王女の眠る丘で 〜パヴァーヌを捧ぐ老騎士の話〜
彼は名を捨て、剣を置き、ただ王女の眠る丘に花を捧げ続けた。
若き日、騎士は一人の姫に仕えた。
慈愛に満ちたその人に、言葉にできぬ恋心を抱きながらも、ただ静かに見守ることしかできなかった。
そして歳月が流れ、国は変わり、彼は旅の果てで姫の死を知る。
再び戻った城に残っていたのは、墓と風と、誰も知らない記憶だけ。
老騎士はその丘に小さな住まいを作り、墓守としての生涯を選ぶ。
これは、誰にも知られなかった“騎士の恋”と、“姫の迎え”の物語。
静かに終わる人生が、ひとつの祈りになる——
ラヴェルの《亡き王女のためのパヴァーヌ》に捧ぐ、哀しく優しい終章。
プロローグ:風は、あの丘の上に
2025/04/05 13:19
第1章:出会い
2025/04/05 13:49
挿話①:銀のフォークと縮み上がる大剣
2025/04/05 14:40
(改)
挿話②:灰の村と白き牙
2025/04/14 00:39
(改)