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朱き帝國  作者: reden
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第31話 進攻


1941年9月3日

モラヴィア王国東部属州 州都ブルーノ



 内壁をくぐった先にある都市ブルーノの政府区画は、ここ数日のうちに大きく様変わりしていた。

 建物の多くが赤軍によって接収され、元々そこに勤めていた役人達は都市機能の維持に関わる魔術関係の部署など最低限の人員を除けば、大半が壁の外に締め出されている。

 また、地方官僚の中でも要職にあったような者たちは特別に設けられた収容所に集められ、ソ連本国から派遣されてきた官僚団に占領統治に関わる諸々の情報を提供していた。

 モラヴィア占領地には当面軍政が敷かれることになってはいたが、ゆくゆくはソ連本国のコントロールの下で再独立という形に落ち着くであろうと考えられている。

 東部属州諸都市を短期間の間とはいえ占領統治した軍人・官僚たちが弾き出した結論は、奇しくもネウストリア帝國政府が至った結論とほぼ同じようなものだった。

 土地自体が痩せており、領有したところで然して旨みがあるとも考えられず。鉱山等の利権や鉄道敷設権・港湾使用権などさえ確保できれば、後はソ連本国に忠実な現地人に統治を任せるのが最も安上がりなのだ。

 近代的な交通インフラは道路網くらいしかなく、本格的に統治するとなれば莫大な投資が必要になることが予測されたからだ。むしろ、まともな道路網が整備されていただけモラヴィアはマシなレベルだといえる。

 モラヴィアほどに魔道文明の発達していない辺境のインフラはさらに悲惨であり、情報を集めた限りでは自動車化部隊の通行にも困難が予想される地域が多数あるようだった。

 また、ソ連が必要とするモラヴィアの技術情報に関しても、要は魔術研究に必要な人材、資材さえソ連本国に確保すればよい話なのだ。

 魔術行使にまずもって必要なのは施術を行うための魔道師―――すなわち技術者であり、その際に必要とされる触媒……宝石や植物などはソ連側で用立てるのも決して困難なわけではないのだ。

 統治にあたっては、過度に優秀な人材はスポイルしてソ連政府の指示に背かない無難な人間を現地人のトップに据える。戦後しばらくは、治安悪化を防ぐためにもある程度の軍事力展開や経済援助の必要になるだろうが、それでも完全にソ連領として組み込んでしまうよりは安上がりだろう。

 ソ連に忠実なモラヴィア軍人、モラヴィア人官僚団。そういった人材の徴募は既に開始されており、その最大の狩場となっているのが此処ブルーノだった。

 攻略に際して市街戦に及ぶことなく降伏したために、赤軍による略奪等も発生しておらず、その統治者や軍人たちにしてもソ連側の命令に対してひどく従順であったことから、接収した地方行政機関の一角をNKVDが占有して戦後のモラヴィア独立準備政府の為の人材確保に手をつけることとなったのだ。


 車を降りたルーキンはクラリッサを伴って城館に足を踏み入れた。

 仰々しい門扉をくぐりエントランスへ抜けると、3,4名の下士官と将校が詰めているデスクが設けられており、ルーキンはそこにまっすぐ向かうと、責任者と思われる少佐マイオールの階級章をつけた担当将校に自身の身分証明とベリヤ直筆の命令書を手渡した。

 命令書を受け取って確認する少佐マイオールの横で、赤軍の下士官が訝しげな面持ちでちらりとクラリッサを見る。

 その視線は、クラリッサの制服のベルトに付けられた鞘と、そこに収められている魔術行使用の短杖ワンドに向けられている。

 似たような視線は他の将兵からも向けられており、クラリッサは居心地悪そうに身じろぎした。

 ルーキンもそれに気づいたのだろう。周りをじろりと睥睨して咳払いすると、不躾な視線を送っていた将兵たちはやや狼狽したように視線を逸した。

 

