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95話 第四位・裂光華戦②



 ゴリゴリと競技場の観客席、フィールドを砕ぎながら、大きな様々な花が出現する。そう、十番隊『暗黒満月』が一人、第四位のミルウェは本気を出した。


「ふぅ~、吸収は掴んだ」


「魔力を吸収した?」


「ふふ、さっきはごめんね。能力の格が違うことで舐めていたけど、全力で潰す!!」


 金色の長髪を靡かせ、可憐であるが、その眼は言葉通りに本気であることが伺えるほどに強い視線をソピアとサリアに向けた。


 さっきの攻撃を受けて大体の戦闘方法を予想し、ミルウェは分析する。

 剣士と弓兵、お互いがお互いのデメリットを補っている戦法、これを打開する方法は簡単なことでどっちか一人を攻めることで二人というメリットを瓦解させる。

 領域の特性で相手の位置把握、微妙な出力だが、魔力吸収で相手は生半可な攻撃はしてこない。

 しかし主力である巨大な花を盾にすることで近づき、出来るだけ相手の魔力を利用する。


 そして二人の内、面倒な方を選択する。


 そして潰すなら、まず――


「サリア・レヴォルアント――」


 弱い奴からやる。

 それは正しい選択だろう。

 ソピアの方は剣技による近接、魔力を刀身に込めて放つ遠距離もあるが、後者に関しては溜め、振りかぶる動作、そもそも距離を取るというタイミングで判別がつく。

 近接である彼女の役割は遠距離であるサリアに敵を近づけないという役割もあるから簡単には近づけさせないだろう。


 ならば、まずは隙を作る。


「――〈光合開花こうごうかいか〉」


 その瞬間、ミルウェに近い四つの巨大な花が二つずつ、二人の方に向き、その中心から金色に輝く魔力を魔力砲として放つ。

 例え、回避しても方向を変えて何が何でも命中させる。

 それを直感的に察したのか、ソピアはその場で立ち止まり、腰を低くし、剣を振るう。


「――《星命せいめい真命星剣しんめいせいけん》ッ!!!」


 あの出力の魔力を受け止めることはリスクが高いため、瞬時に身体強化を向上させて後方に飛ぶ。

 剣技と銘打っているが、その性質は身体強化という矛盾したものだが、単純な魔力で身体強化を施すより、この第七剣技――《星命・真命星剣》の方が性能が良い。


 そのためソピアはこれを自分自身が聖剣と化す技に見えた。

 更に納得させる説として身体強化を入れた理由は後の二つの剣技に慣れるための前段階であるとすれば、剣技に含まれているのも整合性が取れる。


 この技は自分を一つ上の段階に上げる。


「ふッ――」


 ソピアは後方に回避したが、魔力砲の方向が瞬時に変わり眼前が金色に染まるが、咄嗟に剣を振るう。

 ザァンッと魔力砲、その発生源に向けて斬撃を放つ。

 この魔力砲の威力はソピアでも押される威力であるが、剣技で対抗すれば、打開することは出来る。


 ズザァンッと巨大な花が一刀両断される。


「何ッ――」


 ただの魔力砲で巨大な花が自壊するはずがないため、相手から反撃してきたのは間違いないだろう。

 だが、放った魔力砲は命中した。

 それなのに反撃が出来るのか、とミルウェは驚愕する。

 グゥンッと何かが動いており、二つ目の巨大な花が一刀両断される。


 それには見覚えがあった。

 斬撃を飛ばす……確か、《月牙翔斬げつがしょうざん》という名前だったはずだ。


 更に自分の花から放出されるのは日光に見立てた金色の力であるため、色合いでは似ている。


「まさか、同じ光属性だから魔力砲に逆らって斬撃を放てるッ!?」


「サリアッ!!!」


 横を見ると魔力砲自体が凍結されており、すぐ後にゴリゴリと音を立てて、崩れ落ちる。

 あの矢は光と氷。

 正確には発射されてから対象に着弾するまでが光であり、そこから作用する力が氷なのだ。

 どっちかだけなら、大出力の魔力砲に干渉することは出来ないだろう。

 バラバラに砕けた氷からサリアが見え、ミルウェに矢に放つ。


「ふんッ!!!」


 力を込めて花と蔓を集約させて自身を持ち上げて上から距離を詰める。サリアが放った矢は花と蔓の下の表面を凍らせただけでその質量と生える速度で瞬く間にミルウェはサリアとの距離を詰める。


「――《天火閃光てんかせんこう》ッ」


 だが、それを許さないのが近接担当であるソピア・レスティアルである。光速に届く速さでミルウェの前に現れ、剣を振るう。


「ウザいんだよぉぉぉッ!!!」


 聖剣の居合に対してミルウェは刺突のように剣先をソピアに向ける。


 突然、彼女に緊張が身体に走った。

 ミルウェが向けた剣先から光が溢れ、光線がソピアに放たれた。


 いや、やるッ――!!!

 ソピアは悩むが、即座に選択する。

 本体に届かなくても武器には余裕で届く距離で剣を振るわないことはあり得ない。生き残りたいのなら、剣を振るうことをソピアは選択した。


 ガンッ!!!

 強い金属音が響くと同時にソピアの左腕から鮮血が飛び散る。


「ぐッ――ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」


 剣を振り払い、更に己の足で前へ進み、剣を振るうが、細剣で受け止められる。ミルウェも身体強化を施しているため、鍔迫り合いが続く。

 両者一歩も引かないが、攻撃方法が多い奴がこれを瓦解させる。


「――〈光合開花こうごうかいか〉ッ!!」


 ミルウェの後方から二つの巨大な花が出現した。

 このままでは剣で防ぐことは出来ず、諸に命中してしまう。


「ふんッ!!」


 ミルウェは自信満々な表情を浮かべる。


 回避をするか、しないか。


 どっちに転んだとしてもミルウェには策がある。

 そう、剣士と弓兵のコンビを相手にし、遠近両方の攻撃方法を持ち合わせており、コンビネーションも完璧な相手を打倒するにはどちらかを先に打倒する。

 そのため、先に攻めるのはサリア・レヴォルアントとしたが、難しいと判断し、標的をソピア・レスティアルに定めたのだ。

 あの魔力砲に関してはお互いが退ける手段を持つため、ここで重要なのは間違いなく、ソピアの判断だ。

 自分が引けば、魔力砲に晒され、隙を生む。

 自分が引かなければ、放った自身も巻き添えになるだろう。


「さぁ、死ね――」


 そして――金色の魔力が放たれた。

 一方はソピアに、一方はサリアに迫る。

 花と蔓で新たな地形を作った上ではギギギッと火花が散る。そう、ソピアは引かない選択を取った。

 もう魔力砲は放たれた、これで巻き添えを狙う。


「そう……でも、残念――」


 その瞬間、魔力砲の軌道は変わった。




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