87話 第四位・烈光華戦①
ソピア、サリアの二人は丁度良く競技場へと吹っ飛ばされた。
なぜ、と二人は思ったが、そうゆう人選なんだろう、敵の……。
「あなた達が、ソピア・レスティアルとサリア・レヴォルアント?」
きつく冷たい声が二人に投げかける。
「そう、だけど……」
ソピアは返答する。
キツイ、というより真面目なのか、敵に対しても最低限のコミュニケーションを取っているだけに聞こえる。
「なら、始めよう。まずは自己紹介から――私は、悪の組織『混沌神殿・対真善殲滅機構』の最高戦力、精鋭部隊の一角、十番隊『暗黒満月』が一人、第四位、ミルウェです」
ソピアと同じく金髪、それを三つ編みの髪型の少女は柄が薔薇のデザインである細剣を引き抜く。
「ッ……」
まさか、一人で自分達を足止め、いや倒すのか、とソピアは真っ先に考える。
ただ誤算なのか、本当に自分達を相手取るほどの実力者なのかと危機感を思えながら、ソピアはソージと同じ剣《竜星剣ドラドゥーム》を抜き、サリアは弓を構える。
ここは競技場、戦場の広さとしては申し分のない広さだ。
更にソピアとサリアという遠近万能に近いチームワークの二人を相手にするには流石に難攻はすると思うだが……。
「じゃあ、いつも通りに――」
ソピアは小声でサリアに伝えて二人が離れようとした時だった。
「――『光華神冠』ッ!!」
透かさず能力を発動して観客席を砕き、大小の花々が顕現する。
「花……」
見た目ですぐにわかるものだが、これが能力なら、花という範疇を超えるものとなっているだろう。
ソピアの戦法としてまず様子見から始まる。
サリアと目配せし、弓使いとしての距離を取ってソピアは様子を見る。
「舐めているなら、大間違いだよ!!」
能力者の感情の変化に呼応して花々がソピアに襲い掛かる。
ドサッと叩きつけられた花々から色とりどりの花弁が舞い散り、戦場は華やかになるが、容易に回避して走り出す。
『レスティアル流剣技』
第一剣技――《天火閃光》
剣聖と勇者の家系出身であるソージ・レスティアルとソピア・レスティアル――この二人に実力差は幸運にも誤差くらいだ。
想像になってしまうが、血を分けた兄妹の何かの差というものはあるのが普通なのだろう。
いや、一つ述べるなら、『レスティアル流剣技』の一番から九番まで習得するのにソージから見たソピアは苦悩をしていないと言ったら嘘になるが、ソージより先に全てを習得していた。
そのためソージからは才能なら、自分より上だと思われているが、本人でもどうか、分からないが、一つ確かなことがある。
それは体格の差から技の速度はソピアの方が『速い』ことだ。
大小の花々を顕現させたことで物量での攻撃範囲、防御の盾としたのだろうが、それを切り刻むに抜け、標的であるミルウェに斬りつける。
それは正に光の速度を思われるスピードだ。
速い――
だが、手に持っている力が強力なため、敵であるミルウェは領域の環境が有利に働き、容易にソピアの位置を知ることができる。
即座に細剣を抜き、ソピアの剣撃を防ぐ。
「――〈華吹雪〉」
彼女と花々から魔力が放出され、瞬く間に花弁が舞い、ミルウェを囲み、それ以外を切り刻む。
「ぐッ……効果範囲が広い。それに……あの能力、私より一段階上!!」
『能力』のランク、と言っていいのか、神という力に近い能力は『神冠』であり、その下を『熾帝』となっている。
神なら当然、生まれた時にその位階で能力を授かるだろうが、それ以下の位階であろう存在、生命は才能があるなら『熾帝』だ。
位階が一段階違うという点、それは相手が格上ならすぐに理解できると同じものだ。
表面的にはただの『花』だが、神クラスと言っていいものは何でも脅威に変わらないだろう。
無数に舞う花弁を防ぎ、避けて距離を取る。
「冷や冷やするね~……」
能力の性能は格上、戦闘経験はどうか知らないが、白兵戦に関して引くわけにはいかないが、すぐ隣に死があるような感覚が確かに感じる。
すると〈華吹雪〉がソピアに迫る。
それをサリアが放った矢によって凍らされて動きが停止する。
「ありがとう――」
その隙に再度、距離を詰める。
『レスティアル流剣技』
第六剣技――《月輝燦然》
月の輝く光を刀身に纏い、圧倒的な数の剣撃を放ち、進行方向に存在するものを切り刻む。
凍り付いた花弁や花々を切り刻み、すぐに型を変えて斬撃を飛ばす。
ミルウェは月輪の斬撃を飛んで回避したが、背後から気配を感じて振り向くと月輪の斬撃が迫ってきた。
「え……?」
さっき回避したはずだが、まさか引き寄せたのかと考えるが、この距離では回避は間に合わないため、細剣で月輪の斬撃を逸らす。
「なッ!!」
逸らせない、逸らせないほどに進行する力が凄まじいことがわかる。でも、自分より格下の奴が操る斬撃なんて苦戦するはずないのに――
『レスティアル流剣技』
第四剣技――《月牙翔斬》
月輪の斬撃を放ち、再び振りかぶる動作で引き寄せ、軌道上を往復することができ、刀身に収めることができる。
さっきまで余裕な表情をしていたが、月輪の斬撃の威力に冷や汗をかきながら、細剣で対抗しているが、それが大きな隙となった。
それを逃がす二人ではなく、ソピアとサリアは同時に走り出し、矢を放つ。
「くあぁぁぁッ!!!」
その瞬間、ミルウェは全力を出した。
精鋭部隊が結成されて数回目かの任務、これは組織の根幹にかかわる重要任務だと最高戦力である精鋭部隊に相応しい任務が来た。
彼女には才能があった。
だからこの地位まで上り詰めることが出来た。
あぁ、そうだ……正直、舐めていた。
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