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03呪いと神

 《小鬼の小袋》内には奇妙な空気が流れていた。我関せずの店主と、ニコニコとした笑顔を絶やさぬノア。そしてノアの発言に顔を引き攣らせているエレノア。

「え、は? か、神様……?」

「うむ! ……うん? あ、これ言ったら駄目なんじゃった。すまん、今のナシ!」

 すぐさま自らの頭をパーンッと叩いてノアは笑う。エレノアは頭痛が加速するのを感じた。額を押さえて首を振る。

「ええと……はい、聞かなかったことにしておきます」

 一歩引いて答えればノアが途端に眉を吊り上げた。

「あ、その反応は信じておらんな!? ワシ、これでもすご~い神様なんじゃよ!」

「なかったことにしたいんじゃねえんですか!? 肩掴むな! 近づくな! 宗教はお断りだ!!」

 本気でやべえ奴に関わってしまったとエレノアは後悔する。顔が良いからと声を掛けるべきではなかった。つい口が悪くなってしまうのは仕方がないことだろう。

 何とか手を払いのければノアは「よよよ……」とわざとらしくよろめき、目尻をハンカチで押さえる。

「最近の若いもんは辛辣じゃあ……」

 どうやら〝設定〟は維持したいらしい。エレノアは服を軽く整え直して溜息を吐く。

「あのねえ、貴方が何処の国の人かは知らないけど……せめて《赤の国》で別の宗教流行らせようとするのはやめときなさいよ。この国には既に女神様がいらっしゃって、それ以外は信仰していないんだから。下手すれば投獄されるわよ」

「およ?」

 うっすらと涙の膜が張られた緑の目が丸く開かれる。そしてすぐに自身の手の平を拳で打った。

「おお、そうじゃったな。《名も無き女神》……それがこの国の守り神になるんだったのう」

「そうじゃったな……って……」

 呆れてものが言えない。

 《名も無き女神》とは《赤の国》を守護する女神だ。その名の通り、名のない女神なのだ。ついでに顔もない。教会には顔が隠された女性の像が掲げられている。

 いわゆる唯一神であり、基本的にこの女神以外を祀ることは認められていない。だからといって歴史上、宗教関係の問題は起きていなかった。《赤の国》の国民は自然と望んで《名も無き女神》を崇めているのだ。生まれた時から馴染んでいる神なのだから当たり前なのかもしれないが。

 ラスレボのプレイヤーの中では女神の考察も色々あったが、結局公式から答えも出ないままだった。

(私の場合、前世? ……の記憶が戻っちゃったからあまり関心が湧かないけど)

 それでも常識として《名も無き女神》がこの国で唯一の神であると認識している。

 これが国民性の違いか、と感慨深くなった。

 ノアは大して気にした様子もないまま、そういえば、と口を開く。

「おぬし、名はなんという?」

「ぇ、あ、エレノアです」

 虚を突かれて普通に答えてから気づく。

(本名を名乗っちゃった――――ッ!)

 今はまだわからないが、今後捜索される恐れがあるのだ。今後のことも考えれば偽名を名乗っておくべきだった。

 口元を押さえて顔を青くさせているエレノアを見て、ノアは目を瞬かせる。

「そうじゃなあ、おぬし、改名せんか?」

「へ?」

「いやなに、運気が落ちる名前をしておるからのう」

 顎に手を掛けてノアはうんうんと頷いた。

「……すみません、宗教勧誘はちょっと……」

「違わいッ! ガチトーンで断られると流石のワシも傷つくんじゃが! ワシのハートはガラス細工のように繊細なんじゃよ!?」

 ノアは髪を指で乱すようにして頭を掻いて深いため息を吐く。そして、エレノアの瞳を真正面から見つめた。

「――おぬしを呪っておるのは《名も無き女神》じゃよ」

「………………は?」

 時が止まったような錯覚。彼の言葉を脳内で反芻しても意味が理解できない。

 固まったエレノアを横目に彼は勝手に椅子を引き摺ってきて、カウンター前に座り込む。店主も長話をしている客を追い出すこともせず、何やら道具の手入れをし始めていた。

「ハッ!!」

 やっと硬直から抜け出したエレノアは滲んだ汗を拭う。

「びっくりした……そんなこと言っておいて幸福になる壺とか売りつけてくるやつですよね?」

「おぬしの中でワシはもう胡散臭い宗教の教祖扱いになっとるんじゃな。泣くぞ」

 ノアはいじけてカウンターに指を這わせてぐるぐると無意味な動きを繰り返す。エレノアは腕を組んで呆れてその様子を眺めた。

(何を言い出すかと思えば……そんな〝設定〟はラスレボに無――)

