13 黒魔法継承式で魔法続々ゲット!
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夜になって俺は言われていた研修室をノックした。
「入っていいですよ」
入室許可がおりたので、俺は部屋を空ける。
すると、部屋の奥半分が分厚いカーテンで仕切られていた。
「そのまま、カーテンの先まで来てください」
言われたままにカーテンをくぐると、そこにはスケスケな夜着を身につけている社長が天蓋つきベッドに座っていた。
黒っぽい夜着が、あまり大人っぽくない体の社長と合わさって、かえって妙な背徳感を出していた。
もしかすると、黒魔法的にわざと背徳感が出るようにしている可能性もあるけど……。
不健全で問題ない場所はわざと不健全にしている印象が黒魔法にはある。
「研修室にこんなベッドがあるんですね……」
少なくとも白魔法業界には、こんなの絶対にないだろう。
まだ仮眠室や休憩室にならあるかもしれないけど、それにしても天蓋はついていないと思う。
「では、黒魔法継承式を行いますね。その服も脱いでくださいね。それで一度、黒魔法使いのローブに着替えてください」
そういえば、俺のローブはあくまでも白魔法使い、つまり一般的な魔法使いのローブだった。
黒魔法使いのローブは名前のとおり、夜の闇ぐらいに黒い。
「私の指示に従ってやれば失敗はしませんから、ご心配なく。途中で疲れてくるかもしれませんが、全部終わればそのままベッドで眠ってもらってかまいませんので」
「わかりました……」
俺はぎこちなく、黒魔法のローブに着替えた。思った以上に重いな……。
「最初に魔界の王であるサタンを讃える祭文を口にしますね。私の後に唱えてくださいね」
――それから三時間ほど、みっちりと黒魔法継承式は続けられた。
正直言って、なかなか濃厚な三時間だった。
具体的なことは言えないが、小柄な女の子に終始リードされた。
全部の内容が終わったら、裸のケルケル社長に頭をなでなでされた。
「よく最後まで頑張りましたね、フランツさん」
「至らない点があったらすいません……。俺なりに一生懸命やりました……」
「いえいえ、フランツさんはとても筋がいいですよ。これで、基本的な黒魔法は身についたはずです」
そして、俺は初めて自分の体に起きていた変化に気づいた。
脳内にやたらと聞いたこともない魔法の名称が並んでいる。
・インプ召喚
・悪霊召喚
・毒サソリ召喚
・悪霊との会話
・精神支配耐性
・精神支配(軽度)
・肉体弱体化(軽度)
・生命吸収(軽度)
・恐怖心増幅
・泥炭地歩行
⇒次ページに続く
「魔法学校では習わなかった魔法がこんなに並んでる!」
「白魔法の世界で毒サソリの召喚なんて学んでも無意味ですからね~」
「社長、むしろ毒サソリ召喚って、何の役に立つんですか?」
誰か暗殺する時ぐらいしか用途がわからない。
「毒サソリは室内にいる虫を追い出したり、調査をしてくれるんです。たとえば、中古物件に白アリがいるとか、毒グモが住んでるかといったことを確認できます」
「そんなことまでやってるんですか!」
「白魔法は悪霊みたいなのが住み着いてる物件の浄化はできますけど、白アリは対処できないんですよね。こういうのは黒魔法が対策をします。空き物件の管理は、黒魔法業界の仕事の中心の一つですね」
けっこう社会に溶け込んでるんだな、黒魔法。全然気づかなかった。
「精神支配なんてのは、ろくでもないことにしか使えないと思うんですが……」
「それって動物にも効くんです。なので、荒っぽい気性の馬や牛を一時的にリラックスさせて、安全に輸送するとかいったところで活躍します。あとはヒーリング効果を得るためにも使えますね」
暮らしに役立ってるんだな、黒魔法……。
「本格的な戦争があった時代は軍事力利用が多かったでしょうけど、平和な時代は平和な時代で使い勝手はあるんですよ。さて、もう夜も遅いですし」
また、ぽんぽんと社長は俺の頭を撫でて、それから優しく母親みたいにハグをした。
社長にそうされると、むらむらするより先に安らぎが来る。本当に心から俺の幸せを願ってるんだと思えてくる。
「今夜はぐっすり寝て、回復してくださいね。寝不足はいろんなものの強敵ですよ。男の人にはあまり関係ないかもしれませんが、たとえば美容とか」
五世紀生きてきて、それだけ美少女だったら気にしなくてもいいのではと思うけど、本人は注意してるのだろうか。
「黒魔法っていうと、夜に活動してるイメージが強いですけど」
「そういうこともありますけどね。今日は残業ということで残業代もつきますよ」
「社長とえっちいことして、お金もらうって、なんか罪悪感がありますね……」
仕事なのはわかるけど、あまりにもこっちに都合がよすぎるような……。
「フランツさんはうれしいことを言ってくれますね。じゃあ、これから我が社でしっかり働いて恩返しのつもりにでもしてください」
「はい、俺、会社のためにばりばり働きます!」
こんな社長のためならいくらでも残業できるぞ。
「あっ、すいません、少し訂正します」
何かまずいところがあっただろうか。
「我が社のためじゃなくて、社会のために働くつもりでお願いします。そのほうが将来的に黒魔法業界のためになるでしょうから。社会に受け入れられれば業界も会社ももっと発展しますからね」
このケルベロスの女性、聖人君子か。
「それと、ばりばり働こうとしなくてもいいですよ。ずっとばりばり働ける人なんて、いませんからね。ほどほどでも会社が機能するように、この会社はできていますから」
やっぱり、ケルケル社長、聖人君子だな。
「明日は使い魔のセルリアちゃんに優しくしてあげてくださいね。一日離れただけでも、使い魔の子は寂しくなっちゃうものですから」
「わかりました。セルリアは大事なパートナーですからね」
そのまま、どこに売ってるのか不思議なぐらい大きく広いベッドで社長と一緒に眠った。
社長とカフェで語らっている夢を見た。
この社長の会社ならきっと間違いはないだろう、そう確信できた一夜だった。
次回は会社の先輩のところに行きます。新キャラ登場です。




