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18話 波乱万丈



 全員が玉座の間を出て、城の外へと飛び出す。天使の種族は人間と同じく四代目光の神ラエル・レギレスの管轄であるが、それを無視している。


「あれは……天使四騎士の一人、閃光のアルゲリオン」


 天使の中でも実力者の四騎士にして筆頭のアルゲリオン。金色の長髪、容姿端麗な男で閃光の異名のごとく攻撃速度が半端ない人物。

 天空の支配者“滅空の魔王”リビル・リグレウスとの戦いを生き残った猛者。


「ラエル様、御戻りください。ついさっき二代目の御方々から啓示が下りました」


 二代目の御方々からの啓示。

 その意味は神界より上に存在している現在、神々の頂点にしてこの世界の最高権力を持ち、初代亡き後、王家レギレスの祖とされる存在たちから指示が送られたということだ。


「その啓示は?」


「その前に帰還してください。天雲世界へとお戻りください」


 頑なに自分達の神であるラエルに帰還するように伝える。

 啓示は下ったのだろうが、その説明をこの場所で行えないのだろうとすぐに察した神々は戻ることになった。

 ラエルが天使の軍勢と共に帰還していった。


「じゃあね。レイム……私達は何があってもレイムの味方だから」


 親子の離れる場面、いつもレイムの頭を撫でて誓いを立てる。


「うん。分かってる……だから、ママとパパは気を付けてね」


「うん。気を付けるよ。じゃあ、レイムをよろしくね」


 レイスはジュウロウとワーレスト、そしてソージを見て、そう告げる。


「あぁ、任せておけ。そっちは本当に気を付けろよ」


「あぁ、忠告は受け入れたよ。じゃあ――」


 結局、話し合いなんてなかった。

 だが事態が急変したことは確かであり、防衛を維持しながら全員が玉座へと戻り、内輪の話し合いが始まった。


「二代目からの啓示……どんな内容だろうか?」


「……もう既に啓示は下り、内容は天使にも届いている。そしてあの場所で述べなかったのは内容が内容だからだろう。例えば、破壊神討伐なら俺達が黙っていないからな。そんな無能でもないだろうし、あの様子だと討伐隊を組んで……」


「え、マジか……」


「まぁ、予想の段階だが可能性はあり得るだろう。二代目と呼ばれる存在の判断基準は分からないが、あの天使騎士の様子から戦い以外の内容ではないだろう」


 皆、薄々どこに向かっているのか、分かっている。

 ラエルの計らいによってこのままじゃダメだという現状を変えようとし、魔王がレオン関係で手を組もうと話を持ち掛け、レイムの方針を決めて最古の魔王と戦ったが、神々が問題視することは分かっている。


 だが、もう世界大戦は懲り懲りだと神界の神々の気持ちは分からないが、経験をした最破達はそう思っている。

 神々も一歩間違えれば、規模が飛躍的に拡大し、世界大戦となる可能性は考えているだろう。神々同士の戦いが長引けば、また魔王が首を突っ込んでくるという二の前になる可能性は低いとも言えないが……今、決めることはこれからのことだろう。


「う~ん、どうしたものだろうな?」


 と、レジナインは突如と玉座の間へと現れていた。


「突然だな。で、どうするんだ? 魔王は神々の敵対者だろうが、この関係性がバレたらどうするんだ?」


「大丈夫だ。接触しているのは私だけだし、絶対に魔王とこの場所にいる者以外が知ることはない。恐らくは破壊神の処分は討伐だろう。他の奴らからしたら世界大戦の原因は破壊神だからね。これを打開するには最低でも存在以外の危険性を消す。続く魔王との戦いで印象を上げ、レオンを倒せば、流石に黙るかもしれない――」


「――だが、それでも破壊神は消した方がいいという存在は残り続けるだろうし、賛成する奴、否定する奴が完全にどちらかに傾くことはないだろう。あるのは、否定の奴等を全員消すしかない。案としてはこのまま好印象を見せて認めてもらうしかないだろう。戦い以外の案でな」


 実際、魔王側であるレジナイン・オーディンはどっちに転んでもいいのだろう。

 最古の魔王の目的は自分達の存在意義である世界征服であり、世界大戦で邪魔となった神々よりレオンを要注意と認定した。

 世界征服の醍醐味として弱者や強者を蹂躙するものだろうが、レジナインが要注意人物として定めたレオン・レギレス、二代目破壊神は危険人物だと思ったのだろう。

 レジナインの理由は興味本位だろうが、結局は邪魔なのだろう。


「そして、もし啓示の内容が破壊神の討伐なら、阻止は容易いだろう。まぁ、もしあの二人の支配領域に入ってしまえば、手出しはできないだろうし、どちらでもいいが……」


「急いだ方がいいのか?」


「ん~……計画を進めた方がいいんじゃないか?」


「次は誰だっけ?」


 レイムが口を開く。


「最古の魔王の一人、第二位“氷結の魔王”と第一位“大魔王”の二人だね。昨日の形で行うなら、レイム・レギレスは大魔王が適切な相手だね」


「大魔王、か……」


 少し疲労を感じながらも大魔王という存在を整理する。

 最古の魔王の一人にして第一位“大魔王”と呼ばれる最強の魔王だ。使う力は紅蓮の獄炎を操り、腕を振るえば、森であるシズゼリアの大半を焼き尽くすことができる。


「末っ子だが、才能の評価は順位が物語っている」


 最強の魔王。

 第四位“滅空の魔王”であれだけの強さを持っていたことを思い出し、少し、いや本当に次はヤバいのかもしれないと心の底から震えているが、勝利しないと意味がないことは理解している。


 自分という存在のため、世界が良くなるために……。


 そして何より自分は戦う前から諦めることは納得できない。


「――おっと……来たぞ」


 レジナインが何かを認知して上空を見る。

 だがここは玉座の間、天井には何もないが、次にワーレストが口を開いた。


「レイム様、天使の軍勢がこちらに接近してきます!!」


「え、じゃあ――」


 二代目からの啓示は破壊神討伐で確定だろうが、まだ確実なものとはなっていない。


「俺は外に出る。敵が攻撃するまでこちらからの攻撃は禁止だ」


「了解。戦闘が開始したら、最破達は様子を見て、対処。負けることはないと思うが、油断は禁物だ」


 ジュウロウ、ワーレストが即座に作戦を考えるが、魔王側の話もある。


 すると――


『五代目破壊神レイム・レギレス、神界へ移送する。抵抗せずに投降しろ!!』


『繰り返す。五代目破壊神レイム・レギレス、神界へ移送する。抵抗せずに投降しろ!!』


 と拡散魔法を用いた声が玉座に響いた。




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