音楽団の暝里音と虎武①
「いらっしゃいませ〜なんでも杖にしちゃう屋さんでーす。今日は何を杖にしたくていらっしゃいました?あーなるほど。それならお手頃価格のこの魔法石で杖にしてみてはどうでしょうかー?」
今日も、明るいはつらつとした声が聞こえてくる。
暝里音音斗は憂鬱だった。これまで十年も勤めてきた音楽団をクビになったのだ。
(何もかもがアイツのせいだ…)
暝里音がクビになったのには、原因の人物がいた。
「こんにちわ!今日から音楽団に新加入します、虎武ペトと言います!よろしく!!」
とにかく元気な金と黒の入り交じった髪のアイツは、音楽団をいっそう明るくした。
私も、アイツのことは嫌いじゃなかったし、むしろ好感を持っていた。だからこそ、あんなことをされるとは思わなかった。
ある日、楽団長に呼び出された。そこで、突然クビを言い渡された。
「虎武がお前にいじめられていると聞いた。お前がそんな最低なやつだと思わなかった。そんな楽団の調和を乱すやつはでていけ!!」
だそうだ。
勿論身に覚えはないし、仲も良かったほうだと思うのだが…だが、真っ直ぐな楽団長が嘘を言うはずがない。つまり、これは虎武が流した嘘だということだ。
(なんで…許せない…)
今から思えば、私も短路的だったかもしれないけど、やっぱりどうしても許せなくって、こう決意した。
「ソロで音楽やって、いつかあの音楽団も超えてやる!!」
まず、ソロで音楽を始めるには、楽器が必要だがこれは音楽団の時も吹いていた自分のクラリネットがある。簡単に売れるには、道端で演奏をして投げ銭を貰うストリートアーティストが良いだろう。幸いこの国は音楽を重んじている素晴らしい国で、(最高かよぉぉぉぉぉぉ!!)ストリートアーティストなんてそこら中にゴロゴロいる。音が混じるのでは?と思うかもだけどそこはすごいことに国が売っているナゾの魔法器具で音の境界線みたいなのを作れる。(めっちゃ高ぇ。だが便利)貯金だって普通に暮らせば半年は行けるぐらいあるし、(過去の私ナイス)前から少し興味もあったので転職届みたいなのを出して早速始めてみようと思ったが…
(インパクトが足りない…)
やっぱりただクラリネットを吹くだけじゃだめかぁ…そこそこに腕はいいほうだと思うけど…
それなら大道芸をやりながら?いや、それは楽器を落としたら危ない…他の人と一緒に?いや、私はソロでやりたいんじゃあああああああ!!!(謎の意地)
「それなら、楽器に工夫してみたら?」
幼なじみの鳥井花菜里に相談してみたら、そんな答えが返ってきた。カフェでどでかいいちごミルク(果肉入り)を飲みながら彼女は答える。
「というか虎武がそんな事するとは…まぁいいか。楽器に工夫、どう?」
「いや、私はクラリネットしか吹けない…」
「じゃなくて、クラリネットに工夫をするの。」
「え?」思わず声が漏れた。
「いーやいやいや!楽器は下手にいじったら壊れちゃ…」「もうこれは直接行ったほうがいいか。お金とクラリネット持ってる?」「え?まあ全財産…」「何で持ってるねん。とりあえずそのコーヒーおごるから行くよ。」「いやっほう!おごってくれるなんて神…ってどこ行くの!?!?」
そのまま腕を引っ張られ、しばらく歩くと路地裏のお店にたどり着いた。
「わーお。おっしゃれ~。」
「でしょ?」
「何で花菜里が得意げなの?」
そのままノックして一緒に入る。
「いらっしゃいませー!あっ!この前のお客さんお友達連れてきてくれたのー?」
「うん、そうだよー。こいつのクラリネット杖にしてくれる?」
うん?私のクラリネットを…杖に…?
「えちょっと待って」
どうでしたか?よければ感想などよろしくお願いします!
すみませんが、更新は気まぐれです。