2 異世界での再会
大きな建築物、城塞のようだった。気がつくと、北川風香は広いバルコニーに立っていた。
すぐ下の都市を見ると、石造りの多くの家々が遠くまで続いていて、遙か彼方に城門がかろうじで確認できるほどの広大さだった。
伝令が彼女を呼びに来た。
「姫軍師フーカ様。ナオト陛下がお呼びです。謁見の間でお会いになるそうです。」
「そうですか。今参ります。」
彼女は思った。
(この異世界で私は姫軍師?女性の軍師という意味かしら?ナオト陛下って佐藤さんのことね。謁見の間で話せるということは、体も回復したのかしら。よかった!)
謁見の間には大臣、貴族、従者など多くの者が控えていた。その中で、彼女は王の玉座の前でひざまずいて待っていた。
すると、玉座の後ろの扉が開き国王となった佐藤直人が入ってきた。ただ、両脇を屈強な従者に抱えられ、1人では歩くことができないことが明らかだった。
やっとのことでよろよろと玉座に座ると、彼女に向かって弱々しい言葉を発した。
「姫軍師フーカよ。元気であったか。」
「はい、元気で過ごしております。ところで陛下のお体はどうでしょうか。健康を害されたと聞き及び、たいへん心配しておりました。」
「なんとか立ち上がり歩けるほどまで回復したが、少し前まではずっと意識を失っているほど悪かった。ところで、私は今からフーカと内密の話しをしたい。この場を2人だけにしてくれないか。」
………
2人だけになった後、彼が言った。
「北川さんですね。僕はあの夜オフィスのフロアーから階段を下り、やっと1階に下りたと思ったら、胸に強烈な痛みを感じたことを覚えています。死んでしまうのかと思ってから、その後のことは覚えていません。」
「佐藤さんは異世界に転生したのです。私は、倒れている佐藤さんを救急車で搬送してもらう途中まで現実世界にいましたが、あの時佐藤さんの命は後5分しかありませんでした。」
「そんなに緊迫した状況で、異世界に転生したのですね。」
彼女は真剣な顔で彼の目を見て言った。
「はいそうです。大切なことをお知らせします。佐藤さんは異世界に転生したことで、命を5年間に延ばすことができました。しかし、過酷な運命も同時に転生されましたので、その運命にあらがい勝つことができなければ、佐藤さんの命はそこで終わります。」
「そうですか。僕は今から1か月くらい前にこの世界に転生しました。………僕の過酷な運命がどういうものかは良くわかります。」
「ほんとうですか。」
彼は黙って両足を彼女に見せた。
「えーっ!!!」
彼女は驚いて大きな声を出した。
彼の両足は、完全に鉄になっていた。それどころか、鉄になった部分は少しずつ生き物のように広がっていた。
「これは、僕が転生してから魔王ザラにかけられた暗黒魔法の効果です。だんだん鉄化が進み、最後には全てが鉄になります。宮廷魔法師に見てもらいましたが、どうしようもないそうです。後5年で僕は完全に鉄の塊になって死んでしまいます。」
彼女はこの異世界での絶望的な状況を目の前にしたが、できる限りの勇気と希望を集め、元気な顔と声を一生懸命作った。
「大丈夫です。私が必ず助けますから。そのために、ナオト国王の姫軍師として転生したのですから。」
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