17 戦略を立てる3
魔王軍との兵力差に加えて、武器の量と質がかなりの問題になってきた。姫軍師フーカは、宮殿の自分の部屋で何時間もの間机の前に座り、真剣に考えたが名案はなかなか出てこなかった。
「10倍の兵力差に対して、迷路の効果は未知数、イワンがどんなにすばらしい魔法を完成させたとしても大きな兵力差が残る可能性が高い。それに、剣、槍、弓矢などの武器の量と質がの不足がお話にならないほどだわ。」
彼女の口からひとり言が出た。そして………
「絶望的ね。」
しっかりとした性格の彼女が現状を冷静に分析して、なぜか、少し微笑みながら言った。
「フーカさん。フーカさん。」
机の上に置いてあるスマホからだった。スマホを手に取ると、待受画面の天使が彼女をじっと見ていた。
「天使様!………ミカちゃん!」
「大魔法師マーリー様を教えていただいて、ほんとうにありがとうございました。マーリー様を探す過程で弟子のイワンさんにも会うことができて、鉄化された佐藤さん…ナオト陛下の両足は元に戻りました。」
「フーカさんは諦めてはいませんね。暗闇の中から、少しでも光を見つけようとしていることがわかります。そういうフーカさんにアドバイスさせてください。おとぎ話の中に良く出てくる人々で、人間を大きく上回り、鍛冶や工芸技術に秀でている人々がいますよ。」
「………すぐに思いつかないのですが。」
「ヒントはこれです。」
すると、スマホの画面が変化した。
「白雪姫ですか!あっ、わかりました。白雪姫を助けたドワーフさんですね。この世界でドワーフさんを探して、お願いすればいいのですね。」
「そうです。それともう一つアドバイスします。ドワーフが絶対に味方をしてくれる方法があります。フーカさんが前にいた世界とこの異世界、平行世界のことわりが関係しますが、それは神しか知ってはいけない決まりです。神にばれないようにそっとお教えしますから、スマホに耳を近づけてください。」
それを聞いて、彼女はスマホを耳元に近づけ、しばらく天使の説明を聞くと、
「えっ!!!そんなことをしなければいけないのですか?」
………
姫軍師フーカがドワーフの村に出発する日になった。魔法具の手入れをドワーフに依頼することが頻繁にあり、魔法師の中では、ドワーフの村がどこのあるのかはよく知られていた。
宮廷魔法師イワンもたびたび、宮殿とドワーフの村との間を行き来していた。しかし今回は、迷路魔法の開発に忙しいイワンに代わって、ブルーが同行することとなった。
瞬間移動魔法をイワンが発動しようとしたが、なぜかすぐに行わずフーカをじろじろ見ていた。
「イワン、魔法を使うのに何か不具合があるのですか。」
「いえ、魔法は完璧に使うことができます。ただ、今日の姫軍師様のお姿が普段のりりしい服装と正反対で、なんと言ったらいいのか………ドレスがお姫様みたいできれいだなと思って。」
「うん!よく似合っている。」
彼女はせき払いした後、イワンに言った。
「私がおしゃれしたいのではなく、これはこれでドワーフさんを説得するためにに意味があることなのですよ。」
「なるほど。白雪姫のコスプレということだな。」
隠れて見ていたナオト国王が姿を現わした。
彼女は顔を赤らめて言った。
「陛下!!!これは、いわゆるコスプレではなく戦略として必要なのです。イワン、早く魔法の発動を。」
彼女とブルーが消えた後、ナオト国王が小さな声で言った。
「おしゃれした北川さん、ほんとうはデートの時見たかったのですけど………」
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