 そんな周囲の状況をよそにデスクで黙然と命令書を確認していた赤軍少佐だったが、命令発行者の欄に視線が移ったところでギョッとしたように目を大きく見開いた。

 それまでの事務的な対応から一転して丁寧な手付きで書類を畳み、ルーキンに返す。


「―――お待たせいたしました大佐パルコヴニク殿。NKVD地区司令部オフィスは3階になります。中尉レイチェナント、ご案内しろ」


 ルーキンは書類をしまいつつ頷きを返し、案内役の将校に連れられて階段を昇って行った。

 




■ ■ ■




 オフィスに足を踏み入れた二人を出迎えたのは執務席に腰掛けた太った大佐パルコヴニクと、その傍らで煙草を薫らせながら立つクラシュキンだった。

 司令部にはブルーノに駐留している作戦グループ将校のデスクと思われる長机と硬材の椅子が何組か置かれていたが、いずれも空席だった。

 ルーキンとクラリッサが入室すると、まずクラシュキンが話しかけてきた。


「やっときたか。トレンカから此方まで随分とかかったな」


「途中、砂塵の影響で連絡機の発着が遅れまして。トレンカで少々足止めされました。そちらに影響はなかったので?」


「市内にはな。結界というやつは実に便利なものだ」


 軽く肩をすくめると、クラシュキンは窓の外に目を向けた。

 その視線は空へと向けられている。


「郊外からの砂埃が街中に入ってくることはない。常時張られている結界が、外部からの埃やら何やらを全て防いでしまうのだそうだ」


「……なるほど。その結界は雨は防げないので?」


 外套に付着した雨粒を指先で軽く拭いつつ、何気なく聞いてみたルーキンに、クラシュキンは肩を竦めるとどこか投げやりな調子で返した。


「そのようだな。四大属性の相剋だか何だか……まぁ魔術的な技術の問題らしい。詳しくは後ろの大尉カピターンに聞けば良いだろうよ」 

  

 そこまで話したところで、ふと何かに思い当たったように視線がルーキンの方を向く。


「4時間程前に本国より連絡があった。ネウストリアが参戦したそうだ」


 参戦そのものは以前より予定されていたものであり、ルーキンに大した感慨はない。

 が、クラリッサの方は初耳だったらしく表情を激変させていた。


「参戦―――精霊教連合が!?」


 半ば掠れた声が毀れ出る。

 そこには微かながら畏れの色が混じっていた。

 ソヴィエトがモラヴィア人にとって征服すべき対象であるなら、ネウストリアは不倶戴天の仇敵と言える。

 ネウストリアを含めた神聖同盟諸国が信仰する精霊神教は、決してモラヴィア人を明確な教敵として定めているわけではないが、マナを神聖視するその教義からして、モラヴィアの秘蹟魔道と相容れないのは明らかだ。

 その占領統治がどのようなものになるか、秘蹟魔術師たちがどのように扱われるか……どう考えてもまともな扱いになるとは思えない。

 クラリッサの動揺に、クラシュキンはちらりと一瞥をくれたがすぐに興味無さ気に視線を外した。


「捕虜としたモラヴィア軍高官から得た情報だが…我が軍への対応として、南部国境付近の守りについていた戦力は北へ移動中とのことだ。遮る者のない以上、ネウストリアが北に押し上げてくるのは時間の問題だろう。こちらも明け方からモラヴィア中央に向けての侵攻作戦を発動している。此処での人材徴募をお前たちに引き継ぎ次第、私はグゾフスキーのグループに帯同して前線に向かう」


