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美人は怒ると怖い

それからというもの、団長さんの距離が近くなったように感じる。


団員さん達がいるところでは普通なんだけど、アランさんと2人で厨房にいる時とか、アンナ先生とお茶をしている時とかにやって来ると、私にくっついてきたり、私の横に座ったりする。


アランさんもアンナ先生も微妙な顔をしているが、私はあまり気にならない。

アシュリー団長の方が歳上だと思うが、なんだか可愛い妹ができたみたいで、つい甘やかしてしまう。


ある日、アンナ先生と私が作ったクッキーを食べつつ、診療室で茶をしていると、アランさんとアシュリー団長がやってきた。


「あーーそのクッキー、レイが作ったの?私も食べたい」ってすぐ様私の横に座った。

「団長、俺たちは訓練で必要な傷薬を取りに来ただけですよ。すぐに戻らないと」とアランさんが言うが、団長は聞いていない。


「団員達に傷を作るのは私しかいないんだから、私がいなければみんなは無事よ」と団長は私のティーカップを奪ってお茶を飲んでいる。


「なんですか、その屁理屈。最近の団長は訓練に力は入りすぎてますよね、何かを()()させようとしてませんか?」とアランさんが問いかけると、団長の目が泳いだ。


「まあ、王都に帰ったら、団長のご両親も今年こそは結婚をして貰うと言うでしょうから、それまでにご準備されておくのはいいかと思いますがね」とアランさんが言うと。


「あー嫌だわ、もうここにずっといたいわ、春なんか来なければいいのに」と団長は私の方を向いて、口を開けてる。


私はクッキーを団長の口に放り込んで、

「ちゃんとお仕事してきてくださいね」と言うと、団長は嬉しそうな顔をして、アランさんと出て行った。


アンナ先生は「あなたはどうやって、アシュリー団長を手懐けたのかしら。あんな団長見たことないわ」と不思議そうに言う。


「餌付けしちゃったんですかね?団長は私の料理やお菓子が好きですから」


「胃袋掴んじゃったのね、私は料理はまるっきりできないから、アランの料理を食べた時は衝撃的だったわ。それで絶対に結婚してもらうんだって、追っかけまわしたの」


「情熱的ですね。お二人とも幸せそうで、羨ましいです」と言うと。


アンナ先生は真剣な顔をして。

「レイは結婚願望とかあるの?どんな人がタイプ?」と前のめりで聞いてきた。


「え?まあ私もそろそろと思ってたんですが、仕事が忙しくて、出会う機会はなくって。でもいつか子供は欲しいですね。好きなタイプですか?私の事を大切にしてくれる人ですかね」


「他に何かないの?容姿とか体格とか?」


「私は背が高い人が好きですね、私がチビなので。容姿は好きになったら関係ないですね」


「なるほどね、団長に伝えておくわ」とアンナ先生がいう。


「団長には結婚適齢期のお兄様とか弟さんがいらっしゃるのですか?」と私が聞くと。


アンナ先生はなんだか残念そうな顔をした。「こりゃ前途多難だわ」


次の日は朝から砦はバタバタしていた。


どうやら、外壁に侵入を試みた跡があると朝の巡回で見つけたそうだ。


朝食の準備をしていると、団長がやってきて、私にアンナ先生の医務室に行くように言った。

「砦内に侵入した形跡はないけど、念のため捜索しているわ。それが終わるまで医務室で鍵をかけて待機する事」と言われ、そこまで送ってもらった。


アンナ先生はもう既にいたので、鍵をかけて中で待機していると。


ドアがガンガンと叩かれた。


「急病人です開けてください」と切羽詰まった声がする。

私はその言葉に弾かれるようにドアに向かうと。

「レイ。待ちなさい!」とアンナ先生が叫んだ。

しかし、私は鍵を開けてしまっていた。その瞬間、ドアがバンと開いて、私は吹っ飛ばされた。


「おやおや、医者だけかと思ったら、異国人までいるとは」


そこには、2人のフードを被った男達がいた。


1人は私の方に来て、首にナイフを押し当てた。


「先生、俺たちは薬が欲しいだけなんだよ、協力してくれるなら、命はとらない、熱を下げる薬をよこせ、子供に使えるやつだ」と言うが。


アンナ先生は怯えているのか、返事をしない。


男たちは苛立ったように同じ事をもう一回いうが、アンナ先生は困惑している。


「だったらこいつを殺すぞ!!」と私の首にナイフをもっと強く押し当てた。首がちくっとして、血が出たのがわかる。


アンナ先生は叫んだ。

「あんた達何言ってるかわかんないのよ!!!」


え?わからない?


そうしたら、男達も動揺し始めた。

「あいつの言う事がわかんねえ」


え?同じ言葉はなしてないの?


私は男たちとアンナ先生に「アンナ先生、こいつらは子供に使える熱冷ましの薬が欲しいと言ってます、あなた達はアンナ先生はあなたの言葉がわかんないって言ってるだけなので落ち着きなさい」と言うと。


3人は一斉に私を見て叫んだ。


「「「なんで言葉がわかるんだ?」」」


そう言われてもねえ。


ナイフを当てていた人は呆気に取られて、私を離してくれたので、アンナ先生が急いで傷口の手当てをしてくれた。


そこで私が男達に話をしようと口を開けると。

またもやドアがバンと開いて、真っ赤な髪の人が駆け込んできた。


「「アシュリー団長!!」」私とアンナ先生がそう叫ぶと、アシュリー団長の目は私の首の上で止まった。


「あんた達、私のレイに何をしたのよ!!!」と2人の男を蹴散らした。


一瞬で動けなくなった2人に剣を向けたアシュリー団長の目は怒りがおさまってない。


「わーー団長、無駄な殺生はおやめください」と私が言うと、団長は私を見て。


「レイ、私は鍵をかけて中に籠ってろって言ったわよね、なんでこいつらが中にいて、首に怪我をしているのよ!!!」と怒鳴られた。


私は団長の剣幕に思わず泣いて「ごめんなさい、アシュリー団長。急病人って言われて思わず開けちゃったんです」と言うと。


団長は「首の包帯を見た時は心臓が止まるかと思ったわ、無事で良かった」と私のことをぎゅうぎゅう抱きしめた。


そしてアランさんが来るまで離してもらえなかった。






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