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らっきょう 上

 朝の通勤ラッシュの合間の、少しゆとりの空いた時間帯。

 外の景色はあまりの暑さに歪んで見える。だがきちんと空調の効いた車内では心地良く冷たい風が不快なベタつく汗を冷やす。電車の規則的なリズムに身を任せ、何も考えずにぼお、とする……いつもの登校風景。

 別に学校へは今日は本当は行かなくても良いのだが、残念ながら単位の足りて無い俺は、担任の鵜古淵(うこぶち)に頼みこみ、こうして休日も学校に行くことで単位を補っている。まあ、普段からしっかりしていれば今日という日は安らかな休日だったのだろうが……。

 …………ひとつ、駅に止まり他の乗客が増える。頭の残念そうな、一人では何もできない癖に集団になったとたん犯罪も意に介さないような男達がなにか喚きながら乗車する。

 よくよくその連中を見ていると、大きな声で喋り、なおかつ優先座席にたまっている。迷惑そうに立っているお婆さんのグループもいる。

 社会のゴミだな。きっとアイツらが電車に弾かれて死んでも、泣くのはせいぜいその現場を見てショックを受けた人位だろ。つうか……誰か注意しろよ。

 自分で行かないのは、それは無駄な事だからだ。あんな奴らに言っても言うことを聞く筈が無い。無駄だ。

そう思って、思考に蓋をしようとした、時。

「ねえ、あなた達。お婆さん達が困っているでしょう。席を譲ってあげなさい」

 身長130あるのか無いのか位の少女が、不良達に声をかける。

「あ!? んだガキ。なんか言ったか」

「ええ。言ったわ。そこは優先座席よ。お婆さん達に譲ってあげなさいと言ったわ」

「ああ! あんま舐めてっとぶっ飛ばすぞ!」

 ぶっ飛ばすぞ。と言ったと同時に、本当に不良の一人は少女に殴りかかる。それを、つい止めてしまった。

「ああ!!? なんすんだ!? ゴラァ!」

「な、殴るのはやり過ぎだろ」

 怖い。怖い。怖い。たぶんだが、力でこの不良達には負ける気はないが、どうしょうもない恐怖が、身体の動きを止める。

 不良達は、俺の膝が震えているのに気づき、提案する。

「おい。土下座しろよ。そしたらそこのガキとお前、見逃してやるよ」

 正直、願ってもない提案だった。そんな事で、この恐怖から逃れられるのならお安いご用だ。提案を受け入れ、膝を曲げようとする。少女がなにか言っているが、聞こえない。

 土下座して、見逃して貰った。




 その後の事は話す様な事でも無い。土下座をした後は、痰を吐きかけられたりもしたが、土下座をしたまま抵抗せず。目的の駅に着くと不良達は降りていった。その後は少女にいろいろ「あなたにはプライドは無いのか」とか「悪い奴らに頭を下げて許して貰うなんて間違ってる」など。あと何故か連絡先を交換した。

 そして今は学校。

 俺の通う生駒平群高等学校の二年二組の教室だ。

「はぁ。朝から運が悪いな」

「見てたよ~。朝の電車の奴でしょ」

「見てたんなら助けろよ」

「無理無理、あたし弱いもん」

 このお喋り相手は俺に唯一関わってくる変人。堺優乃だ。

<へい、やさぐれボーイ>

<あ?>

<お話ししようぜっ!>

 これは、その時の会話そのままだ。

 俺の性格も有ってか、入学してから、話すのはこの堺優乃だけだ。堺が言うには、俺は少し人間離れしているらしい。あくまでも雰囲気の事だが。

「それでさ、最近話題の平群の連続殺人。犯人は学生らしいね」

 少し話しを聞いてなかっただけで、いつの間にか朝の電車から連続殺人。最近の女子高校生は皆こうなのか?