 詳細は後でクリコフに聞け、とクラシュキンは言った。

 同時に、現在クラシュキンの下で動いているブルーノの作戦グループはルーキンの指揮下に戻すとも。

 ……つまり、これで漸く元の配置に戻れたというわけだ。

 ルーキンはホッと一息ついた。

 昇進し、ベリヤ直属の扱いになったとはいえ、これまでと任務の内容が変わるわけではない。

 精々クラリッサの目付け役という仕事が付加された程度だろう。

 当然、練達の魔道師であるクラリッサがつく以上、ルーキン達が扱うことになる捕虜は高位の魔術師が中心となるであろうし、危険度も増すだろうが。

 そこは階級とベリヤ直属と言う肩書きをうまく利用して動き回るしかない。


「占領統治に必要とされる属州官僚はジリンスキーのチームが押さえてある。君らは引き続き軍属中心に魔術師の徴募に当たれ。出来れば連中のテクノクラート―――導師と呼ばれているような者達を引き込めれば言うことは無い」


 機甲部隊が市街に突入する前段階でブルーノ守備軍が降伏してくれたのは僥倖と言えた。

 これによって都市及び東部属州の行政を統括するブルーノ政庁の官僚団と地方軍総司令部が無傷で赤軍の手に落ちたからだ。

 現地に軍政を敷くに当たって、現地住民を秩序だって統制することのできる地元組織があるのとないのとでは、かかる労力も段違いとなる。 

 一通りの説明を終えると、クラシュキンはそれまで黙ってルーキン達とのやり取りを眺めていた執務席の大佐を紹介した。


「ここでの捕虜の管理は、こちらのサムソノフ大佐麾下、国内軍第14旅団が管轄している。協力してことに当たりたまえ」


 そういってクラシュキンは話を打ち切ると机に置かれた灰皿で煙草を揉み消した。

 話は終わりだというように踵を返し、近くの硬材の椅子に引っ掛けていた外套を制服の上から羽織る。


「さぁ、早いところ引継ぎを終わらせよう。ぐずぐずしていては今後の任務にも差し障るからな」








■ ■ ■









 モラヴィア東部属州と本国中央領は、東部属州の西端を流れるクラナ大河によって隔てられている。

 クラナ大河――――大陸最北の造山帯であるルテニア山地に端を発し、そこから南東へとモラヴィア国土を貫き、グラゴールを抜けて東大洋へと流れ込む。

 長さ2000キロ超。欧州ロシアを流れるドニエプル川に匹敵する大河川である。

 赤軍の先制攻撃により開始されたモラヴィア東部属州侵攻作戦により、属州州都であり東部最大の兵站拠点でもあるブルーノを短期間のうちに失ったモラヴィア軍は大幅な戦線の縮小を余儀なくされ、その防衛線はクラナ大河という天然の要害に沿った本国領・南部州との境界線まで後退していた。

 赤軍側は、東部属州内に取り残されながら未だ抗戦を続ける地方軍残党や、屍兵の掃討を北部方面軍が担当する一方で、西部軍が州都ブルーノ、北西軍は南部州に近い中規模都市ヴァルデックにその司令部を置いて対岸のモラヴィア軍と対陣。

 一方のモラヴィアは東部属州失陥という大打撃を受けながらも折りからの総動員によって西部・中央領を中心に13個兵団20万に及ぶ兵力を集結させており、これに加えて東大洋より大河を遡上させたクラーケン、シーサーペント等の水棲キメラを展開させて長大な防禦陣を構築。

 後備役の戦列兵団までも動員し、完全な戦時体制に移行したモラヴィア野戦軍は王国総軍として正式に編成され、その司令部は王都キュリロスの王国総本営に置かれることとなった。

 不毛かつ人口希薄な東部属州に対して、モラヴィア中央は王国総人口の4割近くを擁し、政軍の中枢でもある最重要地域であり、ここが東部属州同様に赤軍に蹂躙されるようなことになれば、下手をすれば王国の滅亡に直結しかねない。

 西部・中央領から掻き集めた戦力の大半が対ソ防衛線に投入され、一方では王国最精鋭の軍団である南部国境梯団からも主力である魔道軍機鎧兵団3個を中心とした機動集団が北上を開始した。

