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6 大魔法師マーリーの捜索

 ナオトは魔王ザラと会った時の話しをフーカに話し終えた。

 すると、真剣な顔をして彼女がたずねた。


「佐藤さん。だいたいのことはわかりました。………でも1つだけ、全くわからないことがあります。あなたが魔王に『頭がよく、とても優しくて、いつも佐藤さんを助けてくれる。』と言った女性は誰ですか。」


「………北川さんがよく御存知の女性です。内面も外面も、北川さん以上にその女性のことを知っている人はいません。」


 彼女は満面の笑みを浮かべて言った。

「わかりました。ナオト陛下、姫軍師フーカは今から大魔法師マーリーの捜索に出発します。」


 ………


 出発の直前、捜索隊は宮殿の前の大広場に集結していた。

 フーカはイワンに聞いた。

「イワン。あなたの師である大魔法師マーリーは、この世界のどんな所に隠れ住んでいるのでしょう?」


「姫軍師様、先生は若い頃から魔法の力を高めるため修業を重ね、超絶感覚を身につけています。視覚、聴覚、味覚、臭覚、触覚の5感が普通の人間の何万倍も働くと聞いたことあります。ただ、その代償として心の中に流れ込む大量の情報をシャットアウトしないと、休むことができません。眠ることもできないのです。」


「そうすると、刺激が少ない場所を選ぶ可能性が高いですね。この世界でそのような場所はありますか。水、緑、土、それと調和して生きる動物や植物、ほんとうに自然しかなく、時間が止り永久に変わらない場所と言っていいかもしれませんが。」


「スカイスクレイパー山脈という場所があります。この世界で最も天に近い場所ですが、姫軍師様が言われたような場所です。実は、私が先生に魔法を教わったのは、その山脈のふもとにある寺院の中でした。寺院はその後、戦乱で焼失したと聞いていますが。」


「寺院があった場所は、王都イスタンからどれくらいの距離がありますか。」

「馬で半年ぐらいかかります。」

「そうですか、それでは出発しましよう。陛下に100人の兵士を護衛につけていただきました。」


「あの、姫軍師様。私が考案した新しい魔法を試したいのですが。」

「どんな魔法ですか。」

「自分で名づけましたが『短縮魔法』です。長い距離を移動する時間を短縮する魔法です。」


「具体的にはどのような魔法ですか。」

「大きくて早く動けるものを魔法で作り、それに乗っていただくのです。お見せしていいですか。」

「見せてください。」


 イワンは魔法の杖を取り出し、詠唱しながら空中を指し示した。

「我は創成する。多くの人を乗せ、空中に浮かび、鳥よりも早く動く物。アパレシウム!」

 すると、空中に物体が現われ最初は浮いていたが、その後地面に着陸した。


 それを見てフーカは笑いながら言った。

「飛行機ね。いや飛行船って言った方が良いかしら。」

「姫軍師様は、私が魔法で作ったものをもう御存知でしたか。」


「はい。2~3回しか乗ったことはありませんが。イワン、あまり驚かなくてごめんなさい。でも、誰も考えたことがない物を心の中で組み立てて創成するとは、たいしたものです。人間の歴史に残るべき偉大な功績です。」


「ほめていただきありがとうございます。姫軍師様はほんとうに別世界から来られた方なのですね。陛下も同じだと思いますが。」

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