「ねえ、聞いてる?」

「あ、ああ。聞いてるよ」

「なら……オッケー?」

「何がだ?」

「yesかnoか」

「じゃあ前者で」

「よし!」

「結局何なんだ?」

 ふふふ、と邪悪な笑みを浮かべ、何が楽しいのか、オーバーなリアクションで説明する。

「連続殺人の犯人探し!」

 やはり運が最悪の日だった。

 だが、堺の顔は幸せがそのまま表情に出ているかの様だった。そんな顔をしてもらえるなら、まあ、良いかと思った。

きっと錯覚なんだろうが。



 放課後のこの雰囲気は嫌いだ。部活をしていない自分は、早く帰れと学校に急かされている気分になる。

 せっかくだし……図書室にでも寄って行こうか……。

 それとも、せっかくだし少女に連絡をとってみようか。


 少女に連絡はまた明日でもとれる。それに、連絡先を交換したからといって連絡しなければならない訳じゃ無い。

 図書室へ行こう。借りたい本は無いが、家に早く帰りたい訳じゃ無い。無駄な時間稼ぎだ。


 図書室へ入室すると、あの独特の静かな雰囲気があった。俺はこの雰囲気が好きだ。不安な現実から隔離されている様な雰囲気がある…………錯覚なのだろうけど。

 とりあえず、席に付く。堺と話したい気分だったが、あいにく堺は、明日に期待しろ。そう言って早々と帰宅した。

一人でいると、余計な事に思考が及ぶ。将来の事。なんの取り柄も無い自分は、どうやって生きていくのだろう。そもそも、明日生きているかさえも怪しい。

 他には、腐ったこの世界の事。まだ乳母車に乗っている赤ん坊に、うるさいからという理由で熱湯をかける中学生や、わざとしんどそうに振る舞い、心配して近寄ってきた子供に杖で殴りかかり頭を割って殺した老人。自分の会社の利益の為に家族の遺体を掘り返し実験に使用した会社員。朝のニュースでこれだ。報道されていないのも足すともっとあるだろう。

 イヤになるな。

 深く、肺の酸素をすべて吐くように嘆息を吐く。

「幸せが逃げるわよ」

 不意に後ろから声をかけられる。振り向けば、そこにいたのはうちの制服を着た女子生徒だった。三年生だろうか?

「どうしたの? 嘆息を吐いて」

「いや、何も無い。というかアンタ誰だ」

 なんというか。この女子生徒からは、溶けない蝋燭。という印象を受けた。それを言うなら、堺は鏡の中の能面。今朝の少女は異端の聖女。と言ったところか。少しきどり過ぎか……。

「人に名前を聞く時はまず自分から、が常識でしょ。

私は草薙」

 教えてくれるのかよ。

「俺は……ショウマだ」

「ショウマ。ね」

 人に名乗るのはあまり好きでは無い。名前を名乗る事によって、相手の記憶に残るからだ。その記憶に残される自分は、結局のところ現実の自分とは別人で、その別人と自分を比較されるのが、嫌なのだ。

「じゃあ、ショウマ。私の話を聞いてくれる?」

 正直、こういう女とは話したい気分では無かったのだが、沈黙を承知と受け取ったのか、この女……草薙は語りだす。

「最近噂の……連続殺人、どう思う?」

 またその話か……。最近の女子はこういう話しかできないのか? それはそれで恐い。

「どう思うも何も、おかしなキチガイが面白半分でやってるだけだろ」

「わからないわよ。何か大事な使命をおっているのかも――」

「もしそうなら、ソイツは死んだ方が世の中の為だ。人を殺す使命をおってる奴なんて生まれてきたのが間違いだ」

「確かにね。じゃあ犯人が何か事情があって殺っている場合は?」

「どんな事情があっても人を殺した奴に生きる資格は無い」

 そう。と言って、草薙は帰ってしまった。結局……アイツは何か俺に用があったのか?それとも、今の話になにか意味があったのか? まあ……いいか。別に俺が気にする事じゃあ無い。

 こういうモノはもう上がってこないように思考の海の底に重りを付けて沈めよう。

 重りの名前は《考えるのが面倒くさい》だ。




 夏が近づいて来たのもあり、日が傾いていても、まとわりつく様な暑さが只でさえ不機嫌なのにより一層と不快な気分にさせる。嘆息を吐いても暑さが消える訳でもなく。払拭できないナニカだけが着実に堪っていく。

