長が研修は大丈夫だとか言ってたけど、こういうことなのかな。


 けど、まだまだ課題は多い。

 こういう時、俺、だいたいラストの打ち上げとかで浮くんだよな。魔法学校の学園祭でも、打ち上げのパーティーで俺、浮いてたし。授業を真面目にやってるだけでは、そういうところでのコミュ力なんてものは身につかない。


「では、あらためて開会を宣言しようかの。――人里離れた地に、我ら漆黒を衣代わりにまといし術者たち集いたり、悦楽と恐怖をこの空に塗り込めん!」


 いきなり、白いもじゃもじゃの会長の声が重くなる。

 ふっと部屋のランプが一斉に消えたぐらいだ。


 コミュ力以前に生きて帰れるかな……。


「――はい、開会宣言は終わったので、みんなそのマスクは好きな時にはずしてくれてよいのじゃ。十分間の休憩とするので、トイレは今のうちに行っておいてくれ~」

 また、声が呑気なものに切り替わって、ランプの火も灯った。


 なんなんだ、今のは……。

 マスクは暑苦しいからはずそうと思ったけど、ほかの研修生がつけてるな。一応まだつけとくか。一人だけ違う行動とって浮きたくないし。


「ねえねえ、フランツ。『名状しがたき悪夢の祖』を召喚する人間なんているのかな~?」

 にやにやした声でメアリが言ってきた。

「メアリ、お前、むっちゃ楽しそうだな……」


 休憩時間の間にトイレに行っておく。

 なにせ、次に何を何時間やるのかまったくわからないのだ。さすが黒魔法の研修、秘密主義なのかプログラムが配られてない。

 でも、ケルケル社長は焼肉大会があるとか言ってたよな。本当にあるのか……?


 次の時間も恐ろしい邪教の儀式を復活するとかじゃなきゃいいけど。

 で、次の時間になった。また会長である『焚刑ふんけいのエゼルレッド』さんが現れた。


「最初のプログラムは二人一組になっての、自己紹介タイムじゃ。みんな、ちゃんと自分を相手に伝えるようにな」

 すごく普通のやつが来たな!

次回から研修プログラム開幕です!

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