プロローグ
最近は、身の回りに奇妙な事件がよく起きる。
例えば、ひとつの市に住んでいる人々が一瞬の内に、跡形もなく消えてしまうという奇妙な事件も起きている。
そこの市だけだとは限らない。いつどこで、何が起きるのかわからない
簡単に言えば、自然災害のようなものだ。
でも不思議なことに、ひとつの市の人々が跡形もなく消えていく事件は、あまり有名ではなかった。
それはなぜなのだろうか?
それを知る者すらいない。
この日記に記された物語は、全て実際に起こった事件の数々が記されているのだ。
今回、語るのはその数々の事件のひとつを紹介しよう。
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ここは、ある市の夜だ。静かな暗さに適度な温度。
今は春ぐらいだろうか?だが、まだ桜は咲いていない。蕾の状態だ。
そのなかで、誰かが怪しい動きをしている。
狐のお面を被りながら、せっせとなにかを運び出している。一体なにを運びだしているのだろうか?
すると、狐のお面を被っている怪しい人は
「これぐらいあれば充分だろう、さて明日が楽しみだな」
狐のお面を被った怪しい人は、暗闇の中不気味に笑いながら去っていった。
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今は朝
一人、中学生ぐらいの少女がまだ蕾の状態の桜の道を歩いている。
周りには人が全くいない
(今日は、やけに静かだな。朝早いからかな)
少女は、心の中でそう思っていた
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その少女は自分のクラスへ向かった。
「あれ?まだ誰も来てない」
少女は自分の席に移動しながらチラッと窓の方を見ていた。
するとしばらくしてから、教室のドアが開いた。足音が、少女のもとへ近づいてくる。
「君が……琉奈?」
突然、銀色の髪の少年が、少女、琉奈に話しかけてきた。
琉奈は、すこし驚きながらも、頷いている。
「そう、僕はここのクラスに新しく転入してくる悠乃。よろしく」
「よろしく」
少年は悠乃という名前らしく琉奈に挨拶をしてから、後ろの座席表を確認して自分の席についた。
(不思議な人だ)
琉奈は心のなかで呟いていたのだ。