 ダメだな……これじゃあ…………。

 そう思い。決して分厚いとは言えない財布を開け、道の脇にある自動販売機へと向かう。

 と、自動販売機の前に誰かがいる。

 さっき見た時は居なかった筈なのだが、自動販売機の前で、自動販売機の方ではなく。此方を視ている。

 暑さのせいの汗ではない。また、別の系統の嫌な汗が、吹き出る。

 不思議な少女だ。年は此方より少し幼く見える。腰まで届く黒い髪。わけられた前髪から覗く、理知的な瞳。服装は大きめの白いワンピース。そして、どこか淋しげな雰囲気を纏っている。手に取れば溶ける。雪の様だ。

「私を拾ってください」

「え?」

 今……なんて言った?

 さすがに耳を疑った。自分は別に耳は悪い訳では無い筈なのだが、突発性難聴でも発症したのだろうか。

「悪い。うまく聞き取れ無かった。もう一度言ってくれ」

「私を拾ってほしいのです」

 どうやら聞き間違いでは無かった様だ。

「どういう事だ?拾ってくれって。家出か?」

「家出ではありません。ですが帰る家もありません」

「そんなペットを拾う様な感覚で人間は拾えない」

「では、私の事はペットとお思いください」

 さて、どうしたモノか……ここは逃げるべきだろうか。だが、ここで自分が見棄ててしまえば、この少女はこの後どうなる。簡単に予想をたてれば、恐いお兄さん達に捕まり、犯されでもするだろう。この少女だってそれくらい解る筈だ。 そして俺も……決してみてくれは優しそうな男では無い。

 なら、この少女はそうされるのが目的で、拾ってくれと言っているのだろうか。だが、少女の瞳は、《考える事の出来る人》の目をしていた。ならば…………。

「わかった。ついて来い。一週間だけ、家に置いてやる。一週間したら、出ていってもらうからな」

 自分はもしかすると、取り返しのつかない選択をしたのかもしれなかった。

「それでもかまいません。ありがとうございます」

 少女を後ろに連れ、帰路へついた。



 俺の家は、少し特殊だ。

 家は一般的なワンルームだが、実質、俺の一人暮らしだ。母親は物心がつく頃には既に居なかった。一度父親に生きているか聞いた事があったが、「知る必要が無い」と教えてはくれなかった。そんな父親も、仕事が忙しいらしく、必要な時以外は帰ってこない。必要な時といっても、年に三回有るか無いかだが。

「ご主人様。なんでもお申し付けくださいませ」

 帰ってきて、この少女が最初に発した言葉は、コレだった。

「じゃあ、じっとしておけ。帰ってくるのが遅くなったからな。晩飯を作る。なにが良い?」

「そんな、私がします」

「ここは俺の家だ。俺が作る。じっとしておけ」

「わかりました」

 ちゃんと言えば分かってくれる様だ。だが、やはりこの少女は何者なのだろう。家出では、無いそうだ。なら、ホームレスか? 昨今、未成年のホームレスは少なく無いらしい。だがそうだとしても、俺の家に来なくても良い筈だ。まあ良い。一週間したら、出ていくんだ。このコトも、重りを付けて沈めよう。

 やはり、重りの名前は《考えるのが面倒くさい》だ。


 料理は簡単な野菜炒めだ。それとコンビニの惣菜。白ご飯。これだけあれば充分な晩飯だ。そんな今日の我が家の晩飯に、一人の異物。そう、この少女だ。

「いただきます」

「おう、食え」

 作法は、分かっている様だ。推測だが、イイトコのお嬢様なのかも知れない。背筋は伸び、箸の持ち方も綺麗で、正直なところ俺の方が食事マナーが汚く、恥ずかしい。

 だが、食事中、というリラックスした状況だからこそ話せる事もある。そう考え、聞きたかった事をきりだす。

「なんで、あんな所にいたんだ?」

「どうしても……言わなければいけませんか?」

 少し、動揺しているのか?

