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虐殺

夜の町に出たシャルは、適当な路地に入り人がいないのを確認すると座り込み、ブーツを脱ぐと腰に吊るした袋から何かを取り出し履いていたブーツの踵の部分に付けた。そしてブーツの中の部分にも詰める。

それを履き直して立ち上がると身長が20㎝ほど増した。

革の手袋を付け、フードを深く被りフェイスベールを付ける。


彼方此方に隠してある武器を確認すると、一軒の酒場を目指して向かっていった。


店の中はガラの悪そうな連中が4名いて、主人らしい人物がグラスを磨いている。

シャルが入ると一度全員顔を上げるが、何もなかったように酒を煽ったり、ダーツなどを再開し始めた。

カウンターの主人のところまで行くと椅子に腰掛ける。


「今日はあんたの誕生日だったよな?」


シャルの口から出たその声は男そのもののような低い声だった。

一瞬動きを止めた主人はグラスを置いた。


「あぁ、そうだ。もっとも誕生日はもう忘れちまったけどな。レフィクル、用件は何だ?」


シャルを主人はレフィクルと呼んだ。

彼女は今レフィクルという男に変装していた。


「ふざけるな。充分騒ぎがあったから分かってるだろう。さっさと出す物を出せ」

「冗談だ冗談。だが本当に殺っちまうとは流石だな」

「世辞はいい。さっさと済ませろ。!」

“2人、いや3人か”


酒場にいるガラの悪そうな連中のことではない。密かに隠れている者だ。


“これだけ殺気を放っていたら丸わかりだ”

「俺を売ったな?」


主人は顔を引きつらせるとシャルから距離を取り、用意してあった剣を手に取った。


「悪りぃな。あんたを売れば金貨10枚貰えんだよ。おい!お前ら殺っちまえ!」


ガラの悪そうな連中も武器を手にして立ち上がるとジワジワとシャルに近寄ってくる。


「死んで後悔しろ」


シャルはそう言うとブーツに仕込んであったスローイングナイフを右手と左手それぞれから投擲した。


ナイフが的確に2人の目を貫き脳に達すると、グエッと言う声をあげて2人が倒れた。


すぐに今度は両腕の手首あたりに仕込んでおいたスローイングナイフを取り出すと、同じように左右別々の標的に向かって投擲し、同様に目から脳に到達させ即死させた。


「ば、バケモノか!早くコイツを何とかしてくれ!」


主人がそう叫ぶと、殺気を放ちながら隠れていた3人が姿を現した。


“コイツは!ちょうど良い。探し出す手間が省けた”


隠れていた3人は今朝の兵士だった。

どうやらシャルを売った相手は今朝の兵士達で、裏の社会にまで手を伸ばし、金と権力に物を言わせて犯人を始末するつもりのようだった。


「ゴロツキでは相手にならない相手のようだな!」


“貴様もそのゴロツキと一緒だ”


シャルは素早くカウンターを飛び越えると、まずは自分を売った主人を標的にした。


「うわ、うわあああぁぁぁ!」


主人は剣を振り斬りかかるが、シャルは素早くその手を引っ手繰ると、いつの間にか手にしたダガーで頚椎を刺した。

手を離すと糸が切れた人形のように主人は床に転がった。


「やるな。だがこっちはそう簡単にはいかないぞ。行け!」


2人の兵士がシャルと距離を取りながら近寄る。先ほど倒された5名より洗練された足運びをしている。


“だが、それだけだ”


シャルは腰から剣を抜いた。左手に長剣(ロングソード)を右手には先ほどのダガーを手にしている。


一気に間合いを詰めると、兵士は剣で斬りかかってきた。背後からももう1人の兵士も斬りかかり、挟まれる形になったがシャルは正面の兵士の方に間合いを一気に詰めると、長剣で剣筋を反らし足に蹴りを入れよろめかせると、背後から斬りつけてきていた兵士の剣はよろめいた兵士を切り裂いた。

慌てる兵士を見逃すはずはなく、シャルはダガーを投擲し、目を貫き脳に到達させた。


ヨロヨロとシャルに寄り、ローブを引っ掴むと倒れて動かなくなった。


「お!お前は!ハハハ、そうか今朝の小娘か!」


ローブが引っ張られ、シャルの顔が露わになってしまった。慌てて顔を隠したが遅かった。


「今朝は途中だったが・・・続きが楽しめるとは思わなかったぞ。ふっふ、思い出しただけで疼くわ」


シャルは長剣とダガーを持って構える。


「俺はそこの2人よりもずっと強いぞ?全力でかかってこい」


兵士はそう言うと剣を構えた。


シャルが攻撃を仕掛けたが、呆気なく剣で捌き空いた手でダガーを持つ手を打ち落とさせるとそのまま倒れるように組み伏せてきた。

シャルは暴れて逃れようとするが、全く抵抗できず完全に抑え込まれてしまった。


「女の力では贖えまい。さぁ今朝の続きを楽しもうではないか!」


そう言うと力任せにシャルのズボンを脱がしていく。下着に手が掛かり剥ぎ取られると、シャルは暴れに暴れて抵抗するが、完全に抑え込まれた女のシャルに逃れる術はなかった。

シャルは諦めたのか抵抗するのを辞めた。


「よしよし、物分りがいいな、今からたっぷりと可愛がってやる」


兵士がそう言ってまさにシャルをレイプしようとした瞬間だった。


プッ!


「ん!いて、いてて、いでぇえぇぇぇ!」


兵士が顔を両手で押さえ転げまわり出した。

ユックリとシャルが立ち上がると、見下すように兵士を見る。


「特製の猛毒の針だ。最初は刺さった近辺に激痛が走る。やがて全身に痛みは広がり・・・耐えきれなくなった時に貴様は死ぬ」

「いでええぇぇぇ!顔が顔がぁ!お前いつの間に毒針含みやがっだぁぁぁああ!いでえぇよぉお!」

「フードが取られた時だ」

「むぐぐぐぅぅ!最初からぁあひっ!これうぃおぉぉ狙ってうぇやがったああああぁぁぁあ!のがぁああ!」

注釈:むぐぐ最初からこれを狙ってやがったのか


シャルは剥ぎ取られた下着とズボンを履き直し、破れた部分はさほど目立たなかったためそのまま放っておき、一通り服を整えると兵士に近づいた。


「私のポリシーで、普通は苦しませず標的は仕留めるが・・・貴様には私の知る最悪の死をプレゼントしてやった」


それだけ言うとシャルは投げたスローイングナイフなどの自分の武装を拾い集め、付着した血などを死体の衣類で拭い取ると、全て元あった場所に身につけ酒場を後にした。


その後しばらく悲鳴だか叫び声だかがかなり遠くまで聞こえたが、それもやがて聞こえなくなった。


“少し時間がかかったか”


シャルは急ぎ宿屋で待つ雇い主ユウトの元に戻った。





ノクターンだったら、多分もっと・・・だったのかもしれない。

でもそろそろネタ切れだったり。

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