あわいという少女
今、ナンパに声をかけられた。見てわからないのだろうか読書中だ、邪魔しないで欲しい。コンビニの外でクラスメイトが買い物をしているから私はジャスミン茶だけを買い早々と済ませ追っている先生のお新作の世界に没頭中だ。
読書中なので話しかけないで下さい
視線を寄越さず不快感を露わに言うとナンパした相手は冷たい声に怖じ気づいたのか面倒くさい相手だから止めたのか知らないが何も言わず去っていた。
興醒めした。手にした本をしまい気分転換に買ったばかりのジャスミン茶を袋から取り出し飲んだ。
タイミングよくクラスメイトが見たよーとか言って凄いバッサリやったねって何かはしゃいでいる。
私は普通だと思うけどと答えた。そしてニッコリ笑って帰ろうっと言った。帰ったら本格的に読書に集中出来る。それがささやかな私の幸せだ。
あわいさんを観察して人の機微に関心を持つようになった。彼女は自分が選んだ女性であるから側に居ても違和感はない。魔術好きな変人ではあるだろうが根は素直で自分に似ている。魔法を見せて顔を輝かせ魅入る姿は嫌いではない。書庫でこの世界の本に熱中する姿に自分が重なる。人に関心を持つのはあまりなかった自分には新鮮な刺激だ。このまま仮初めの夫婦でも円滑にやっていけそうだ。
俺は彼女の過去を眺め暫く彼女の過去を見るのが日課になりつつある。




