最終話
町まで戻り、ギルドに報告をする。証拠となるゴブリンの耳はシャルがいつの間にか切り取っていて問題なく達成した。
「裕斗、私との契約を解消してほしい」
報告が終わり、外に出るとシャルが裕斗に向いて契約解消を頼み出した。
「なんでさ!」
「私はユウトといると、だんだんおかしくなっていく。このままでは暗殺者失格だ」
裕斗はシャルが不安そうな顔をしていることに気がつく。感情がわからないといったシャルに、不安そうな顔はあり得ないはずなのものだ。
もしかしたら、と裕斗は試してみることにした。
「わかった。じゃあ契約解消しよう」
そう言った瞬間、シャルはハッと顔を上げ裕斗を見た後、自分ではわからない何かに胸を締め付けられるような感覚を覚える。
「済まない・・・」
裕斗に背を向け離れようとする。裕斗から1秒でも早く離れれば、このわけのわからない気持ちから解放されると、そう思っていた。
だが、それと同時に裕斗から離れたくないという思いもあり、引き止めてはくれないだろうかなどと、どこかで期待している自身もいる。
「シャル」
「な、んだ?」
呼び止められただけで、抑えられない気持ちがシャルを襲う。
“私は壊れたのか?”
「本当はさ、僕から離れたくないんでしょ?」
「自惚れ、だな」
「ならさ。
こっち向いてよ。シャル」
ゆっくりと振り向いたシャルの目からは、涙が流れている。
「シャル、じゃあなんで泣いてるの?」
“泣いている?”
そっと手を目元に当てると、両方の目から涙が流れている。
シャルはか細い声を振り絞るように、自分ではわからない何かを裕斗に聞いてみる。
「私はこのまま裕斗といると、自分がわからなくなる。おかしな感覚を覚える。これは一体なんなんだ!このままだと、私は・・・暗殺者としても生きていけなくなる」
「いいじゃん。いや、むしろその方がいいよ。
シャルさ、今きっと寂しいんだよ。僕の自惚れかもしれないけど。でもシャルがいてくれたら僕は嬉しいな」
「私も・・・に・・たい。
私も一緒に、ユウトの側にいたい!」
シャルが裕斗にしがみついてきた。こんなシャルは見たことがない上に、痴話喧嘩と間違われて通行人に冷やかされ、照れる裕斗は慌ててシャルを抱き起こすと、そそくさと宿屋に連れ込んだ。
「シャルは感情がわからないって言ったけど、体は正直だったってところかな。うひひひ」
「その笑い方嫌悪を覚える」
「はう・・・」
「何にせよ、今後もよろしく頼む」
「やだね。契約解消したでしょ。
だから・・・恋人としてならいいよ」
シャルは恋人と言われ、どう返事したものか迷っていると、裕斗が抱きしめてくる。
とてもいいようのない暖かさを覚え、シャルも抱きしめ返す。
見つめ合い、自然と抱きしめあった。
「ユウト、他の女に手を出したら殺す」
「殺されたくないから、シャルだけしか手を出さないよ」
・・・・・・・・。
「スケベ」
おしまい
その後2人は各地を転々と旅をしながら暮らしたとさ。
読んでくれた人ありがとうございます。
別の作品のように話を練って書かれてないため、酷い作りだったと思います。
また3人称の練習だったりしますが、下手でしたね。