「ああ、教えろ。さもないと出ていってもらう」

 卑怯だとも思ったが、コレを聞かなければ、此方も安心して眠れない。

「覚えていないのです。知識はあっても、いままでに至る記憶がありません」

 ……………さすがに、予想外だった。

 まさか、記憶喪失とは…………それじゃあ一週間とか結構非情な期限だな。一週間で都合よく記憶が戻るとは考えにくい。それに、記憶が戻っても、帰る家があるとは限らない。

「ごちそうさまでした」

「お、お粗末さまでした」

 そんなこんなで、今日の晩飯は終了してしまった。

「お皿、洗います」

 少女は食器をもって、キッチンへ向かう。

「えっと。洗剤は蛇口の近くに置いてある」

「わかりました」

 こんな感じに、今日から、大きなペットを飼うことになった。




―――――――――――――――――――――――――――



 私は、彼の側にいたい。


 彼は、強く。寂しい人。だから、彼の良さを理解するモノはいない。彼はたった一人で生きていく。


 私はそんな彼の側にいたい。


 彼は……夜に紛れ。死さえも真摯に受け止める。


 私は……そんな彼の最後を視たい。


―――――――――――――――――――――――――――


「ご主人様。起きてください。外に誰か来ています」

 そんな声で、朝を迎えた。

「お前……なにしてる」

 閉じようとする瞼をこすり。昨日拾った少女に問う。彼女は、キッチンでナニカを作っているのだ。

「朝の食事を用意しました。献立は、白米にお味噌汁、昨日の野菜炒めです」

 なんでコイツ、勝手に料理してるんだ?そもそもなに勝手にうちの食材使ってるんだ?…………まあ、良いか。

「えっと。誰か来てるんだよな?」

「はい。おそらくですが、ご学友かと、ご主人様がお出になっている間に、食器を並べておきます」

「お前の分はあるのか」

「用意していません」

「……お前も食え」

「わかりました」

 そんな味気ない朝の会話をすまし、まずは顔を洗う。そのまま寝癖は直さず、玄関に向かった。

「どちらさま?」

 扉を開けると、そこにいたのは、やはり、というか堺優乃だった。

「おはよー! も~うお寝坊さんの、ショウマくん♪」

 そっと扉を閉める。大丈夫だ。俺は何も見ていない。

「えー!ちょっと! 開ーけーてーよー!」

「うるせえ!」

 扉を開き、向き直る。

「何の用だ」

「一緒に学校いこ♪」

「俺の記憶してある限り、お前と出会って約二年初めての出来事だ。どういう心境の変化だ」

「もぉー。昨日約束したでしょ」

 昨日……というと、殺人犯の件だろうか。

「一緒に学校行く約束はしていない」

「じゃあ今しよ!」

 多分……コレは俺が行く。と言わなければ終わらないのだろう。なんか…………RPGとかのゲームで昔あったな。YESと言わなければループするヤツ。

 たしか、強制イベント……だったか。

「分かった。分かったから、十五分位待ってろ」

「えー! 部屋にあげてくれないの?」

 くそ。どうしたら良いんだ。今、家にあげれば面倒くさい事になるのは考える事もなく解る。

「ご主人様。朝ご飯の用意ができました」

「あ、」

「え……」


 ……終わった………………。




「ようするに! この子、ショウマくんのペット?」

「ああ、そうなる」

 そう答るしかあるまい。それに、少女も言葉を返す。

「その通りです」

「人間の女の子だよ!?」

「そうだな」

「ご主人様が望むなら、犬になります」

 だが生物的には人間だ。名前は犬になるが。

 人間は、何処までいっても人間にしかなれない。

「ショウマくん女の子飼うの!?」

「もう飼うと決めた」

「ありがとうございます。ご主人様」

 まあ、そんな犬を拾う感覚で人間を拾うのもおかしいが。

「なんでご主人様なの!?そもそもその子の名前は!?」

「ペットとしては当たり前のことです」

「《当たり前》て、なんだっけ……。絶対おかしいよ」

「《ご主人様》はコイツが勝手に言ってるだけだ。コイツの名前は…………」

 そういえば、コイツ記憶喪失とか言ってたな。都合よく名前とか覚えているのか?

