47話 最強の同盟
入浴が終了し、全員が玉座の間に集まった。
夕日が地平線に沈み、いつの間にか夜が訪れていた。
「では、確認しよう。同盟の起因はこれから訪れると思われる謎の勢力との対決。その首謀者として二代目破壊神レオン・レギレス、彼の可能性が高い。そこで世界中に渡る我々ではない模倣した魔王軍からして世界一つを相手取れると、私は想定している。そのため、我々だけでは無理だと判断し、世界最強の一角であり、比較的に同盟を可能にする可能性が高いもの、そしてエマが興味を示していたことから選ばせてもらった」
レジナインは丁寧に経緯から話す。
世界大戦を勃発させた原因である存在、二代目破壊神レオン・レギレスは実の娘である三代目破壊神レシア・レギレスに追いつめられたが、次元からの横槍でレシアは死亡し、皮肉にも大戦の原因である奴は生き延びた。
そして三千年も経った最近のこと、魔王軍を模倣した軍勢が各地に現れては生物の集合地である都市や町を襲う。
だが、ジュウロウ達“最破”や神々ならすぐにそれが偽物であることは理解できるだろう。
しかしそれがどこの存在なのか、それは分からない。なんせレジナインですら完全な解答には至っていない。
だが、幾つかの仮説を基に彼女なりの結論を導き出している。
「まず仮説として確実なことから、一つ目に模倣された魔王軍、というのはこの世界とは別世界からやってきたものだ。二つ目にそれ故、レオンが指揮しているかどうか不確定だが、この世界を襲う理由とレオンが消失したことを合わせると協力関係にある。三つ目に向こうは容易く世界の壁を越えてきているというのに私の技術では世界の壁が超えられないという事実からあちら側が既にこの世界に細工をしていた」
その仮説を聞いて、各々思考する。
「世界の壁を細工したということは、何かこの世界に目的があるのは確実だな」
ジュウロウが呟き、続いて……
「模倣した魔王軍を世界各地に配置している理由はこの世界での戦力の測定?」
そこから様々な考察が成されていく。
現段階でこの世界に何か目的があることは確実、それにレオン・レギレスが関与していることも……そして彼の目的は何なのか……。
神々の中で、更に二代目という神々の中でも神聖視される存在が裏切り行為を働いた。状況から見て、同族への裏切り行為だろうが、その詳細は誰も知らない。
世界大戦という大きな争いとなったが、終盤でレオン・レギレスは何かをしようとしていたが、実の娘であるレシア・レギレスと戦闘になったが、次元の狭間が現れてレシアに横槍を入れ、レオン・レギレスは生き延びた。
「そして私の意見だが、奴の裏切り行為の発端は外の世界に干渉したからではないかと考える」
「外の世界……レオンに協力している戦力も強大」
「と、まぁこんな感じの考察となる。この先に進む前に一つ、二つの勢力の同盟をしっかりと認識しようと思う。さあ、二人とも玉座の前に」
お互いのリーダーが向かい合う。
「まず破壊神は試練を突破した、それ故、我々はレイム・レギレス、主神の判断を尊重する。悪事を率先することはなく、主神の願い“善良を尽くす”ことを目的として掲げる」
レジナインが間に入り、最古の魔王側の宣言を代表で述べる。不確定要素の多い敵であるが、今から解明し、善いことをするという目的に繋げる。
「ここに同盟は成される。二つの同盟の証として同盟組織の命名をお願いしたい」
名前を付けることでそれは本当に同盟の証となるだろう。
「命名……」
玉座に座るレイムこそがリーダーとなるのだから、その名前を考えるのは当然のことだろう。
レイムは考える。
自分がリーダーとして、自分と皆を含めた何かを……自分の心に問い、閲覧し、何か良いものを探す。
これからの自分の思い、その先にありそうなもの、いやその先に何を望むのか。
どこまで行くのか、どこで止まるのか。理想を、願いを、希望を、証を……あらゆるものを内包した思いに馳せる。
「『無限の星』……あらゆる可能性を秘めている分かりやすい名前――」
「ふッ、いいと思います」
ジュウロウは微笑み、レジナインはそれを承認する。
「では、我らの同盟は決定した。これより我らは『無限の星』、同じ道を歩む者ということを意識して歩んで行こうではないか!!」
司会のレジナイン・オーディンによって正式に破壊神勢力と魔王勢力の二つは同盟は決定され、同盟組織にして最強の組織『無限の星』が誕生した。
「よっしゃー、結成記念に祝杯しよー!!」
主神レイムに次ぐ、副王エマが飛び上がった。
「そうだね……」
あの世界最強の一角である最古の魔王との試練は厳しく、毎度の如く死の予感を感じていたが、突破したことの達成感が今、込み上げてきた。
本当に自分という存在は過酷以上の試練を成し遂げたことに、そしてまた一歩、新たに結成された仲間達と前に進むことの喜び、ドキドキ感も共にレイムは立ち上がって、拳を突き上げる。
「祝杯しよぉぉぉッ――――」
この世界では三千年という時間だったが、外的と接触した“彼”に関しては時間の感覚は非常に短いものだろう。
空間が裂かれ、虚空に、黒色へと染まった。
次元間移動、次元跳躍など名称は様々であり、分かりやすく例えるなら簡易的な空間移動の上位互換だ。空間移動とは、次元の内側、とある枠組み、その世界でのみ移動を可能とする。
当然のことだが、次元跳躍など誰もが可能にするわけじゃない。
では、彼はどうなのか……自力か、譲渡か。どうあれ、次元跳躍を可能にした彼は今、悪によって細工されている世界の壁を特権によって行き来することができ、再び、彼がこの世界に現れたことは……。
闇の中から全身を黒いローブで身を包んだ人型の人物が“レギリオン世界”に現れる。
「はぁ……」
嫌な場所へ戻ってきたから、という意味のため息。現れた場所は特に、空気、雰囲気、位階の全てが“彼”の嫌悪の対象である。
だが、ようやく“彼”の願いは成就するだろう。
そして異変は到来する。