 とんっ、とノアはカウンターを指で弾くようにして音を立てた。

「おぬし、転生者じゃろ?」

 なんてことないように、あっさりと彼は告げた。驚愕して反射的にノアを見る。彼は再び微笑みを浮かべ、自身の前に持ってきていた椅子を指差した。

「長話になるじゃろう。店主、少しの間だけ場を貸して貰えぬか?」

 店主は軽く手を振っただけで文句は言わない。了承という意味なのだろう。

(こいつ……)

 まさか自分と同じ存在なのだろうかと考える。それにしては様子がおかしい。エレノアは警戒をしつつも、ゆっくりと椅子に腰かけた。ノアの目は見ない。なんだかこちらを見透かしそうな視線を持っているからだった。

 そんなエレノアの様子を見て、ノアは苦笑する。

「警戒されておるのう。ま、単刀直入に言うが、ワシはこの世界ではない別の世界の神じゃ。それを前提に話を聞いて欲しい」

「……なんで別の世界の神様がいらっしゃるんですか」

 今は設定に乗ってやろうとエレノアは口を開く。ノアはにこっと笑った。

「いやあ、神様業は結構めんど……大変でのう。後任も育てねばならぬじゃろ? だから一旦若いもんに任せてワシは異世界に観光……いや、秩序の保ち方の参考にするためにわざわざ人間に混ざって世界を見て回っておるわけじゃ! いや~ワシったらいくつになっても勤勉じゃな~!」

「へたくそかよ……」

 あまりにぼろぼろな言い訳にもはや引いた。つまり仕事を下の者に押し付けて遊びに来ているということだ。そうやって周囲を振り回す傲慢さは確かに神様っぽいと思えた。

「おぬしが転生者だと気づいたのはワシも異世界の魂を転生させたことが何度かあるからじゃな。器と魂のバランスが通常と異なるからわかりやすいんじゃ」

「えっ、もしかして私がこの世界に産まれたのって……!」

「いや、おぬしがこの世界に転生したのには関わっておらん。言うたじゃろ。ワシはここにとって異世界の神じゃ。異世界の魂の流通には勝手に関われぬよ」

「た、魂の流通」

 そう言われてしまうと自分の魂が物のように感じられる。実際、神のような超越存在にとっては物なのだろうが。

 ノアは一体いつどこから取り出したのか、優雅にカップからお茶を啜り始める。

「……と、そうしたらおぬしにすんごい祝福が纏わりついとるじゃろ? びっくりしてつい声に出てしもうたわ」

「あの……〝呪い〟じゃないんですか?」

 最初の時も祝福がどうとか言っていただろう。だが、いまいち意味がわからない。首を傾げるエレノアにノアも頷く。

「正確には祝福じゃ。だが、その強さと内容によっては人間にとって呪いみたいなものじゃろう。なにやらかしたんじゃ?」

「知りませんて……ていうか祝福の内容ってどんなんです?」

 どうして《名も無き女神》がエレノアに祝福を贈ったのかはわからない。しかし今までの人生で自覚できなかったのだ。それが一体どんな祝福なのかは気になるところだった。

(普通なら運が良くなるとか……ゲームの世界だし、バフ系かな? でもそれなら呪いなんて表現するのも変な感じだし)

 うんうん唸っても思いつく物がない。そうしている間にも、ノアはエレノアからの問い掛けに対してあっけらかんと答えた。

「異性からは無条件に好意を持たれる祝福じゃな。その祝福の反動で同性からは生理的に嫌われるみたいじゃが! あっはっは!」

「クッソ心当たりがありやがる!!」

 勢いよく頭を抱えて蹲った。どう考えても乙女ゲームのヒロインが搭載している謎の体質そのものだ。それが女神の手によって施されていたなど考えたこともなかった。

 あまりのショックで体を震わせながら、今までの人生を脳内で振り返る。

「つ……つまり私が実の母親の手によって変態に売られそうになったのも、男爵家でメイドたちに嫌がらせを受けていたのも、義姉がよそよそしかったのも、同性の友達が一人もできなかったのも、男たちがやけにちやほやしてくるのも全部女神のせいってこと!? 余計なことしやがってくれましたね!?」

「波瀾万丈じゃな~」

「呑気に言っとる場合か!? こちとら人生かかっとんじゃい!!」

 ノアの言葉の意味を深く理解する。ラスレボのヒロインである『エレノア』になら都合の良い祝福でも、これから普通に暮らしていきたいと願っているエレノアからすれば酷い呪いだ。