 そう、言葉に詰まり、ふと、少女を見る。

 淋しげに、小さく首を降った。

 俺が何を考えてるのか分かったのか……?

 だが、堺優乃にコイツの名前なんか知らない。とか言えば、話はまた面倒くさい方向に行くだろう。

「……ゆき……?」

「え? 雪? それともゆうき? まさか由貴?」

「そ、そうだよ。コイツは由貴。な?」

「そのとうりです。私の名前は由貴といいます」

 その時少女は、由貴は、確かに……微笑んでいる様に見えた。

 きっと、錯覚なのだろうけど…………。


「お気をつけて、行ってらっしゃいませ」

「ああ、行ってくる」

 一悶着あったが、事態は一応収集した。結果的には、堺が折れるという感じだが。

 いつも通りのルートで、駅へ向かう。駅へ向かう間は、堺と他愛のない日常の会話。

「ねぇねぇ。なんであの子は由貴で私は堺なの? あの子とは昨日出会ったばかりなんでしょ?」

 苗字なんて知らないし、その由貴って名前も今さっきついた名前だ。とは言えない。

「分かった。ようするに堺のことも名前で呼べば良いのか?」

「そーゆうこと」

 小さく、溜め息を吐いた時。電車が駅のホームに入って来た。

「優乃。電車来たぞ。急げ」

「あ! 今名前呼んだよね!?」

「急げ!」

 駆け込み乗車は、ご遠慮下さい。

 他のお客様のご迷惑となります。

 まあ、当たり前の事だ。今時小学生でも理解している。


 吊革を持ち、立って電車に乗る。それはそもそも席を譲るのが面倒くさいからだ。

 嬉しい事に堺優乃は名前を呼んだ時から妙に静かだ。

少し不気味だが。

 満員……という程でも無い疎らな乗客達と共に、じっと目的地まで、電車のリズムに身を任せる。

 筈が、一通のメールでその思惑は粉々になった。

[貴方の目の前にいるわ]

 それは、昨日の朝に連絡先を交換した。携帯を買って初めて連絡先を交換した少女だった。

 俺の携帯は、いざという時に警察や救急車を呼ぶ事や目覚まし、及びインターネット検索以外の機能を初めて果たした。

 視線を、電車外の景色から少し下ろす。すると、本当に昨日の少女はそこに座っていた。

「――ッ!」

 声を上げそうにも為ったが、ここは電車内。という事を思い、声を呑み込む。

 変わりに……声を上げたのは堺優乃だった。

「あー。ショウマくん携帯持ってないとか言ってたくせに!」

「あ、」

 そういえば結構前に連絡先を聞かれたが面倒くさく携帯を持ってないという事にしておいたのだった。

「で、誰から? 連絡。私には嘘吐いてまで言わなかった携帯にやってきた連絡は」

「わたしよ」

 そこで少女が名乗り出る。

「このあやせかすみがお兄さんにメールをおくったの」

へー、そんな名前だったのか……。

 結局、静かな登校は叶わなかった。




 授業は半分以上理解不能のまま進む。

 中学校位からだったか。いきなり勉強がよくわからなくなった。そのまま、なにが解らないのか解らない。という風になり。勉強については、頑張らなくなった。


 学校の授業がすべて終わり。下校の時間となる。

 優乃が、昨日見せると言ってたモノを見せると言い。校舎裏に呼ばれた。校舎裏。と聞けば、喧嘩か告白。と相場が決まっている。だが今回はきっとそのどちらでも無い筈だ。

 呼ばれた校舎裏に行くと……。


 ――そこにあったのは肉塊だった。


「ウッ――ヴぅぐッッ!」

 吐きそうに為るのを必死に堪える。口の中には苦くしょっぱい味が広がる。

 よく見ると――よく見ても。そこにあるのは綺麗とも想わせる紅色に染まった肉塊が散乱していた。

 誰が、誰を? コレは誰だ? 何故自分は此所に? 誰に呼ばれた? 誰が呼ばれた? ならコレは――――!


 気がつけば……走って逃げていた。


初投稿の処女作です。

これからも何やら色々書いていきたいので、できれば改善点などを教えてください。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

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