 これにより、対ネウストリア国境の防衛密度は大きく低下しており、一部の軍人達を不安がらせていた。



 そんな中。9月1日未明にネウストリア軍がモラヴィア南部国境を突破。

 これに続く形で、ソ連赤軍もクラナ大河を挟んでモラヴィア軍と対峙する2個方面軍をモラヴィア本国に突入させ、一挙に王都キュリロスを含めた本国中央部を攻略。国内最大の穀倉地帯である西部地方と魔道軍主力が展開する南部州を分断し、モラヴィアの経戦能力を一気に削り取る作戦を発動した。

 作戦名【バグラチオン】の開始であった。


 作戦発動と同時に、河沿いに展開する西部・北西方面軍に所属する砲迫12000門が火蓋を切った。

 渡河の前段階として、対岸に布陣するモラヴィア王国総軍に対して徹底的な事前砲撃が実施され、河沿いに形成された前線のモラヴィア陣地群が次々と炎に呑まれていく。

 ソ連側の捕虜から得た情報。さらにはソ連本土へ侵攻した異界進駐軍の生き残りといった者達からの進言を受け、河沿いには多数のゴーレムを投入して作り上げた初歩的な塹壕陣地群が設けられており、さらには従来通りの魔術結界による防御体制も整えられていたが、それも多数の爆撃機や重砲群を含めた多彩な火力投射手段を有する赤軍を相手にしては気休め以上のものとは言えなかった。

 陣地群の周囲に張り巡らされた結界にはブルーノのような一部重要都市に構築されるもの程の強固さはなかったし、塹壕もあくまで土を掘り、木材や煉瓦で一部を補強したような簡易な造りのものであり、コンクリート製のトーチカ陣地を破砕する為に開発された各種徹甲弾の直撃など受ければ一撃で破壊されてしまうような物でしかなかった。

 特に、河岸の防御陣地に配置された将兵の末路は悲惨と言うしかない。

 架橋部隊の安全を確保するために、赤軍の対岸に野戦陣地を構築していたモラヴィア軍部隊はソ連砲兵師団の集中砲撃を浴びせられて叩きのめされ、そこに配置されていたほとんどの魔術師たちは一発の魔力弾さえ放つことなく戦場の塵芥と化した。


 そして、ここで赤軍は展開が間に合った重砲群に加えて、新たに投入された新編の多連装ロケット車輛を配備した7個砲兵連隊250両をこの砲撃に参加させている。

 制式名称BM-8―――後にカチューシャの愛称で赤軍将兵から呼ばれることになるこの自走ロケット砲の特筆すべき点は、なんといっても簡素かつ生産性に優れた構造と、命中精度の低さを補う36連装ロケットの広大な面制圧力にあるといえる。

 レーダーはもちろんまともな照準装置などは無く、おおよその方角に向けた公算射撃を行う兵器であるため、正確にこれという目標を破壊することには向いていないものの、軍勢の集結する戦域そのものを火力の網で包み込むという役回りにおいては、これ程あつらえ向きの兵器もない。

 250両のロケットランチャーから立て続けに発射される、合計9,000発にも及ぶロケットが自軍の野戦陣地に向けて一斉に降り注ぐ光景は、前線のモラヴィア軍将兵を大混乱に陥れた。

 火を吹いた矢のようなものが、自軍の陣地目掛けて視界を埋めつくさんばかりの物量で持って襲い掛かってくるのを目にしたモラヴィア魔道軍将兵の中には、それを自国の魔道軍―――わけても竜騎士団が多用する【爆炎】の魔道槍と誤認する者も少なからずおり、それが現場の混乱に拍車をかけた。

