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79話 隠れたもの



「ここ、か……?」


 今日の夜。

 雲一つのない星空が見える場所、そこは森林の内部、というわけではなく、首都の皇が住まう場所……その一点。

 全員が元の服装、武装を纏い、そこに集合した。


「特定の条件、なら簡単には見つからない。少し甘かった、ですね……」


 レイムの話しから月が出ている真夜中、隠れた神聖を捜索するとただ一つの地点が他とは違う波長を発生させていた。


 そこには小さな祠があった。

 だが、レイムの目にはその部分の空間が歪んでいるように見えている。


「複数の条件下……なるほど、隠れた神聖……そして月の光が異様に当たる場所。秘密の場所にしては優秀なものだな」


 己の種族の自慢である高度な技術でも『答え』を見つけられなかったワーレストと自他ともにてんさいだと認知しているレジナインの二人は相当悔しいのか、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべている。


「ってか、この異様な月光の射し方……こんなの今までなかったはず……」


「つまりレイム様に助言をしたことタイミングで変化が起きたってことですね?」


「じゃあ無理もないな」


 ジュウロウは頭をかく。


「まずこの件は今日に至るまで正解がなかったんだろう。特定の条件だろうが、なんだろうが……あらゆる考察を二人はやったが、この世界は魔力濃度が限りなく、少なかった。だからしょうがない、この件はそれで片付けよう」


 流石、最破筆頭にして神の右腕、ジュウロウ・ハリアートは後味の悪い状況にバッサリと結論を叩きつけた。

 そうゆう悩むことを長引かせることはせず、バッサリと納得するのはジュウロウの性格であり、こうゆう状況には良いものだ。


「ありがとう。ジュウロウ……じゃあ、入るよ」


 レイムは『無限の星』のリーダーとしてメンバー全員を見渡す。


「わくわくだな!!」


 新たな戦いの予感にエマは心が向上している。


「敵地では要注意を払いますよ!!」


 ワ―レストは全員に呼び掛けるように声を上げ、その言葉をしっかりと心に刻む。


 そしてレイムを先頭に空間が歪んでいる祠に一歩、踏み入れた。

 その瞬間、レイムは浮遊感に襲われた。

 それに次いで景色が書き換わり、空間の歪曲し、視界に白いモヤが入り込む。

 明らかに場所、空間が変わったことが理解できた。


「ここは……?」


 さっきの場所と似ているのか、元の風景にあった色が剥がれ落ちている。

 不思議な光景だが、絵具で描いた絵の劣化のようで別に驚愕するほどではなかったが、それよりも自分の身体に伝わる感覚がいつもとは違っている。


「偽物……?」


 別に大地や建造物に魔力が宿っているわけではないが、レイムが視界に入り、とある対象に意識を向ければ、無意識だとしても意識を向けると同時に己の魔力を伸ばしている。

 それによってある程度、対象の物質の量、構成する形くらいはレイムの感覚的に捉えているため、些細な違いなら分かりづらいが、大きな違いならすぐに分かる。


 そして大きな違いの点として大地と思わしき下の面と建造物に魔力が帯びていた。

 恐る恐るレイムはゆっくりと前方に歩き始める。


「一色の魔力が充満している……これって、領域?」


「そのようですね。領域の内部に発生している特定の魔力、その光景に似ています」


 レイムの次にジュウロウ、ワーレスト、エマと次々と別世界へと姿を現す。

 移動距離はそんなには離れていないだろうが、この世界の表面的な概要としてさっきの世界は全く別だと全員が認識している。


「さて、どうしましょうか?」


「う~ん……」


 ここが敵地なのは間違いないだろう。

 だが、ここで待ち構えているのなら、上手い標的のようにずらずらと並んでいてはどうかと思うし、見た目を気にするなら、格好悪いだろう。

 敵地に来たのなら、分かれて進軍する方がいいだろう。


「じゃあ、あれ……?」


 と、レイムは口を開こうとしたが、そこには誰もいなかった。糸が切れたように予想ができないことが起きている。


 だけどすぐにそれほど摩訶不思議ではないことに気が付く。


「そう、ここは領域――」


 レイネルが隣に顕現する。補助装置、もう一人の自分であるため、思考はリアルタイムで共有できる。

 まず『領域』という概念について解説、もとい復習だ。

 その仕組みは簡単に表すなら、一人の存在が魔力で線を引き、線と線を繋げる。

 この線が境界線となり、基本の用途として外部から存在の侵入を防ぐこと、領域自体を外部から見えなくすること……。

 例え、侵入者が内部に踏み入っても、上下関係で言えば、領域を築いた者が上となる。


 だから自然な流れで領域の主導権を持つ者は手玉に取ることが出来る。


「分断された……」


「うん、でも……分断しなければ、向こうは対処できなかったのかもしれない」


 そうかもしれない。

 まずは同流することも考えたが、意図的な転移ということは従った方がいいだろうとレイネルは言った。


「離れたとしてもまたここに戻ってくるか可能性があるかもしれないでしょ?」


 レイネルは正しい。

 本体であるレイムよりよく周りの状況を見ている。何より自分自身が言うなら、間違いはないだろう。


 そしてレイムは上へ見上げる。

 ここに入れ、と言わんばかりに高層ビルがレイムの前方には存在した。

 ここは敵の領域内、だからか魔力感知が阻害されている。阻害を解決するには領域を壊す必要があるが、ただ地面を破壊したところで領域は崩れないが、領域の中心に存在する核を破壊すれば、領域はいとも簡単に崩壊する。


 だが、まずは目の前のことに集中する。


「さて、何か待っているのかな?」


 レイム、そしてレイネルは二人でビルへと入っていく。




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