184話 第四層『白灰遺跡・レベルⅢ』
そして皆の瞳は白い光を向けられたかの如く下の景色に目を瞑った。
それはクロノスも承知だったようで、皆の反応を見て待機する。
「これは光ではなく、城と灰色の石材で作られた収容所だからですね。皆さんが、上と第二層と第三層からの第四層の景色には目を瞑るには自然な反応ですね」
目を瞑る時間は強い光に照らされた反射的な動作とは違い、すぐに目が慣れる。
クロノスの説明の通り、裸足のレイムは少しザラッとした感触があり、下を向くと白と灰色の石材の地面があった。
あの闇に包まれた第二層『能力収容・レベルⅡ』とは対照的に第四層『白灰遺跡・レベルⅢ』は光のような白に包まれていた。
「霧?」
「はい。あれは封印効果が視覚的に表れている結果です。更に封印されている存在ランクSS相当の囚人が能力行使を行えば、霧の動きですぐに察知することが出来ます」
この第四層の構造は第二層と同じく石材の道、しかしここは常時、明るいためか街灯はなく、ただ霧の奥に道が続いているのみだ。アーチ状の石材の道、その柱は下に続いているが、底は霧で見えない。
「さて、まずはここですね。悪の組織の精鋭部隊に所属していた囚人がいますので、早速、取り調べを行いましょう。初めてなので私がしっかりとサポートをいたしますので」
白灰の石道を進んで行き、第二層と同じく道の幅より大きな四角の地面に辿り着き、クロノスは石材で出来た端末を操作すると右側からゴリゴリと大岩が擦れる音が聞こえた。
霧の奥から現れたのは白が濁った色の長方形の石がこちらへと浮遊する。良く見ると四角の床はあの長方形と同じ形をしており、決まった軌道を進み、長方形の地面の中心に降り立つ。
「実は牢屋の広さは第二層より広く、これは封印を施すための広さであり、ただスペースがあるだけでとなっています。そして――」
そう言い、クロノスは縦二メートル、横四メートルの長方形の石をノックするとゴリゴリと音を当てて、正面の石が動き、横に長い穴という窓が出現した。
当然のことながら、その窓は吹き抜けなどではなく、石と内側に存在する透明な壁に内と外が隔絶されている。
窓の手前には石材で象られた丸椅子がいつの間にか生成されていた。
「では、レイム様。お座りください」
「了解!!」
取り調べ、その空気はレイムによって左右される。
どんなに冷たい空気になってしまう出来事であろうとレイムがそれを行うなら、彼女の空気感に支配されるだろう。
レイムが丸椅子に座ると石の内側、牢屋の内部が見える。
「牢屋の内側は薄暗いの基本です。では、始めましょう――フォルセス・レガリア。椅子に座りなさい。取り調べですよ!!」
優しい声から覇気のある声でこの白灰の石牢に収監された人物に声をかける。
外は明るいが、内は確かに薄暗いが、一人の男がいる。
「おやおや、いつも通り唐突なことだな。だが、それに従うのが今、己が陥った立場だからな~」
その声から経験豊富であり、言い方を変えるなら手練れな印象を受けた。
「では、レイム様。彼に何を思いますか?」
「う~ん……」
レイムは封印を隔てた奥側の男をよ~く観察する。
「白い髪、年齢は真ん中くらい、姿勢がいい、手練れだね」
ぱっと見の判断でレイムはポンポンと四つほど思ったことを言う。それに返答をしようとしたクロノスだったが、それより先に囚人の男が口を開いた。
「なるほど、外見上は無垢を残した無邪気な娘だが――よく見ている。そちらこそ、手練れだね? 姿勢に目が行ったのは戦闘という行為が自分の中で慣れている証拠だ。真っ先に姿勢が行った、そこの子らのように武器は持っていないが、接近戦を主体としている……それでその姿、名前を聞いても、お嬢さん?」
全員が黙って男の言葉を聞いていたが、全員が怪しいと睨む。
「やだ。情報を出して」
「情報? なんの情報かね?」
それは子供であるレイムをおちょくるように聞き返す。
「悪の組織についてだよ。精鋭部隊に所属していたのに分からないのぉ?」
レイムも相手の男をおちょくる。
「ふふ、悪の組織の情報管理の程度は把握しているはずだ。私の知っている情報は全て話したはずだ。精鋭部隊とは言え、上層部以外の一介の構成員が多くを知ることはない。悪の組織の情報統制は精鋭部隊であってもただの寄せ集めに過ぎない。組織構造として上層部、精鋭部隊、下部組織と教えたはずだが、他に何が聞きたいのかね?」
男は言い終わり、ある程度の情報は彼から出されたようだが、それでも取り調べをするのは何なのだ、とレイムはクロノスを見る。
「では、レイム様。能力にて情報を抜き出してください」
「ほう、能力……もしかしら、そのペンダントかな?」
「うん――オスティウム」
レイムの首から瞳の形をしているペンダント――《万象眼オスティウム》を発動し、その瞳型の神器から光が男の全てを照らす。
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