4羽
待っている間、僕たちはギルドの中を探検することにした。
特に見応えがあったのは掲示板だ。
ギルドには2つの掲示板がある。
連絡用掲示板と依頼用掲示板だ。
「賑わってますね」
僕が両手を広げても届かないくらい大きな掲示板には、所狭しと板が打ち付けられている。
「果樹医、募集……」
「こっちはイルカの調教師です」
依頼掲示板にはびっしりと依頼が貼られている。
ギルドからのお知らせが掲示される連絡用掲示板と違って、依頼掲示板は全部見るのが大変なくらい所狭しと依頼が並んでいた。
「イルカの調教師?」
「そんな職業もあるのね」
僕たちはシエラが指差した依頼に目を向けた。
"ペットのイルカに躾をしたい。金貨20枚"
「き、金貨20枚〜〜!?」
僕たちの普段の依頼では、一度に稼ぐなんて絶対できないくらいの大金だ。
間違いなく2週間、3週間分くらいはある。
「数週間泊まり込みなのかな?」
「てか、イルカいるの?この街に?」
「きっと、お金持ちの道楽なのでしょうね……」
都会にはすごいお金持ちがいるんだなぁ。
他にもあるかな?
わざと離れた場所の依頼を読んでいると、ふと、1枚の依頼が目に入った。
"悪夢に悩まされています。金貨5枚"
「こ、これも金貨だ……」
「どれどれ?」
シエラとエリーが僕の見ている依頼を覗き込む。
「悪夢、ねえ……」
「余程困っているのでしょうね」
眠れないのはつらいですから。
シエラが自分の服の裾をぎゅう、と握りしめる。
「シエラ、どうしたの?」
怖い顔で依頼を睨むシエラ。
「いえ、何でもありませんよ」
僕がシエラの顔を覗き込むと、ぱっ、といつもの優しい顔に戻った。
「何か困ってることがあれば、いつでも言ってね?」
「はい、ありがとうございます」
にっこりと笑うシエラ。
わしわしと頭を撫でられて、ちょっぴりくすぐったくて、えへへ、なんて声が漏れる。
「僕たちにもできる依頼はあるかな?」
「どうでしょう、いろんな職業の方がいますからね」
「これなんかどう?」
"眠り草の納品 銀貨50枚"
"イノシシ駆除 1体につき銀貨30枚"
「エリーとシエラにぴったりだ!」
「アタシはイノシシ狩りに行ってくるから、シエラとノアは眠り草取りに行ってくれない?」
「いいですね」
イノシシ狩りはできないけど、眠り草を集めるお手伝いなら僕にもできる!
「僕も頑張るね!」
「ふふ、ありがとうございます」
目の前に板が出される。
エリーがさっきの2枚を掲示板から外してくれていたみたいだ。
「これ、受諾してくるわ」
「あっ、僕も……」
僕も一緒に行く。
そう言おうと思った矢先、7番でお待ちのお客様、という呼びかけが耳に入る。
「よ、呼ばれた!」
握りしめた札を見る。
そこには、確かに7番と掘られている。
「じゃあ私これ受けてくるから、シエラと行ってきて」
そう言うエリーにはぁい、と返事をして、それから急いでカウンターに向かった。
「はい!7番ですっ!」