 特に同性から嫌われるなど祝福であるはずがない。

「貴方は神様なんですよね!? 今すぐ! 今すぐこの呪いを! 解いてください!!」

 襟首を掴んでガックンガックンとノアの頭を揺らす。激しく脳をシェイクされている彼は気にした様子もなく、のんびり言った。

「さっきも言ったがワシには無理じゃ。完全な呪いならまだしも、掛けた本人は祝福のつもりなんじゃから。祝福は本人でなければ剥がせんぞ」

「そ、そんな……!」

 詰んだ。完全に人生が詰んでいる。

 男からは必要以上の好意を寄せられ、女からは嫌悪を向けられるなど普通に生活ができるはずがない。これまで気にならなかったのは自分が『エレノア』だったからだ。

 しかし、これからは違う。今はエレノアの中に別の――異世界産とはいえ一般的な感覚を持った人格が蘇っているのだ。新しい人生では親しい同性の友人もできれば良いな、なんて頭の片隅で考えていた。それが叶わないと突きつけられたようなものである。

 がくり、と床に崩れ落ちた。

「おーい、大丈夫かの?」

「わ、私は、これから……普通の生活を……ヒロインを辞めて……女の子の友達だって……作って……」

「駄目なようじゃの」

 頭上から溜息が降ってきても気にする余裕がない。

 ノアは椅子を除けてから床に膝をつく。涙ぐんで鼻を啜るエレノアにハンカチを差し出した。

「まったく、可愛い顔が台無しじゃな~」

「えっぐ……だってぇ、わたしの、ほのぼの、スローライフぅ……」

 柔らかなハンカチの布地が頬に触れた途端、緊張が解けたように大粒の涙が溢れ落ちていく。ノアは面倒くさがらず、丁寧にその雫をハンカチで受け止めていった。

「よしよし、ほれ、良い子じゃからチーンッてするんじゃ、チーンッ」

 顔を拭われながらエレノアは子供のように泣いた。もうノアの話を嘘だとか本当だとか言っている場合ではない。

「わた、わだじ、どうやって生きてけば、いいのよ~ッ……!」

 こんな非常識な体質と運命を持った人間に転生するなど不運では片付けられない。もはや人間が何処にも存在しない僻地でたったひとり、暮らしていくくらいしか案が浮かばなかった。

「ん~……困ったのう……」

 ノアは頭を掻いて苦笑する。いつしか受け取ったハンカチでエレノアが涙を拭き続けていれば、彼はゆっくりと立ち上がった。

「よし! これも何かの縁じゃ!」

「へ……?」

 腕を組み、胸を張るように彼は告げる。

「他の神の祝福は剥がせんが、ワシも神。その祝福の影響は受けぬ。安心せよ、今もおぬしのことなど鼻たれの泣き虫な小童という印象しか抱いておらぬからな!」

「一言以上余計なんですよ……つか、なんの話ですか」

 確かにこの男から「好きじゃ!」と迫られても非常に困る。だからとはいえ鼻たれ小童はないだろう。年頃の少女に言うことではない。お望み通り思いっきりハンカチに鼻をかんでやろうかと考えていれば突然、頬を風で撫でられた感触がした。ここは店内だ。そんなはずはないと慌てて顔を上げる。

 すると金粉のように輝く魔力がノアの周囲に小さく渦巻いていた。エレノアと彼の黒い髪も魔力に煽られて揺らめく。彼の緑の瞳に金色が僅かに混じっているのが見えた。そして先ほどまで丸かったはずの彼の耳が、エルフのように長く尖った形に変化していることに気づく。

 思わず目を見張る。ノアは口元に薄い笑みを浮かべ、エレノアに向けて言った。

「ワシは《ノイシュノアノエル》。世界のひとつ《ギルグランヴェル》に所属する男神である。異世界といえ、同じ神の一方的な祝福によって困っている人間の子を放っておくのも目覚めが悪い。……そこで、じゃ」

 ノアはウインクをしてお茶目そうに笑う。

「ワシと共に――《名も無き女神》へ直談判しに行かぬか?」

「――え」

 何を言い出すのかという言葉は出なかった。

 いつしかノアは最初に見た時の姿に戻っていた。まるで夢見心地の状態のまま、エレノアはノアを見上げる。

 がたん、と音を立てて彼は椅子に座り直した。

「祝福を返したいなら本人に言えば良いのじゃ。まあ、この世界の何処に《名も無き女神》に通ずる場所があるかはわからんから、しらみつぶしに探さねばならぬがな」

「……それを、手伝ってくれる、と?」

「そういうことじゃ!」

 ノアは上機嫌に指を鳴らした。彼の言いたいことは何となく理解できた。可能かどうかは置いておいて、神の祝福が神自身にしか解けぬのであれば、確かに本人へ訴えるしかない。だが――。

「なんじゃ、まだ疑っている目をしとるな。さっき見たじゃろ? ワシの神様バージョンの姿の片鱗を!」

 ノアはふふんと得意げに胸を張る。

「あ、やっぱりそういう感じだったんだ。でも魔法が得意みたいだし、そうやって奇跡みたいなこと見せて今までも人を騙してきたのかと……」

 それっぽい体験をさせて信じさせる宗教勧誘は前世でも存在していた。魔法が存在しているこの世界でならなおさらだろう。なんてことを考えていれば、ノアが椅子ごと床にひっくり返っていた。

