12 獣人族との交渉3
フランツ国と獣人族との交渉場所が決まり、宮殿にマーリーの使いであるフクロウが飛んで来て告げた。
「‥スカイスクレイパー山脈の大森林の中に場所を作りました。双方が2人ずつ代表者を出してください。交渉は今日から3日後の正午。なお、その場所とこの宮殿とは魔法の道がつながっています。‥」
姫軍師フーカと宮廷魔法師イワンが交渉に臨むように、ナオト国王から正式に指命された。
2人が事前の打ち合わせをしていた。
「イワン、獣人族との交渉の日は3日後の正午です。交渉場所となったスカイスクレイパー山脈の大森林にはどのように行ったら良いでしょうか。前に乗った魔法の飛行船を使いますか。」
「魔法の飛行船は必要ありません。さきほど先生の使いのフクロウが、『魔法の道がつながれている。』と言っていました。私は先生と同じように、瞬間移動魔法を使いたいです。」
「自信はありますか。」
「はい。この間、先生が瞬間移動魔法を使った数秒間の時間と空間の流れをしっかり記憶し、何回も何回も練習しました。」
「練習の成果はありましたか。イワンは瞬間魔法を使って、どのくらいの距離移動ができましたか。」
「魔法の道が100メートルくらいでしたので、その間は瞬間的に往き来することができました。今回は、交渉場所との間にマーリー先生が魔法の道をつなげているので、そこを移動するだけです。」
「イワンのことはとても信頼しています。ただ、瞬間移動魔法は極めて高度な魔法です。万が一失敗した場合、交渉に遅れては大変なことになってしまいます。失敗した場合には魔法の飛行船を使うことも考えて、交渉の3時間前には出発することにしましょう。」
「もしものことを考える姫軍師様のお考えは正しいです。私としては、見事に瞬間移動魔法を成功させてみせますので、ご覧になってください。」
………
交渉の日、交渉が開始される正午の3時間前になった。
「失敗しても何も問題ありませんから、気負わずに魔法に集中してくださいね。」
「はい、ありがとうございます。さあ、今から瞬間移動魔法を使います。」
その後、イワンは右手で北の方向を指差し指を鳴らした。すると瞬時に2人は、深い森林の中に張られている、大きなテントの前に立っていた。
「イワン、見事に成功させましたね。ところで、あなたはさっき、大魔法師マーリーと同じように移動先を指差し、指を鳴らしていましたが、魔法を使うのにその動作は必要なんですね。」
「いや、この動作は全く関係ありません。でも、格好から入るのはとても重要だと思います。先生の動作を真似しただけで、必ず成功させる自己暗示をかけることができます。」
「うーん、なるほど…それではかなり早いですが、テントの中に入って交渉相手を待ちましょう。」
2人がテントの中に入ると、小さな女の子が出迎えた。
「まだ交渉開始時間まで3時間あるのに、お早いお着きですね。」
「ブルー、また会えましたね。とてもうれしいです。」
「今日から私はフーカ様の家臣です。家臣としての役目をしっかり果たすため、族長にお願いして交渉場所の準備係になりました。交渉開始前にフーカ様にお会いして、獣人族の中でのいろいろな情報をお伝えしたかったのです。」
「ブルー、ありがとう。それでは教えてください。」




