7 大魔法師マーリーの捜索2
魔法で作った飛行船に乗り、大魔法師マーリーの捜索隊はわずか2~3時間で、スカイスクレイパー山脈のふもとにある寺院の跡に着いた。やはり寺院は焼失していた。
イワンはその情景を見て、心の底からがっかりした顔をした。
「うわさには聞いていましたが、実際に目の前で見ると衝撃を受けます。私は幼い頃に両親を亡くした孤児でした。住む家も食べ物もなく路頭に迷っていましたが、ここにあった寺院に引き取られました。そして、大勢いた孤児の中から先生に才能を認められて、魔法を教えていただいた場所でした。」
それを聞いたフーカが励ました。
「苦労されたのですね。でも、大魔法師から杖を授けられるまでになったのです。苦労は報われたのですよ。」
「ありがとうございます。それではここで、先生を呼び出す魔法を使ってみます。」
そう言うと、イワンはスカイスクレイパー山脈に向かって、杖を何回も振りながら呪文を唱えた。
「広いスカイスクレイパー山脈にいる我が師、大魔法使いマーリー!その弟子イワンがここにいることを示さん。レジリメンス、レジリメンス、レジリメンス………。」
すると声がした。
「イワンよ。そう何回も言わなくてもいい、もう君の前に来ているから。私の超絶感覚は良く知っているだろう、お前の呪文が、頭の中にがんがん響いて来るわ。」
イワンのすぐ前に、とても背が高い、白くて長いあご髭を生やした老人が現われた。
すぐに、イワンに近づき頭をなで始めた。
「我がかわいい弟子よ。久し振りだな。」
「はい。先生、お久し振りです。お元気そうでなによりです。」
「ところでイワン、お前がお連れしたこの女性は?」
「初めてお目にかかります。私がフランツ王国の姫軍師フーカ様です。」
「そうですか。軍師ということは国王の側近でいらっしゃるのですね。」
「はい、本日はナオト国王からのお願い事があります。大魔法師様に我が陛下の苦難をお救いいただきたく参上しました。」
「どのようなことか、お話いただけますか。」
「魔王ザキの暗黒魔法により、陛下の両足が鉄にかえられてしまいました。体全体への進行につきましては、大魔法師様のお弟子のイワン殿の力により解除していただきました。」
「イワンよ、鉄化の進行を止めたのか。」
「はい、先生。しかし、既に鉄化してしまった陛下の両足を元に戻すことはできませんでした。まことに未熟で恥じ入るばかりです。」
「いやいや、その年の経験値でそこまでやれたのはすばらしい。さすがに私から杖を授けた優秀な弟子だね。さて姫軍師様、陛下の御依頼は確かに引き受けました。陛下の元に参りましょう。」
「ありがとうございます。」
「確か、フランツ王国の王都はイスタンでしたな。姫軍師様、イワン、それとお供の方々、御用意はよろしいか。既にイワンの魔法で王都イスタンと、この場所は繋がれていますね。」
「先生、私の魔法の飛行船に乗られますか。」
「必要はないよ。一旦、繋がれた場所と場所との移動時間はどんどん短縮できるのが魔法の原理だ。イワン、覚えておきなさい。」
そう言うと、右手で王都イスタンの方向を指差し指を鳴らした。
すると瞬時に、捜索隊が出発した王都イスタンの宮殿大広場にみんなが戻っていた。