「めッちゃくちゃ疑い深いのう! 危機管理がきちんとできとる! 偉い! 偉いけど今は信じて欲しかったんじゃが!」

「泣くほど?」

 美丈夫形無しの泣き顔である。

 腕を組んで背中から倒れた状態のまま、おーいおいおいと泣くノアに、エレノアは頬を掻いた。彼はひとしきり騒いでから再び指を鳴らした。すると噴き上がる魔力が椅子ごと彼を起こす。

「はあ……だから人間の若いのから信仰心集めるのは大変なんじゃよ。世知辛い世の中になりおって」

 前髪を指で梳いて整えてからノアは溜息をつく。そしてすぐ、真面目な表情になった。

「装備からしてギルドでもやるつもりじゃろ? 仲間はいるのか? あては? おぬしのレベルなら魔物は倒すのも一苦労じゃぞ。ひとりでは怪我をしても治す暇がなかなかないしの」

「むむむ……」

「さらにその祝福のせいで仲間を募るのも、何処かのギルドに所属するのも難しかろ。おぬしはいわばサークルクラッシャーのスキルを生まれながらにして保有しておる状態じゃ。地獄を見るぞ」

「イヤーッ!! 例え方が嫌すぎる!!」

 しかし的確でもあった。ギルドといった集団で内部崩壊を引き起こす人員は嫌われやすい。その気がなくとも人間関係を壊す結果を何度も引き起こせば、ろくに仕事もこなせないだろう。最悪、何処にも住めなくなる。

 ノアは肩を竦めてから口元を緩めた。

「エレノアよ。ワシもおぬしもこの世界にとって異邦人。そしてワシは祝福の影響を受けぬし、今は何処のギルドにも入っておらん。剣と魔法どちらの腕も立つ。……ほれ、相棒としてピッタリじゃろ?」

 ノアが言うことはもっともだ。彼以上に適任者がいるとも思えない。神かどうかはどうでも良かった。彼の告げた祝福については身に覚えがあるからこそ否定ができないのだ。

 じっと、彼の緑の瞳を見つめた。

「……どうして、そんなに親身になってくれるの」

 ノアから感じる親切は『エレノア』の人生にはなかったものだ。女神の祝福のせいなのかもしれないが、思い返してみても自然な親愛とは無縁の人生だった。敵対することしかできない女たちに、不自然な愛を向ける男たち。今思えば、養父の愛情も祝福に歪められた悍ましいものが根底にあったかもしれない。そして、それが、それこそがエレノアには普通だったのだ。

 彼はきょとんとした。そうしてすぐ、ニッと笑う。

「なあに、目の前で幼子が泣いておれば心配せぬ大人はおらぬじゃろうて!」

「わっ……!」

 大きな手でエレノアの頭を掻き乱す。遠慮のない触り方は全く覚えのない――いや、と目を細めた。エレノアではなく、この身に蘇った人格が僅かに覚えている〝前世〟の中では親しみがあるものだった。

(そういえば〝私〟のお爺ちゃん、こんな感じの人だった、かも)

 見た目だけなら若いノアにかつての祖父を被せるのも変な話だが、思い浮かんだのだから仕方ない。

 もう祖父どころか、その時の自分の名前も思い出せないほど薄れた記憶。じわりと新しい涙が滲む。それをすぐに指で払い、エレノアも口元に笑みを浮かべた。

「っ……ノア、あの、散々生意気言ったけど……」

「うむ」

 服の裾をぎゅっと握り込んでから、顔を上げた。

「……力、貸して貰えたら、嬉しい、です」

 力んだせいで不自然に途切れた言葉。だが、ノアはそれを笑うことなく大きく頷いて応えた。

「ワシもひとりでは味気ないと思っていたところじゃ」

 向けられたのは開かれた手だった。それが握手を求めるものだと気づき、エレノアは慌てて己の手を差し出す。強く握り込んだ彼の手は滑らかで、剣を握っているとは思えないほど美しかった。今さらだが、指先まで不自然なほど整った男が異世界の神であるというのはあながち嘘ではないのだろうとすら思える。

「これからよろしく頼む、エレノアよ」

「っ……うん、よろしく、ノア!」

 この世界でヒロインではなく、ただの人間として生きるための第一歩を踏み出した心地がした。


「では――ノアとエレノアでノアノアコンビ爆誕じゃな!」

 呵々と笑う自称男神にエレノアは、ふ、と力を抜いたように口元を緩めた。はたして己はこの男のノリについていけるのだろうか、という不安は見て見ぬふりをする。

 今までふたりのやりとりを見ていただろう店主はあくびをひとつして、興味なさそうに再び煙管を咥えた。


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