 魔術師にのみ扱うことのできる魔道具。それを、魔術を扱う術を持たない異世界軍が使用しているのだ。


「莫迦な……異世界人はどうやって魔道器を運用しているというのだ!?」


 ソ連の熾烈な砲撃に晒されている前線から悲鳴のような救援要請がひっきりなしに届く中。

 モラヴィア王国総軍中央梯団総司令官を務めるアルフレート・イセルシュテット魔道兵大将は苛立ちをぶつけるかのように戦域地図の広げられた机に手の平を叩き付けた。

 異世界人は魔力を持たない。それはつまりこの世界の列強国一般が運用しているような各種魔道技術を有しておらず、たとえその知識を得た所で魔術や魔道具を運用することができないことを意味する。

 であるにもかかわらず、ソ連赤軍は魔道槍を―――それも信じ難い規模でこちらに撃ち放ってきた。

 前線の陣地群を次々に沈黙させている砲撃も脅威だが、モラヴィア軍首脳部に最大の衝撃を与えたのがロケット兵器の存在だった。

 冷静に魔術師が観察すれば、それが魔力を帯びていない鉄と火薬と燃料の塊であることが解りそうなものだが、生憎とそれを正確に洞察し、あまつさえこの豪雨のような砲撃の嵐の中で司令部に報告できるようなものはいなかった。

 

「よもやとは思いますが。もしや東部属州の土豪が寝返りを……」


「貴様、滅多なことを言うな!」


「ではこの状況はなんだというのだ!?魔力を持たぬ異界人に魔道器は扱えぬ。ならば【槍】を扱っているのは奴らの軍門に降った王国の者と考えるしかあるまい」


 動揺に駆られ、不毛な議論を交わす幕僚達。

 だが、一部には未だ冷静さを保っているものもいる。


「閣下。野戦軍の結界では敵の攻撃を防ぎきれません。水際の防御部隊はともかく、機動防御用の機鎧兵団と水棲キメラの操者は後方……せめて敵の長距離攻撃の射程外まで下げるべきです」


 作戦参謀達の一番末席に立っていた将校の進言を、イセルシュテットは暫し頭の中で吟味した。

 確かに、敵の火力を考えるとこのまま陣に篭っていても一方的な砲撃で擦り潰されるだけだろう。

 だが、後退させるといっても敵の航空部隊による追撃は受けるだろうし、何より……


「それでは敵が渡河を開始した際の反撃が遅れる。異界軍の機動力・突破力を考えるなら水際防御の失敗は何があろうと許されんぞ」


「そちらは水棲キメラに足止め乃至妨害させれば良いかと思われます。操者を下がらせることでこちらの統制力は低下しますが、敵は魔道技術を持ちません。キメラの制御を奪い取られるようなことにはならないかと」


「敵が魔道槍を使ってきたことはどう考える?魔術師を敵が抱えていないと断じるのは早計ではないか?」


 イセルシュテットの指摘に対しても、その参謀は澱みなくすらすらと答えて見せた。


「逆にいえば、敵がこれまでに使用してきたのは先の魔道槍のみです。遠見・透視・盗聴などの索敵系の魔術が使用された形跡は見られませんし、後方に遺棄されているであろう我が軍のゴーレムを利用している様子もありません。こちらの魔術師を異世界軍が取り込もうとしている、というのは十分にありえますが、我が軍最精鋭の機鎧兵団の導師から使役獣の統御を奪い取る程の高位術者を多数有している……というのは考え辛いかと」


 口の端を微かに釣り上げると、イセルシュテットは大きく頷いた。


「……宜しい。その案で行くとしよう。参謀長、直ちに機鎧兵団司令部に通信を送れ」


 そう告げてから、ふと、先程の進言を行った参謀をちらりと見た。

 総動員令を受けて予備役から急遽復帰したというが、それにしては随分と場慣れした印象を受ける。


「ノイマイヤー少佐。貴官は予備役から復帰したのだったな。……以前、どこかで実戦の経験が?」


「いえ、今回が初めてです。司令官閣下。しかし異界人に関しては少しばかり縁がありまして」


 かつて異界調査団としてソ連邦の姿を目の当たりにしたモラヴィア人のひとり、オットー・ノイマイヤー魔道兵少佐はそういって苦笑した。

 






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