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第4話

 病み気味といえなくもない事もないかもしれないです(どっちだよ)。

 というか、登場人物の設定が全体的に中二病チックで見返す私としても色々と痛いなあと思います。主に心と中二だった私が。

 とはいえ設定を変えてしまっては話が進まないのでほぼ手を加えずに更新です。

 中二を受け入れてくださる心の広い方はどうぞ。今更何だよって感じもしますが(←4話目ですものねすいませんごめんなさい)。


 私は怒る事ができない。というより、怒ってもすぐに赦しているのだ。

 赦した、というのは少し語弊があるかもしれない。単純に私は、その事を怒る前に悲しみ、悲しんだ後に少し怒って、それを口や行動に表す前に―忘れる。

 他人からすると、私は哀れなのかもしれない。

 でもそれは、私が私の為に選んだ生き方だ。

 私は別に、昔からこうだった訳ではない。千恵美が涙を流せない事が、天然のものならば、私が怒れない事は実に人為的。昔の私は、とてもよく怒る子供だった。些細な事ですぐに怒る。母親に怒っていない時が無い、とまで言われていた。

 小学校の六年の時、親しくしていた千恵美が、とある出来事に遭った。その所為で、千恵美は深く傷付いたのだった。

 私は怒った。

 酷く耐えられなかった。

 私自身には何も起きていない。けれど、千恵美の為に、私はすごく怒った。

 それから、泣いた。その頃から泣けなかった千恵美の隣で、怒りながら泣いた。

 その一年は、とても悲惨だったと思う。あまり覚えてはいない。これは、嫌な思い出だからとか、そういうのではなく、単に私の記憶力が無いという話である。今現在、怒ってもすぐ忘れるという事に関してだけは、天然だと言えそうだ。

 色々あって、結局私は『幸せに生きたい』という結論に至った。幸せというのが極めて主観的なものだという事を既に知っていた私は、幸せになる為に『とにかくポジティブに生きる』事にしたのだった。それで、『幸せに生きる』為に『とにかくポジティブに生きる』事に起因して、私は『怒らない』ようになった。

 『怒る』事はどう考えても楽しい事ではない。楽しくないのなら、幸せではない。

 中学に入った時、最早私は怒れなくなっていた。



***



 卒業式まで後二日。

 私と千恵美は、背の低い木を眺めていた。通学路にある、いつも気にせず通り過ぎていたその木に、どうして特に注目する事になったのかは分からない。きっと、もうすぐここを通る事は無くなるのだという感傷が、普段この木を気にもかけなかった私達をそうさせたのだろう。

「何の木だっけ?」

 千恵美が首を捻る。花が咲いておらず、ありふれた黄緑の葉だけがその木を飾っていた。私達は葉だけでそれが何の木なのか分かる程、博識ではなかった。

 しばらく眺めて、今までを思い出し、何の花が咲いていたのかを考えていたが、結局諦めた。毎日通ってきた場所だが、やはりそういうものは案外覚えていないものである。人間がいかに認識を中心に生きているかを垣間見た気がした。



***



 千恵美と別れた帰り道、私は何も考えずにただ帰っていた。

 ふと、智に会いたくなった。

 智も、千恵美と同じ時期に仲良くなった友達だ。というより、千恵美とは智経由で知り合ったのだ。



 私の小学校で初めてクラス替えというものが導入された四年生の春、はじめに座った席順で、私の隣にいたのが智だった。前から顔は知っていたけれど、話すのは私の覚えている限り、初めてだった。

「加奈って呼んでいい?」

「いいよ。じゃあ私も智って呼ぶね」

「いいよ」

 多分、状況が色々と変わって、お互い不安だったのだと思う。だから私達は、そろそろ男女の違いなんかを意識し始める年齢にありながら、そんな違いだの意識だのというのはまるで気にせずに、あれだけ親しくなった。



 智に会いたい。

 理由は無いけれど。

 智の家は、私の家に至極近い。今私が歩いている道を逸れて、少し歩けばすぐそこである。

 少し考えて、私は逸れずに真っ直ぐ家に帰った。

 まず会う理由が無いのだから。

 理由は無いけど、会いたかったから、なんて言っても、きっと智は笑って受け入れてくれるだろう。でも、それはできないと、思ったのだ。




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