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聖女を信じて悪役令嬢を陥れ続けたら、断罪されたのは私でした  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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守られる手の中で

 試験が行われた朝、私は教室の椅子に座ったまま、掌にじっとり汗をにじませていた。

 答案用紙が配られると同時に、心臓の音が大きくなる。


(……落ち着いて。大丈夫、グルナ様に教わったんだから)


 震える指でペンを握り、最初の問題に目を走らせる。

 すると、先日グルナ様の声で繰り返し聞いた解説がそのまま浮かんできた。

 自然に手が動き、答えを書き込む。


(解ける……! すらすらと……!)


 一問、二問、と進むごとに緊張が和らいでいく。

 以前、アプリルに助けてもらったときも確かに解けたけれど……今の感覚はそれ以上だった。

 不思議なほど頭が冴えていて、全ての回答欄を埋めていく自分が誇らしくなる。

 ちらりと横目でモニカを見れば、こちらを睨むようにしていたが、何も言ってこなかった。 きっと「カンニングしている」と騒ぎ立てたいはず。

 けれど、今回はグルナ様に教わったんだ。彼女の威光が後ろ盾になっているのだと分かっているから、モニカは迂闊に動けない。


(……守られている。やっぱり、グルナ様がいると違うんだわ)


 胸の中に満ちていく安心感は、答えを書き進める勇気になった。

 試験が終わる頃には、不安でいっぱいだった朝の自分が嘘のように晴れやかになっていた。とても良い試験だったと言えるくらいに。


(これなら……きっと大丈夫!)

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