22 魔王軍の侵攻
フランツ王国へ魔王ザキが最後通告して、侵攻を開始すると予告した日の1か月前になった。魔界にある魔王城の大広間において、高位魔族の数人が集まり話し合いがされていた。
既に決定した事項として、魔王が強い口調で言った。
「1か月後、10万の魔王軍を編成してフランツ王国に対する侵攻を開始する。兵力はオーク、ゴブリン、獣人族により編成するが、既に準備は整いつつある。後は司令官を決めたいのだが。誰か立候補者はいませんか?」
魔王がそう問いかけたが、誰も手を上げる者がいなかった。
高位魔族は一応形として魔王に従ってはいるものの、誰かの命令で動くこと、それに10万もの低位魔族達を指揮し動かす手間がいやだったからだ。
イライラし始めている魔王が言った。
「みなさんは私、魔王の中の魔王ザキの家臣ですよね。私がみなさんの御活躍の場を折角作って差し上げたのに、どなたも立候補していただけないとはどういうことなのでしょうか。」
魔王は非常に恐い顔で、隣に座っている事実上のナンバー2の竜王ドランに言った。
「ドラン。みなさんは遠慮しているに違いないわ。あなたが、適任者を指命してください。ただし、フランツ王国の司令官の姫軍師フーカは相当強い。私かあなたに引けを取らない者の中から選んでください。………もちらんあなたが、自分自身を選んでも良いのよ!」
それは実質的に竜王ドランが司令官になれと命令されたのと同様だった。
「魔王様。それでは私竜王ドランが、今回のフランツ王国侵攻の司令官に就任させていただきます。魔王様の御期待に応え、必ず勝利致します。」
「あら!あら!あら!ドランが自ら率先して司令官になってくれるそうよ。みんな拍手!」
大広間が盛大な拍手であふれた。
………
それから1か月後のある日、魔王軍の侵攻が始まった。姫軍師フーカが予想していたとおり、ダリル平原の上空に巨大な黒い穴が開き、そこから地面に向かって広大な橋が架けられた。
橋を通り、オーク、ゴブリン、獣人族が進軍してきた。
あらかじめ、その様子を監視するよう待機していた斥候役の兵が早馬で王都イスタンに急報を知らせた。宮殿の謁見の間にはナオト国王、姫軍師フーカ他、フランツ王国の大臣や重要な役割の家臣が集まり、その知らせを聞いた。
「さきほど、魔王軍約10万が空からダリル平原に降り立ちました。兵士はオーク、ゴブリン、獣人族で構成されています。この3つの軍団でまとまって進軍するようです。」
知らせを聞いてフーカが言った。
「10万もの大軍を冷静に観察して、重要な情報を良く知らせてくれました。イワンにお願い、オーク、ゴブリン、獣人族の3軍団を監視するために、魔法ドローンをそれぞれ飛ばしてください。」
「今指示を出しました。すぐに3軍団の情報が送られてくるはずです。」
すると、謁見の間に現われた3つの煙の壁に3軍団の状況が映し出された。
次にフーカが指示を出した。
「イワン、獣人族のレオ様とティグル様の軍に魔法で伝令をお願いします。打ち合わせどおり、魔王軍の獣人軍団に発見されるような位置に待機し、追いかけてきたら戦わず急いで逃げて、獣人軍団を魔王軍から分離させ、オリンピア街道から離れた場所に移動させてください。」




